北へ。国境の町チェンコーン【タイランド#10】
タイ北部のチェンマイからさらに東北部へ向かう旅に出た。
目的は陸路で隣国ラオスへ国境を越えること。
コロナ禍以降、情報が錯綜していてどこの国境から入れるのかよく分からなかったので、確実に開いている国境を選ぶことにした。
位置的にはこんな感じ。
チェンマイのホテルでほぼ子さんに見送られて一人バス停へと向かう。
歩いてチェンマイの旧市街地のお堀沿いを進み、守り神のヤックにも別れを告げる。
まずはチェンマイからチェンライへ。
VOLVOのいい感じのバスである。
11:15発15:10着の予定が14:30に到着。
3時間ちょっと揺られて196バーツ(800円弱)
バスの中ではセブンイレブンで買ったパンとバス停で買ったバナナケーキを食べた。
チェンライのバス停に着くと、少数民族の町なのでたくさんの民族のイラストでお出迎え。
10年くらい前にチェンライに来たことがあるが全く記憶にない。
金色の時計台があったこと、ゴールデントライアングルと呼ばれるミャンマー、タイ、ラオスの三国に囲まれた場所にバイクで訪れたことくらいしか覚えていない。
そんなチェンライを通り過ぎて次のバスへと乗り継ぐ。
チェンライからチェンコーンへ。
ミニバンが30分に1本くらいのペースで出ていると聞いたが、見渡すと割と立派なチェンコーン行きのバスが停まっている。ラッキー、と思って乗り込もうとすると通路にも人が座っていて乗車率120%くらい。
これで2時間はしんどいと思い、諦めて30分後のバスに乗ることにしてそのバスを見送った。
そしたら、さっき次のバスが30分後と教えてくれたおじさんが、次のバスは2時間後の最終バスだと言うからびっくり。
30分後って言ったよね?と聞くが私の英語が分からないフリ(おそらく)をされ、2時間後にバスではなくあのミニバスだと指を指されたのがオンボロ車で笑った。
さっきのようなぎゅうぎゅう詰めはゴメンだと思い、助手席に乗り込んで、エンジンがかかっていない蒸し暑い助手席に座って2時間待つことにした。
ここで飲んだ7upは最高に美味しかった。
バスが16:30に出発し、運転手のおじさんはバスのルート上にある知り合いに、大量のリンゴや、小包などをついでに届ける役割もしていた。
助手席にいる私に窓から色んなものを渡すように言われ、私が窓から外にいるバスを待っていたおばさんたちにリンゴや何が包まれているのか分からない小包を渡してあげた。
2時間遅れて出発したせいで到着したのは19時前で辺りは真っ暗になっていた。
タイの夜道で怖いのは夜になると凶暴化する野良犬である。
バス停から一番近くて安い宿を予約していたが、それでも徒歩15分ある。気合いが必要だと思っていたら、同じバスの素敵なフランス人女性に声をかけられて、「トゥクトゥクをシェアしない?」と誘われた。ホテルの場所を聞くと私の宿のすぐ側だったから、「15分くらいだから一緒に歩こう」と私が提案し、彼女も「15分なら歩けるね、歩こう」と2人で暗い道を歩くことにした。
彼女は明日から国境を越えてラオス入りするらしい。私もそうする予定だったが、バスの乗り継ぎに疲れたのと、真っ暗でチェンコーンの町が全く分からないまま通り過ぎるのももったいない気がして、この町にあと1日延泊しようと歩いている時に決めた。
宿に着いたら、なかなか良い別荘のような雰囲気でツインルーム。蚊の多い季節はすごく助かる蚊帳付き。蚊が少なくて使わずに済んだが。暗くて野犬が怖いので、宿の前のセブンイレブンでチキンのニンニク炒め丼をチンしてもらって部屋で食べて、Tverで有吉の番組を見て、長距離バス移動の疲れからかそのまま寝てしまった。
テレビを見ながらセブンイレブンの弁当を食べる夜なんて、日本の普段の私と何ら変わりない。違うのは、弁当に少しスパイスが効いていることと、天井に蚊帳が吊らされていること。壁が薄くて隣の人の咳払いが耳元かのように聞こえることくらい。
夜中に一回だけ起きて、高い方のフランス製のシリコンタイプの耳栓に変えてから、ぐっすり眠った。
朝起きて外に出てみるとびっくり。
暗くてほとんど分からなかったが、森の中のような中庭があり、コテージポーチがあってそこで本を読んでいる人や朝食をとっている人がいる。私の部屋のちょうど裏にはプールがあった。夜に着いたのは本当にもったいなかったなと思いつつ、朝から洗濯をして、チェックアウトの12時までプールサイドでTシャツを干したらすぐに乾いていた。
1泊目の宿はバス停の近くで寝るためだけに予約をしたから少し高かったので、2泊目は国境のすぐ側の宿へ移ることにした。
この次の宿は、今のところ、私の一番のお気に入りになっている。
私の宿に求める条件は、
こんな感じである。
ここは全てが揃っていた。
宿のオーナーは、前夜に「あなたの泊まっている場所の近くの大きなスーパーマーケットlotusに車で迎えに行きます」とメールをくれた。メコン川沿いをスーパーまで歩き、右足だけぬかるみにはまり、スーパーの駐車場で足を洗っていたら迎えにきてくれて、次の宿へ向かった。
車内では、あれが国境のフレンドシップブリッジだよ、あそこは今建設中の鉄道の駅で中国と繋がることになるよ、今は中国人がいないから国境は空いているよ、タイ側のうちの宿から向こうに見えるあの2つの三角屋根のビルはもうラオスだよ、あの2つのビルはカジノやホテルが入ってるよ、など宿のオーナーがガイドまで丁寧にしてくれた。
ここはトウモロコシ畑、ここはさとうきび、ここはバナナの木。畑と小さな森を抜けると、今宵の私の宿に到着。
Green is your house.
シンプルな英語とそのグリーンの家にしびれた。
なんて可愛らしい家なの。
部屋の中も綺麗で、シャワーの水圧が史上最強。先ほどのスーパーマーケットで、私が日本で愛用しているミジャンセンのシャンプーとヘアオイルのミニサイズがセールで格安で叩き売りされていたのを見つけて小躍りして喜んだ。
そのシャンプーをこの最強の水圧で頭をゴシゴシできるなんて幸せすぎる。
幸せとは、お気に入りのシャンプーを泡立てられることだと思った。
旅をしていると幸せのレベルが下がるからいい。
最強のシャワー(しかもちゃんとお湯!)を浴びて、旅に出てから一度も着ていないよそいきのワンピース以外の服を全て洗濯して、青空の下に干した。
とても気持ちが良かった。
髪も体も服もスッキリしたので昼寝でもしようかと思ったが、自転車はタダで貸してあげるよという太っ腹なオーナーの言葉を思い出して、よそいきワンピースでハードなチャリンコにまたがり、周辺散策に出かけることにした。(ズボンを1つ洗わずに置いておけば良かったと後悔はしたが。)
タイとミャンマーの国境の町メーソットとはまた雰囲気が違って静かで何もない。
ものものしい雰囲気もない。
メーソットの国境の橋付近では有刺鉄線が張られていて、写真を撮ろうとしたら銃を持った警備の人に注意をされた。
メーソットは、ビルマの人が逃げてきてそこで生活をしている町でもあったが、ここは、私が自転車で通った付近だけを言えば、ただの田舎の雰囲気。
小さな商店がいくつかあるだけで、恐らく通り抜けるだけの町なのかもしれない。このチェンコーンの町はレンタサイクルで1時間走っただけでは全く掴めなかったが、ラオス側に建つ2つの大きなカジノとホテルの建物だけが異彩を放っているような印象がした。
気楽なサイクリングから戻って、宿のレストランで晩ごはんを食べることにした。
まずはシンハビール。
明日からはラオスのビアラオを飲むことになるから、タイのビール飲み納め。
宿のオーナーの奥さんが、「タイ料理でいい?ベジタリアンじゃない?ならチキンの炒め物と卵料理とごはんを作るよ。辛くないから大丈夫、待っててね」と言いにきた。
メニューはシェフのお任せタイプらしい。
楽しみでワクワクして待つ。
待っている間にオーナーが来て、「ビタミンC」と言ってみかん(オレンジ?)をかごで置いて行った。
至れり尽くせりである。
運ばれてきた料理はものすごく美味しそうだった。
チキンとグリーンチリと玉ねぎとキノコの炒め物だが、グリーンチリはそんなに辛くないから食べられるはず、とのこと。
恐る恐る食べてみたらほぼピーマン。
ピーマンもキノコも嫌いな私だが、こういう旅先での料理に出てきて、なおかつ空腹の状態だと、何も考えずにもりもり食べるのである。
貧乏と空腹と旅の好奇心が3つ揃えば、食べ物の好き嫌いなどなくなる。
ひとかけらも残さずに全て平らげてしまった。
卵焼きはもちろん美味しい。
小さい豚肉が少し混ざっていて、濃いめの味付けでご飯の進むこと進むこと。
シェフのお任せタイ料理は、家庭的な味で部活終わりの男子中学生かのようなスピードで完食してしまった。
明日、一緒に国境を越えるイスラエル人のロイとカナダ人のラリーも凄い勢いでご飯を全部食べていたから笑った。
同じ場所で朝ごはん。
さて、ロイとラリーと3人で車に乗り込む。
宿のオーナーの運転でタイ側の国境へ送ってもらう。
Good bye Thailand!
みんなで窓の外に向かってそう言い、国境へ。
久しぶりにバックパックからパスポートを取り出した。
続く
【チェンコーンの宿紹介】
1泊目Namkhong GH
ツインルーム900円くらい。
バス停から近い。
2泊目のPanna Kalong
ツイン一泊1300円くらいで国境地点までの送迎付き、朝食付き、レンタサイクル無料。
正直ここは最高。またチェンコーンに来るなら絶対ここ。
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