ブルガリアで絶景ハイキング!【世界多分一周旅バルカン編】
ブルガリアと言えば、ヨーグルトとバラくらいしかイメージにない私。
何があるのか分からないまま、トルコから夜行列車で国境を越えて、首都ソフィアに来てみた。Googleマップを見てたら、絶景が見られるという場所を見つけたので、行ってみることにした。
向かったのは、山の上の湖。
海ばかり見てきたこの世界多分一周旅のヨーロッパ編。美しい山も見たいなと思って探していた時に、ブルガリアで見つけた。「Seven lakes」という呼び名で、リラという場所の山の上に7つの湖があるらしい。7つもあるなら絶対絶景に違いないし見てみたい。「Seven lakes」の行き方を宿で聞いて情報を集めて向かうことにした。
ソフィアからサパレヴァバニャという町に行って、スキー場にあるリフトに乗って一気に標高2400mの山の上まで行く。
リフトには20分以上乗って上がっていったのだが、不安定で高さのある乗り物が苦手で怖い。
2人1組で乗るため、隣に乗ってくれたオーストリア人が行きも帰りもずっと喋ってくれて、助かった。彼は独学で日本語を学んでいるらしく、日本のことや日本語を喋りたかったらしい。YOASOBIや鬼滅の話をされたが、どちらも疎くて申し訳ないくらいだった。それに、「もしならばあなたあした」みたいに、日本語の順番がむちゃくちゃすぎて意味が分からないことが多いから、素直に英語で話してほしいなと申し訳ないけど、そう少し思ってしまった。
リフトで山の上に到着したが、ここから先もかなり山を登って歩いていかないといけない。登山ほどハードではないが、標高は2400mを越えていて少し息苦しさもあり、ちょっとしんどいハイキングというレベルである。
そんな中、ハイキングの仲間が増えた。
ハードな道のりを前に、アメリカ人の底抜けに明るい、キャップを逆向きに被ってタンクトップを着た男の子と、アスリート系のフィリピンの女性、パンを入れた紙袋だけ持ってるビーサンのデンマークの男性(ちゃんと登山の装備をして登るようにとあちこちに注意書きがある)と、日本語をどうしても話したいオーストリア人の男性と一緒に歩くことになった。
(とにかく山の上は絶景続きだったので、写真をたくさん貼り付けてます。)
1つ目が見えた!
いや、あれが1つ目なのか定かではない。とりあえず横目に見ながら進む。
途中、雪が残っている場所があり、そこを吹き抜ける風が冷たくて気持ち良かった。
それから、遠くに2つほどポコポコっと湖を確認できた。
下界は35℃。山の上は25℃くらい。
涼しいが、太陽が近くてジリジリと焦げる感じがする。紙袋だけのデンマーク人はポケットから日焼け止めを取り出して塗っていた。日焼け止めは持ってんのかいな、とついツッコミたくなる。アメリカ人ボーイは、ずっと喋っていて元気であるが、筋肉モリモリの二の腕が真っ赤になってきているのが心配だ。フィリピンガールが、アメリカンジョークを適当にいなしながら逞しく進んでいくのが後ろから見ていて心強い。
日本語の喋れるオーストリア人は装備は完璧で、首の方も日焼けしないように長くなっているタイプの帽子をかぶり、水を3本持ち、ストックも使っているが、よろよろ歩きで何度もつまずいている。
1番後ろをマイペースに歩く日本人の私が、1番普通の格好で普通の体力だと思った。
それにしても、7つの湖に関係なく、全方位絶景である。
歩いていて非常に気持ちが良い。静かだし、空は青いし、雲はドラマティックだし、山の緑も綺麗だし。
そこにきて、突然目の前の景色が開けて、大きな美しい湖が出現するもんだから、息が止まりそうになった。
2つ目は雪が残っている瞳という意味のOkoto湖。
1時間半ほど登り切ったところから、3〜6つ目の湖を一気に見下ろすことができる。
旅先で、いろんな屋外の場所で、絶景を求めて朝ごはんやランチを食べてきた私だが、ここはかなりレベルの高いランチ場所だ。
絶景ランチベスト3に入ると思う。
買って持ってきていたパンとヌテラとナイフをリュックの中から出す。
最高に気分がいい。汗をかいた体に吹き抜ける風が気持ち良い。
左側にはアメリカ人が横になって昼寝をしていて、フィリピンガールが腰に手を当てて湖を見下ろしている。
私の斜め前でデンマーク人とオーストリア人が紙袋から出したパンを分け合って食べている。
私はその列から抜けて、1人でランチを楽しむ。
ヌテラを塗ろうと思っていたのに、まな板くらいの大きさのデカくて安いパンを買って持ってきていたのだが、パンをちぎると中から茶色いジャムが出てきた。ジャムパンだったのかと驚く。食べてみたが、何味かさっぱり分からない。チョコのような気もするし、いちごジャムのような気もする。キリル文字で書かれたブルガリア語は判読不可能である。何でもいいやと思い、何か分からない味のパンを食べたが、もはや何味でもどうでも良くて、美味しかった。
さて、来た道をゆっくり戻る。
雲ひとつない青空よりも、雲のある青空の方が、ドラマチックな写真になる気がする。
どちらも好きだけど、私は雲のある方が好みかな、という話をオーストリア人とデンマーク人としながらゆっくり歩いて戻る。
途中、クッキー休憩に入った。外国で買う、固くないソフトめのチョコの入ったクッキーにハズレはない。クランベリーも入ってて、めちゃくちゃ美味しいなと感心しながら食べた。移動の多い旅では、結構クッキーに救われることが多い。ご飯を食べる時間がなかったりする時、スーパーで買うこういうクッキーが空腹を救ってくれているなと思う。
山歩きは結構ハードではあったが、ここまで登らないと見られない景色があり、感じられない風があり、山の中でしか味わえない何味か分からないパンと美味しいクッキーがあるし、ここでしか吸えない空気がある。
このダイナミックな自然の中に身を置きながら、山には山の良さがあると実感した。
余談だが、オーストリア人の日本語は、帰りのリフトではペラペラになっていて、かなり驚いた。
「もしもあなたがiPhoneを落としても、あなたのiPhoneにはストラップがついてるから大丈夫。つまりあなたは天才です。」と正しく日本語で「もしも文」を使えていて驚いた。
行きのリフトでは「もしならばあなたあした」と言って私に「は?What??英語で話して」と冷たく言われていたのに、この数時間で驚くべき進化である。
彼いわく(ここからは英語で説明された)、日本語を1人でYouTubeで勉強してきたけど、これまで使う場面が全くなかった。それでも日本の文化が好きでアニメをYouTubeで見て、本も買って勉強してきた。頭の中にいっぱい日本語がたまってたのに、いざ日本人の君に会ってもうまく日本語の言葉が出てこなかった。でも話したいことが浮かんで、それを言葉にして伝えたいと思って話しているうちに、不思議と出てくるようになった、という。
外国語の言語習得の秘訣がこれだと思った。学んだ知識を使いたいとか披露したいではなく、この人にこれを伝えたい、聞きたいと思って、諦めずに伝えたいことを伝えたいと思って話し続けることなんだろうな。
伝えたいことありきで、言葉は結局そのためのツールなのだと思った。
私の英語はいつまで経っても上手くならないが、伝えたいことを伝えたいという気持ちを、しぼませずにいきたい。
あと、アメリカ人ボーイのすぐに名前を呼んで距離感ゼロでくるフレンドリーさと明るさ、フィリピンガールの逞しさと、紙袋1つで山登りするくらいのデンマーク人男性のフットワークの軽さと。
全員一人旅をしている旅人だったが、それぞれの旅人の素敵なところを見習いたい。
そんなことを素直に思ったセブンレイクであった。
余談の余談だが、帰りのバスを降りた時に、韓国人の男性に声をかけられた。
「すみません、あなたがとても素敵だったので、あなたの写真を撮りました。もし写真が欲しければ、写真を差し上げます。送るので連絡先を教えてください。」と声をかけられた。
なるほど。
このタイプのナンパは初めてであるが、これはかなり成功率の高い技なんじゃないかとしびれた。一人旅だと自分の自然な姿の写真って撮れないから嬉しい。
その嬉しさを逆手に取った技。やるじゃないか。私もイケメンを見つけたら、この技を使ってお近づきになろうかという邪な企みが浮かんだが、いや隠し撮りはダメだと気持ちを改めた。違う方法を探したい。とりあえず韓国人男性の撮った私の写真を見せてもらったが、どれもなかなかいい。なので隠し撮りの罪は水に長そうと思う。
うむ。
メールアドレスという古の連絡先をお伝えして写真をメールで送っていただき、晩御飯のお誘いは丁重にお断りし、韓国のチマチョゴリのしおりのプレゼントも受け取って、バス停でお別れした。
この韓国人男性の勇気もまた、見習ってもいいかも知れない。
一人旅の旅人のいいところを少しずつ見習っていけば、私は最強の旅人になれてしまう。
「セブンレイクで、7人の旅人が集まった。」
なんか意味深だし、もっとドラマっぽくnoteが書けたかもしれないし、ドラゴンボールっぽく願いが叶うかなと思ったけど、最後の韓国人を入れても数えたら6人だった。残念。
勝手に自分の想像で盛り上がって、勝手に残念がって終わったが、セブンレイクの写真をまた見たら、残念がる気持ちも一瞬で消えるくらいに、結局どれも絶景だった。
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