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小説「魔法使いのDNA」

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以前、どこかの出版社の賞に応募するために書いたのですが、一次審査にかすりもしなかった小説です。 読み返してみると、案外よく書けてる気がするのでnoteで発表してみようと思いました…
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#家族愛

小説「魔法使いのDNA」/#020

20  葉子  夢を見た。  ある冬の寒い日、あたしたちは上野公園で大道芸をする少年を見て…

小説「魔法使いのDNA」/#019

19  恭輔  翌週、高円寺のライブハウスでオレたちのバンドのライブがあった。    客席の…

小説「魔法使いのDNA」/#018

18  恭輔  藤岡さんの経営する音楽プロダクションは「ハーツ・ビューティ・ミュージックレ…

小説「魔法使いのDNA」/#017

17  慎太郎  そして、翌々年、僕らは同じ大学の学生として会うことができた。  入学前の…

小説「魔法使いのDNA」/#016

16  慎太郎  昔、それは父の病気が判明する前の年の夏休みのことだった。  父の会社の夏…

小説「魔法使いのDNA」/#015

15  葉子  明け方に目を覚ますと隣に寝ているはずのリュウさんの姿がなかった。  トイレに…

小説「魔法使いのDNA」/#013

13  恭輔  瞬く間に秋は過ぎて、冬になると怜からの連絡がなくなった。  オレはいよいよ受験勉強に集中していた。  1月にセンター試験を受けた。  2月には本格的に大学入試のシーズンになった。オレはなんとか4月からの自分の身分を決めることができた。  オレは進路が確定したことを怜にラインで知らせた。  怜からのメールの返事はなかったけれど、代わりにスマホに直接電話があった。  「おめでとう、良かったな。お祝いしたいんで、恭輔の家に行ってもいいかな?」  「散らかってます

小説「魔法使いのDNA」/#012

12  恭輔  晃さんとライブハウスに行って以来、銀ちゃんの息子の怜がよくオレの家に遊びに…

小説「魔法使いのDNA」/#011

11  慎太郎  6月中旬を過ぎるとスポーツ少年団の大会がはじまった。    僕らのチームは僕…

小説「魔法使いのDNA」/#010

10 慎太郎  ギターと歌詞を書き溜めたノートを弟が形見として引き受けたように、僕も父から…

小説「魔法使いのDNA」/#009

9 慎太郎  土日はほとんどミニバスの練習があった。  家から歩いて数分の距離に僕の通う小…

小説「魔法使いのDNA」/#008

8 葉子  運命の出会いから2年、あたしたちは結婚することにした。  プロポーズの言葉はこう…

小説「魔法使いのDNA」/#007

7 慎太郎  父の具合がおかしくなったのは、僕が小学校4年のときのことだった。  毎年、会社…

小説「魔法使いのDNA」/#006

6 恭輔  親父の弟、つまり叔父さんも音楽好きだ。  若い頃はベースを担いで半年くらいジャマイカに住んでいたことがあるらしい。  その頃、ジャマイカでは日本のアニメの「ドラゴンボール」が流行っていて、日本人なら誰もが武術に長けていて、カメハメ波を出せるものだと信じていたそうだ。だから、ふざけてカメハメ波のポーズを取ったりすると、こんなところであぶない真似はやめろと本気で両腕を押さえて止められたという。  陸上では有名な選手がいたが、協調性がなくて自分勝手な人が多いので、ボ