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大阪市内でキャンプはやめておこうと思ったの巻

久しぶりのソロキャンプをしたのだが、初めて行った大阪市内のキャンプ場はイマイチだった。
〜END〜




今日はこれで終われる話を、長々と(なる予測)書くことにする。


先に書いておくと、私は生粋の大阪人で生まれた時から大阪市内で暮らしてきた。
大阪を愛していて、都会が好きで、我が家から徒歩1分圏内にコンビニが3つあるのはヘヴンだと思っている。
だけど、昨日初めて、我が家から交通費390円で行ける大阪市内の無料キャンプ場でキャンプをして、大阪人にうんざりした。いや私も大阪人やけども。
平日だったので10組分しかないキャンプ場は空いていた。デイキャンプだけの人は5組くらいいたが、1泊の人は私を入れて3組しかなかった。
1番奥にソロの人が1人。
そしてそこから対角線上に一番遠い場所の端が私。
そして私のピッタリ隣に、いかにも南大阪か河内のステレオタイプ的な中年男女のペア。

いや、バランス悪いやろ。
ディスタンスの概念、どこ行ってん。
こんなに空いてるのになんでピッタリ真横に来るかなー。
ソロキャンプ中はいつもよりも心の声が多弁になる。

そして、金髪の女性が心の外に向けて大きな声を出して、まあよく喋る喋る。
「クソ暑いのう」
「米、炊くにしたかてやー、こっち片してからやらんかい」
コテコテである。


芸人、見取り図の南大阪のカスカップルのネタような2人組(男のルックスもよく似ている)で、面白いことに男よりも女の方だけがやたらと喋るという見取り図のちょうど逆パターンのカップルである。

見取り図で好きなのはこれだけです私。でもこれはめっちゃ好き。

「せや!アレにアレかけて食べよか?」
何に何をかけるねんな。
思わず隣を振り返るが、見えない。
男の方が黙ってタープを立ててくれていたおかげで、丸見えではなくなった。南大阪のカップルが視界から消えてホッとしたが、大声はずっとタープを越えて聞こえてくる。
「おい、なんか臭ないか?」
おっと。

隣にバレたか。


私は虫に対抗するために3箇所で蚊取り線香をもくもくと焚いて、結界を張っていた。
電池式の虫除けを手首に巻き、スプレー式の虫除けをぐるりとテント周りの地面にかけたりして、エロイムエッサイムと唱えれば私のテントから魔界の何か出てきそうなくらいだ。
ちなみに蚊取り線香は、農林業など山のプロが愛用しているというパワー森林香というすごいやつだ。(キャンプ場に蚊は飛んでいたが、全く噛まれなかったから効果抜群。)

大阪市内の公園でパワー森林香はスペック良すぎ説があるが、私は蚊アレルギーがあるから念には念を入れた。
また、昨年、私は毛虫の毛アレルギーで病院送りにされているから一切の虫とディスタンスを取りたい。
隣の南大阪(勝手に決めつけてそう呼ぶ)のカップルの女が何か言ってきたら、パワー森林香の凄さを説明し、1巻おすそわけするつもりでいたが、
「何や、キムチの蓋開いとるがな」とのこと。
キムチ持ってきたはるんか。
鶴橋とか生野から来たのかな、と南大阪説が揺らぐ。
そんな調子で南大阪か鶴橋か生野のカップルはとにかく寝る直前まで大声で喋り続けていた。訂正、カップルじゃなく女の方だけ。男は黙って薪をくべていた。
さすがのパワー森林香でも、人間の声を防ぐことはできなかったのが無念で仕方ない。


ちなみにこんな感じ。

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この列は手前に我々2組並んだが、奥は誰もいないのである。向かいの列も1番奥に1組のみ。
私のテントのすぐ横の、緑のタープの向こうに南大阪のカップルがいる。
入口2箇所と足元に1箇所、赤の蚊取り線香パワー森林香を焚いている。
首かけ扇風機は両手が空くから好きだが、置いても使えるし、火起こしにも火吹き棒がいらないくらい活躍した。
ポン子の紫色のふきんがまたテーブルからズレてるなと思ったが、洗濯を繰り返して縮んでしまい、ふきんがテーブルより確実に小さくなっているのに気づいた。ちょっとショックである。


私は南大阪カップルの女の大声に観念して、あまり野外でやりたくないのだが、イヤホンをしてspotifyを聴いたり、有吉やダイアンやオードリーのラジオを聴いたりして過ごした。



野外で聴く有吉の下ネタやダイアンのバカバカしい話はキャンプの雰囲気がぶち壊しだが、南大阪の女の語りを聞き続けるよりはマシだった。
オードリーのラジオは、ゲストが春日の妻のクミさんだった。クミさんがめちゃくちゃ喋りが上手で面白くて、隣でキャンプをしている人が春日夫妻で、喋り続けているのがクミさんならどれだけ良かっただろうと思いつつ、時々声を出して笑った。
南大阪のカップルもびっくりしていたと思う。
隣でソロキャンプをしている女が、1人で静かに焼き鳥を焼いてると思ったら時々声を出して笑うのだから。

ひとしきり笑った後、暗くなる前に、南大阪のカップルの仲間らしき男たちがチャリンコでやってきた。
「ここや、ここや!」
女が呼んだ。
ここちゃうで、と願ったが、私の隣だった。パワー森林香はやはり人間には効かないらしい。
「こんなとこにキャンプ場あるんやなー!」
「せやで!ええやろ?!チャリで来たんか?ビールちゃんと持ってきたけ?」
女はテンションと声のボリュームがワンステージ上がったため、私はそっとキャンプ場を出て、夜の公園を1時間ほど散歩した。
これが意外と悪くなくて、キャンプよりも夜の公園散歩がメインだったと言っていいくらい気持ちが良かった。

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また満月だった。私は、月が満ちると外で寝たくなる人かも知れない。


1時間ほどしてキャンプ場に戻ると、南大阪のお仲間は帰っており、女の大声と焚き火のパチパチ音だけが響いている通常モードに戻っていた。
私はテントの中に入り、イヤホンをしながらゴロゴロして、さて寝るかと思いイヤホンから耳栓に付け替えるためにイヤホンを耳から外すと、隣の南大阪の女はまだ大声で喋っていた。
おい。
22:30やで。
もらったキャンプ場の注意書きを再度見て「21:30過ぎたら静かに」というルールを再確認し、注意しにいこうと思ってテントの外に出た。
大抵のことは我慢できても睡眠を邪魔する奴はただじゃおかないのが私のルールだ。
すると、隣の南大阪は、ビールはしこたま飲んでやがるし、FMラジオを大きな音で付けてるし、女は喋っている。
パンフレットの注意書きには
・音楽をかけるのは禁止
・アルコールは禁止
と書いてある。
はっきり言って、このルールは私も納得していない。
昼間に小さく音楽かけてもいいじゃないの、と思うし、ソロでアルコール飲んで何の問題があるの?と思っている。この程度の隠れたルール違反をどうこういうつもりはない。
だがしかし。
南大阪の奴らのような常識はずれなことをする奴がいるから、こんなルールができてしまうのだ。許さん。
そう思って近寄ったら、男の方が
「22:30まわったど。音切って静かにせんとあかんど。」と静かに言った。

お前、喋れたんか!!
よく言った。
女は静かに「寝よ寝よ」と言った。
かなんなー。
無駄な血が流れずに済んだ。ふぅ。

静かに眠ることができたが、浅い眠りの中、1時と3時に2回ほど隣から
「あかん、おしっこ行ってくるわ」という女の小声(普通の人の普通のボリュームの声)が聞こえてきて、テントのファスナーの音が聞こえたりした。
おしっこくらい黙って行けよ。
私は寝返りを繰り返した。
夢うつつの中では、夜中の隣のテントはまるですぐ横で寄り添って眠っているような近さを感じた。

やっと眠れたと思ったら、今度はおじさんの怒鳴り声。
「どこ行っとったか言うてみぃ!!お前、どんだけ待たすねん。どこ行っとったんじゃ!!」
「コンビニに買い出しです…」
「どうせ弁当かそこらやろ!何買うたか言うてみぃ!」
iPhoneを見ると朝の6時である。
何事やねん。
隣の南大阪女も起きて、「何ー?もう。」と言っている。今、私たちの心は初めて一つだ。
早朝から怒り120%で若い男を怒鳴れるおじさん。
コンビニで何を買っていたかを怒鳴って聞き続けるおじさん。なかなか答えない若者。
なんなん…。
「言うてみぃーーー!!!」がキャンプ場で響き渡る。
キャンプ場のすぐ隣の公園の中のトイレの方から聞こえてきている。もう許したってくれ、と言いに行きたかったが、眠すぎて寝袋から出る気持ちにはなれなかった。
あぁ。
これが朝の10時なら助けに行っているのに…。
朝の6時から、公園で大阪弁の大声でまくしたてるおじさん。お兄さんが何を買っていたのかは聞き取れなかった。おじさんのお説教はしばらく続き、あなた方はどういう関係?そして何をそんなに怒っているの?そしてコンビニで何を買ったの…。
謎を抱えながらもまぶたは限界で再び夢の中へ。

浅ーい最後の眠りも束の間、すぐに起きなければならない時間がきてしまった。
眠すぎる。
9:30にチェックアウトして、家に帰ってシャワーを浴び、実は昼から出勤することになっている。
絶望的寝不足。
大阪のキャンプ場で、完全なる敗北。
家からアクセスの良いキャンプ場でしかも無料、イオンもすぐ近くにあるし、最高やん。次の日も昼から仕事に行けるから1.5日休むだけでキャンプできるな!という完全勝利の予想をしていたのに。
まさかの、これまでで1番過酷なキャンプ場だった。
たまたま運が悪かったし、ついてなかった。
だけど、さすがの私も、大阪市内でのキャンプは1回でもう懲り懲りである。
大阪市内のアクセスの良い場所にあるキャンプ場でキャンプをする人と、人のいないところを求めて自然の中でソロキャンプをする人とは全く目的が違うということを学んだ。
私の求めるソロキャンプの世界は大阪市内にはないのだと知った。

やれやれ。
しかし、南大阪のカップルは、最初から最後まで、完全なるマスク会食を徹底されていた。
洗い場でもトイレでも、焚き火中も、2人ともきっちりと黒のマスクを装着しており、口元が見られることはなかった。私はキャンプ中はずっと外していたけども。
そういうルールはきっちり守る人たちだった。
なんとも面白い。
しかし、大阪の面白いところは、キャンプの時以外に味わいたいものである。


ちなみに、キャンプ飯はむちゃくちゃ上手くいった。
その話はまた次回にでも。






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