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日本印度映画拡大化計画

最近インディアンムービーウィークということで、インド映画ばかり見ているので、チャリンコに乗っていてもインド映画の音楽が頭に流れているハッピー野郎です。

毎年インディアンムービーウィーク(あ、毎年あるんですわよ)は仕事が忙しかったりして時間の都合で見れないことが多かったのだが、今年は割と仕事が落ち着いているのでたたみかけて見てやろうと計画していた。
全部一人で見にいくつもりだったが、いくつかは誰かを誘って見てみようとそれを試みた。

そもそも私は自分の好きな世界を広げて、みんなも好きになってくれ!頼む!という意気込みなどはなく、ひっそりと一人で楽しみを噛み締めたいタイプである。
インド映画の場合も基本的にはそうなのだが、需要と供給のバランスに基づいて、ファンが広がるとインド映画を上映してくれる映画館が増えたり、面白い映画がたくさんインドからやってくるチャンスに直結するので、ニッチな存在からもう少し注目されるくらいにはなってもらえると、私にとってもありがたいなぁという思いがある。
東京と違って、やはり大阪はあくまで地方都市扱いなのだとこういう時はいつも思い知らされるのだが、大阪でインド映画を見られる映画館は限られているし期間が短い。
インディアンムービーウィークというビッグイベントですら1日1本の1回のみである。
地方都市大阪のインド映画ファン難民を救うには、地道な活動しかないかもしれないので、年賀状を毎年8枚しか書かない私が、身内に声をかけてインド映画を広める作戦に出たわけである。涙ぐましい貢献。
そんな訳で見てきたものをいくつか。
ネタバレや私の映画の感想はほぼなく、記録のみ。

ムンナーマイケル

これはマイケルジャクソンを愛するダンサーの友達ポン子さんをお連れしたかったのだが、スケジュールが合わず、ポン子さんと私の共通の高校時代の友達を1人誘って一緒に見た。この友達はダンサーではなく、インド映画デビューの人だった。
見た感想は、「めっちゃおもろい」だった。
映画上映中、横目で友達の反応を盗み見ていたが、よく笑っていた。何度か椅子の背もたれから上半身を離してまで笑っていたのを見たから楽しんでいただけたのは間違いない。
「マイケルジャクソンじゃなくてジャッキーチェンに憧れてそうやけど」という彼女の感想はタイガーシュロフ初見にしては的を得ていた。さすがである。
インド映画を観たことのない人は、いわゆる「インド映画と言えば突然踊り出す」みたいなイメージを持っているよねという話になった。
踊りのシーンが多いこの映画の中で、突然どこやねんそこという絶景の中で綺麗なお召し物に着替えて男女で踊り出したシーンについて、友達が「突然無意味にって訳じゃないな。心象風景やな。表現やな。」と言って肯定的に受け止めていた。素晴らしい。それが分かればもう沼の中です。
映画が長くてもう23時に近く、平日だったこともあり、見終わったら大急ぎで家に帰ろうという流れの帰り間際に「心象風景」というその言葉を友達から聞けただけでもう十分だった。

どうでもいいが、この日は大寒波が来ていた。マクドを買って寒い寒いと言いながら映画館に滑り込んだら、友達の体温(表面温度)が35.0℃だった。続けて私が通ろうとしたら30.7℃という驚異の自己最低記録を叩き出したことを記しておこう。生きているだけで奇跡。冷え切った体をムンナーが温めてくれた。

デーヴィド

これはなんとなく難しそうなので、誰も誘わず1人で見た。
インドの南の方のやんちゃな主人公像は嫌いではないが、初っ端から割と当たり前に主人公の男が女の顔面をグーで殴るので、そのせいであまり入り込めず。それ以外は結構良かった。
映画で見た場所に行ってみたくなる人間ではあるが、行った場所が映画に出てくるとそれはそれで嬉しくなる人間。ゴアとムンバイが舞台だったので2倍楽しめた。

ここで突然の余談だが、
ある日の夜、「ムンナー!!」という叫びとムンナーの例の決め台詞の2文のみのメールが来ていた。仕事がらみで仲良くなった歳下の子からである。
私がムンナーマイケルを見ていた夜に仕事の連絡があったが返せず、「ごめん、映画館でムンナーマイケル観てた」と前置きして私が返信したせいで、その子が独自にムンナーマイケルを検索し、その後別の日に半休を利用して神戸まで行ってムンナーマイケルを観たらしい。
これは間違いなく沼にハマっている。
「次はフライングジャットを見ます!」と言っている。私のカリスマ性のおかげか、タイガーシュロフのダンスの魅力のおかげかは分からないが、思わぬところでインド映画ファンが増えていた。

ラーンジャナー

何度も見ようかなと思っては選択肢から外れてきた作品。
三度目の正直ということで、こんなに繰り返し日本にやってくるということはよっぽど名作なんだろうと思い、見た。この映画はバラナシが舞台で、インドに2回一緒に旅したことがあり、バラナシを知っている妹を誘ってみた。
妹は私に付き合ってインド映画を何本か見たことがあり、シャールク、アーミル、ディーピカ、アミターヴ・バッチャンくらいは知っている程度のインド映画レベルである。
見終わった後、妹はトイレをずっと我慢していたらしくエンドロールを見ずに先にトイレへと走った。
これはインド映画でやりがちなミスである。
とにかく映画が長いからトイレはちゃんと行っておかないといけない。何度かインド映画を観たことのある妹ですらこの有様。反省してほしい。
しかし、その後は、他の映画を見た時と同じように内容について話した。「ガンガへ突っ込んだ時さー」「ターバンしてた人が多かったあの地域って行ったことある場所?アムリトサルの近く?」「ああいうチャイ売りのおじさんていてるよなー」など、妹もまあまあマニアックになってきていて成長を感じた。
さすがはバラナシ、デリー間と、デリーとアムリトサル間を夜行列車移動したことがある人間だ。姉は嬉しいぞ。
がしかし、妹と見たせいか、それほど映画の世界には浸れなかった。インド映画ファンのみなさんが絶賛するほどだろうか?と疑問だった。ピンとこなかったのである。主人公のダヌシュもガリガリだし顔がタイプではないし。
何だったんだあの映画は…という戸惑いを感じつつ、よく分からないまま家に帰って1人でspotifyでラーンジャナーのサントラをダウンロードして湯船に浸かって再生してみた。
あの曲が流れてきて、なぜだか涙がこぼれてきた。
なんだこれは。
時間差であの映画が沁みてきたようだ。そんなにバラードとかじゃない明るい曲なのになぜだか涙が止まらない。
A.R.Rahmanの音楽で泣いてるのか、あの映画の感動が込み上げてきているのかはいまだに分からない。
だから、どうしてももう一度観たいと思っている。
そういう映画である。

バジラーオとマスターニ

大本命の映画。
こちらはガリーボーイに感銘を受けたポン子を誘って観た。
まずmovix堺という、人生で一度行くかどうかの僻地まで行かねば観られないというハードル。
これを、電車バスを乗り継いで何とかポン子さんに超えていただいた。
こういうハードルをなくしていくためにも、インド映画が広まってもっと都会でたくさん上映されなくてはいけない。使命感が湧く。
映画が始まる前にポン子さんに、宗教の違う人との結婚が許されないというルールだけまずは把握しておいて、と耳打ちした。この4つの映画のうち3つは宗教が深く絡んでくるストーリーである。この辺もハードルの高さがある気もする。
映画の直前までココスでドリンクバーを飲みながらマツコデラックスの偉大さについて話をしていたもんで、映画の前にトイレに行ったのにもかかわらず、予告が終わって本編が始まる頃には強烈な尿意が私の下の方できていた。すまん、妹に謝りたい。
3時間弱の映画なので、我慢しきれないと判断し、物語が佳境に入る前にサクッと行ってしまおうと思い、前半にトイレへ行った。それなのにそこがかなり重要なシーンだったらしかった。これは罪深き行いだったので多いに反省したい。
映画は、まあとにかく映像美。

さすがのダンサーポン子さんも、あの踊りを踊れるかはやってみないと分からないらしい。
そしてガリーボーイのランヴィールがどこに出ているかしばらく分からなかったらしい。
ボリウッド俳優の変幻自在さが伝わったのかも知れない。


映画が終わって22時を回り、バスが行ってしまい次のバスが30分後でよく分からない埋立地に取り残された我々に、とある女性が声をかけてきた。
同じ映画を見ていた人で熱烈インド映画ファンの人だった。
好きな俳優はキングことシャールクカーンらしい。
ポン子さんにタクシーを呼んでもらい、最寄り駅まで3人でシェアすることにした。
タクシーを待つ間も乗ってる間も地下鉄に乗ってる間もずっとインド映画の話。
ポン子さんはスマホで「ムスリル」「3大カーン」を検索しており、私とその女性は色々とインド映画について語り合えた。
彼女は相当マニアックで、「ランヴィールが好きならGUNDAYがオススメですよ」とポン子に勧めた。初心者に無茶を言うたらいかんよ。GUNDAYなんて日本語字幕のDVDも出てないし、サブスクにもない。それを分かっている私も相当マニアックではあるが。
私は最低限のマナーとして、インド映画ビギナーには映画館で観れるか、Amazon primeかNetflixやTSUTAYAにある作品を勧めるようにしている。お姉さんの気持ちもよく分かるが、焦っちゃダメだ。地道にいかないとインド映画沼は広がらない。
これはもはや政治である。しっかりと地盤を固めていかないと。

「インディアンムービーウィークが梅田の映画館も来月追加されましたよ」とお姉さんからビッグニュースを聞く。
なんと。
なんで梅田シネリーブルよ、そんなに出遅れたんだ。おかげでクリスマスなのに堺の果ての埋立地にまで来てしまったじゃないか。
しかし映画館が追加とは、私の地道な宣伝活動が効いたのか。
効くのが早すぎる気がする。
私のような野望を抱いた同志の力だろうか。ありがとう同志たちよ。
家に帰ってNetflixを見たら、いつからか知らないが「インド映画」というジャンルができていた。これは私のNetflixだけなの?それとも日本全体?
じわじわとインド映画沼が広がってきている気がする。きている、確実に。

お連れの方々のそれぞれの感想や反応が面白かったので、少しはインド映画の世界の素晴らしさを布教できた気がする、勝手に。
分かっている、まだまだなことは。私のnoteもインド映画の話題になるとガクンと読まれる数が目に見えて減っている。いいの、いいの、これからだから。

とりあえず、前半戦の布教は成功だと思う。(後半あるのかって。インド映画宣伝活動はもちろん来年も続く。)
筋肉少女帯「日本印度化計画」でも聞いて後半の作戦を立てるとする。




ちなみに、インド映画ビギナーにはやはりこの辺を勧めると思う。

クチコミの数に今驚いた。
もうとっくにきてるじゃないの、インド映画のフィーバー。
やはりバーフバリ効果はでかい。



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