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オリエント急行の殺人 (アガサ・クリスティー) 

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 ちょっと前に「ナイル殺人事件」という映画を観て、そのあと続いて「ナイルに死す」という原作も読んでみました。
 意外だったのは、私の想像以上に原作に沿った映画づくりをしていたということです。

 今回は同じことを「オリエント急行殺人事件」でも試してみることにしました。映画(1974年版)の方は以前何度も観ているので、謎解きの結末についてははっきりと記憶に残っています。

 初めて原作を読んでの印象ですが、まず感じたのは、確かに映画化しやすい作品だろうという点でした。
 「構成」自体が人物やエピソードごとに明確なパートに分かれていて、それを辿るだけでも効果的な場面の切り替えが実現できそうです。ラストシーンも劇的で、スクリーン上の絵としても映えます。

 また、オリエント急行というゴージャスな舞台に加え、登場人物も老若男女とても多彩なので、キャスティングという面でもあれこれと工夫を凝らすことができますね。

 1974年映画化された作品は、特に豪華な出演者の方々だったので、原作でのキャラクタ設定と比較してみるとなかなか興味深いものがありました。
 ローレン・バコールやショーン・コネリーは納得の配役でしたし、ジャクリーン・ビセットも可憐でした。
 ちょっと面白かったのは、原作で “ヒツジに似た” と表現されていたスウェーデン女性。彼女を演じたのは、かのイングリッド・バーグマンでした。
 確かに彼女はスウェーデン出身ですが、“イングリッド・バーグマン = ヒツジ”・・・???、というのは、なかなかに勇気あるキャスティングです。



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