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心理的安全性の実現に自分ができること|30冊目『恐れのない組織』

エイミー・C・エドモンドソン(2021, 英治出版)

本当に読むべき人は、読まない?

近年、「心理的安全性」という言葉をよく聞きます。
本も話題になりました。

私は組織に関する本や、リーダーシップに関する本は好きでよく読みますが、こうした本を読むときにこんなふうに思っています。

まずは、①著者が自分の言いたいことを代弁してくれているということです。

だいたい、自分は良い組織とはどういうものかを理解しているけれど、会社は理解していないとか、経営陣が理解していないとか、もっと言えば自分以外みんなダメだとか思ってしまっていることが多く、そう思うことで自分の有能感を高めようとしているのかも知れませんが、それで、組織がダメでうまくいかなかった事例とかを読むと、共感して、なんとなくスッキリしたりします。
そこには誰かの不幸をよろこぶ、少し意地悪な気持ちも潜んでいます。

自分が日頃思っていることを、大学の先生などが根拠を持って語ってくれると、自分の考え方は正しいのだと思うようになります。
その結果、本にたくさんの付箋が貼られることになります。

それから、②本の中に、ぴったりくるワードを見つけられると理解した気になってスッキリするということがあります。

今まで読んだ本の中で例を挙げるとすると、例えば「スライヴィング」や「クロスオーバー」などの言葉がそうでした。

心理的安全性というワードも、そうした言葉としての力を持っていると思います。
また、「恐れの多い」と日本語でいうより、「フィアレス」とカタカナで言った方がわかった気になると思いました。

言葉の使い方が上手でワードが刺さると、そのページに付箋を貼るので、①とあわさって、本が付箋だらけになります。

そしてもう一つ思うのは、③こうした組織の課題の本はおおよそ、わかっている人が読んで、本来読むべきわかっていない人は決して読まないということです。

ちゃんと理解している人は、組織の課題を感じているから積極的にこういう本を読んで学ぼうとしますが、わかっていない人は、わかっていないからこそ、その組織に問題を生み出しているのであって、しかも自分が課題を生み出していることを認識していないというか、課題があることさえわかっていないので、本を読んで学ぼうなんて決して思いません。
もっといえば、読んでもきっとわからないのでしょう。

でも、①で書いたように、自分だけがわかっていると思い込んでいることで、③のように思ってしまう思い込みも実はあるのかも知れません。

心理的安全性の実現に自分ができること

何が言いたいのかというと、この本を読んで、それほど真新しい発見は少ないにしても、まさにその通りだと思うことはやはりたくさんありました。

事例としてあげられる企業は、この手の話に登場するお決まりの企業ではありますが、定番の落語を聞いているように安定感があって、話の結末にスッキリします。

それで付箋を貼って、メモを抜き出しますが、ではその先どうやって「心理的安全性」のある組織を自分の身近で実現すべきなのかと思います。

自分が経営トップであるならば、あるいは少なくとも所属する部署の長であればできることがあるのかと思いますが、自分の立場でどれほど組織に影響力を与えられるのかと疑問に思います。

そう思う人、そういう質問はやはり多いらしく、本の最終章の『心理的安全性に関する、よくある質問』という項目に以下の質問がありました。

職場で心理的安全性をつくることには大賛成だが、私は上司ではない。私にできることが何かあるだろうか

答えは「できる」です。

その方法は、一つはよい質問をするであり、さらにもう一つは他者の言葉に熱心に耳を傾けることだそうです。

なんだそんなことかと思いますが、関心を持って、いつでも人に手を貸そうと思っていることを示すべきということで、つまり自分から心を開くということなんでしょうね。

「上司がそうでなくても自分になにかできるだろうか?」という質問をする自体、自分自身が心を閉ざしているということなんだと思います。

忙しいと、自分の仕事にだけフォーカスしてしまいます。
さらに忙しいと知らず知らず「俺に触れるな!」感を出しながら仕事をしてしまい、とても周りの人に手を貸すなんてことには頭が回りません。

結果的に「心理的安全性」のない組織の原因が自分にあるのに、そのことに気づきもしない。

つまり、自分はわかっているからこうした本を読んでいると思っていながら、実はやはり本来読むべき人の一人だったなんて、そんなこともあるかも知れないなと思いました。

読書メモ

心理的安全性のある組織とは?
それに失敗している組織とは?
よくいわれているところでもあるので、あえて文中には何も書きませんでしたが、共感した言葉はメモに残しました。
  ↓

「恐れのない組織」 読書メモ

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