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小説「魔法使いのDNA」

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以前、どこかの出版社の賞に応募するために書いたのですが、一次審査にかすりもしなかった小説です。 読み返してみると、案外よく書けてる気がするのでnoteで発表してみようと思いました… もっと読む
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記事一覧

小説「魔法使いのDNA」/#主題歌

この広い宇宙に 魔法使いのDNA 星々の輝きも 霞む素晴らしさ 闇を照らす光が 心に宿れば 未…

小説「魔法使いのDNA」/#021

21  慎太郎  僕の父はもうこの世にはいない。  18年前、僕が10歳の時に病気で死んでしまっ…

小説「魔法使いのDNA」/#020

20  葉子  夢を見た。  ある冬の寒い日、あたしたちは上野公園で大道芸をする少年を見て…

小説「魔法使いのDNA」/#019

19  恭輔  翌週、高円寺のライブハウスでオレたちのバンドのライブがあった。    客席の…

小説「魔法使いのDNA」/#018

18  恭輔  藤岡さんの経営する音楽プロダクションは「ハーツ・ビューティ・ミュージックレ…

小説「魔法使いのDNA」/#017

17  慎太郎  そして、翌々年、僕らは同じ大学の学生として会うことができた。  入学前の…

小説「魔法使いのDNA」/#016

16  慎太郎  昔、それは父の病気が判明する前の年の夏休みのことだった。  父の会社の夏休みは一斉休暇ではなくて、決められた期間の中で日を選んで社員が各自で夏休みの日程を決めるルールだった。  多くの社員はお盆の時期を選んで休んだけれど、僕の父もやはり毎年お盆の時期を選んで休みを取って、そして祖父母の家に行った。  さらにもう少しだけ夏休みの日数があったので、お盆以外の平日にも休みを取り、僕と弟を、プールやトミカ博や、そして水族館にも連れて行ってくれた。  その日、父

小説「魔法使いのDNA」/#015

15  葉子  明け方に目を覚ますと隣に寝ているはずのリュウさんの姿がなかった。  トイレに…

小説「魔法使いのDNA」/#014

14  慎太郎  夢を見た。    ある冬の寒い日、僕は上野公園で大道芸をしていた。    集…

小説「魔法使いのDNA」/#013

13  恭輔  瞬く間に秋は過ぎて、冬になると怜からの連絡がなくなった。  オレはいよいよ…

小説「魔法使いのDNA」/#012

12  恭輔  晃さんとライブハウスに行って以来、銀ちゃんの息子の怜がよくオレの家に遊びに…

小説「魔法使いのDNA」/#011

11  慎太郎  6月中旬を過ぎるとスポーツ少年団の大会がはじまった。    僕らのチームは僕…

小説「魔法使いのDNA」/#010

10 慎太郎  ギターと歌詞を書き溜めたノートを弟が形見として引き受けたように、僕も父から…

小説「魔法使いのDNA」/#009

9 慎太郎  土日はほとんどミニバスの練習があった。  家から歩いて数分の距離に僕の通う小学校があり、その小学校の体育館がミニバスの練習場だった。  小3の夏からミニバスをはじめて、3度目の夏だった。最初の年は無我夢中で、ドリブルもシュートも下手くそでとてもバスケをしているといえるような状態じゃなかったけれど、ミニバスの仲間と一緒にいるのが楽しくて、何もつらいことはなかった。  2年目の夏までは父がいて、日曜日には僕のミニバスの練習をよく見にきていた。時々は練習試合もあって