名探偵・浅見光彦全短編 (内田 康夫)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
かなり昔になりますが、一時期内田康夫さんの「浅見光彦シリーズ」は結構読んでいました。
本書は、内田さんにしては珍しい短編集ですが “浅見光彦登場40周年記念作品” ということで、興味を惹かれて手に取ってみました。
読み終わって感じたのは、やはり「浅見光彦シリーズ」は、軟派でゆったりと構えたエンターテインメント作品というのがしっくりするということです。
「短編」となると、凝縮した “切れ” のあるストーリー展開が求められるのですが、その中での探偵となると何も “浅見光彦” のような緩めのキャラクタである必然性がなくなってしまうのです。
逆にいえば、短編の探偵となると “少々強引” な立ち振る舞いを演じがちになるでしょう。
その観点で言えば、本短編集に登場している「浅見光彦」にも、ちょっと “図々しさ” が鼻につくところが散見されましたね。そのあたり初期の本シリーズファンとしてはかなり違和感を感じざるを得ませんでした。
とはいえ、作者としての内田康夫さんの力量を決して否定するものではありません。ミステリー小説集なので、コメントはネタバレにならない程度に留めますが、たとえば採録されている「他殺の効用」で魅せたの最後の最後の幕切れは見事だと思います。
(ちなみに、蛇足ですが、「逃げろ光彦」や「名探偵は居候」あたりはちょっと乱造が過ぎるかもしれません・・・)
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