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仕事(または勉強)+創造性=遊び|3冊目『クリエイティブ・マインドセット』

トム・ケリー&デイヴィッド・ケリー 千葉敏生 訳(2014, 日経BP社)


世界でもっともクリエイティブなアメリカの会社、IDEOの創立者であるトム・ケリーとデイヴィッド・ケリーの2人が書いたとってもワクワクするビジネス書。


前回『ワーク・エンゲイジメント』の本の中から「ジョブ・クラフティング」という言葉を取り上げて説明しました。

ジョブ・クラフティングとは自分自身の仕事を主体的に形作るプロセスで、仕事に関する認知をポジティブに変化させること。

つまり、極端に言えば、どんな仕事も楽しくしてしまうことです。


私はジョブ・クラフティングという言葉を知らないときから、いかに仕事を楽しむかということばかり考えていました。

それはおそらく『クリエイティブ・マインドセット』を読んでいたからであり、IDEOという会社に憧れていたからだと思います。


うちの子ときたら、PCでマイクラをしながら、iPadでマイクラ実況のYouTubeを一日中見ていて困ったものです。

コロナ禍で部活動が制限されて、家にいる時間が長い最近は特にそうです。

誰に咎めらることがなければ、きっと365日、24時間、ずっとそうしているのではないかと思います。


それほどまでに熱中できるのに、なぜ勉強には熱中してくれないのでしょう。

仕事や勉強と、遊びとではいったい何が違うのでしょう。

手順を覚えたり、戦略を立てたり、スキルを習得したり、マイクラだって案外簡単ではありません。

なのにマイクラはOKで勉強はNG なマインドなのはなぜ?


遊びは自分で決めて、自ら進んでやっているから楽しいのかも知れません。

しかし誰かに強要されてやるなら、やっぱり楽しくなくなるのかな。

同じように、自分で決めて勉強をしたり、仕事をするのであれば、きっと遊び以上にそれは楽しくなるはずです。

早くそれに子どもが気づいてくれることを心から願っています。


「ワーク・ライフ・バランス」と言いますが、バランスをとるくらいなので「ワーク」と「ライフ」は別のものとして語られています。

しかし私にとってはワークとプライベートの境界は曖昧で、ワークもプライベートもどっちもあってのライフです。


ハーバードビジネスレビュー11月号「ワーク・フロム・ホームの生産性」に掲載されているナンシーP・ロスバード教授の論文によると、私のようにワークとプライベートが区別されていないタイプを「融合型」と言い、しっかり切り分けるタイプを「分離型」と言って両者の仕事スタイルを比較する分析を行なっています。


融合型の自分は、ライフの一つとして自ら選択した仕事を日々、主体的に行なっているので、ありがたいことに仕事そのものを楽しむことができています。



自己決定理論(デシ&ライアン, 1985)ではモチベーションにポジティブな影響を与える要因を「自律性」「有能感」「関係性」としています。

自分で自信のある仕事を、裁量を与えられて、良い人間関係の中でできるならば、それはきっと楽しい仕事であり、モチベーションも上がることでしょう。

モチベーションが高まれば仕事のパフォーマンスが上がります。




IDEOといえば「デザイン思考」ですね。

デザイン思考はIDEOが開発したものではないですが、デザイン思考という言葉を流行らせたのはおそらくIDEOです。

デザイン思考については、私の指導教員であり、共同研究をしていただいている手塚貞治教授が東洋経済オンラインに記事を書いています。
記事中でも紹介していますが手塚先生の著書『武器としての戦略フレームワーク』でIDEOのデヴィッド・ケリーが設立したスタンフォード大学dスクールの「5つのデザイン思考プロセス」など、フレームワークとしてのデザイン思考の使い方などを紹介しています。MBA必携の一冊です。

デザイン思考は仕事を楽しくしてくれます。
デザインやクリエイティブという言葉の響きはなんかワクワクさせてくれますし、チャレンジすることを推奨し、失敗することを怖れないどころかむしろ歓迎します。


RBS「マーケティング・エッセンシャルズ」のレポートと一緒に提出したマインドマップ


私たちは基本的にワークとライフの分離型の教育で育ってきました。

「自分の好きなことは仕事として選ばない方が良い」なんて大人がアドバイスしていた時代も最近までありました。

しかし、人生の多くの時間を占める仕事に、やりたくないことを選んで、どうして成果があがると言えるでしょうか。


人生に必要なのは創造性です。

仕事や勉強がつまらないのは、それが人から与えられて、指示されてするものだからだと思います。

仕事や勉強を自分で創り出すならきっとそれは楽しいのです。
つまり、ジョブ・クラフティングです。

それから、
好きなことを仕事にできたらもちろん楽しいけれど、
好きじゃない仕事だって楽しくすることはできると思います。


仕事(または勉強)+創造性=遊び

ここでいう遊びとはサボることとは違うので誤解しないでください。

仕事と遊びを時間で切り分けるのではなくて、「遊ぶように仕事をする」もっと言えば「仕事で遊ぶ」「仕事を遊ぶ」ことこそが成果を上げるために望ましい働き方ではないかというのが昔からの私の持論であり、
お得意の自己正当化の理屈です。


そういう意味でこの本は私を何度も勇気づけてくれる本であり、
大好きです。


&Seig Bookyardで2020年に書いたエッセイをベースにリライトしました。

参考書籍
ナンシー P. ロスバード , 2020「在宅勤務でワークライフバランスを確保する方法」(友納仁子 訳)『Harvard Business Review』, 2020年11月号, ダイヤモンド社
アーノルド・B・バッカー、マイケル・P・ライター 編、島津明人 総監訳 , 2014 『ワーク・エンゲイジメント』星和書店
手塚貞治, 2022 『武器としての戦略フレームワーク』日本実業出版社

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