旅を諦めたわけではないけれど、エアコンを買った。

こんな日が来るなんてなあ…と複雑な思いでエアコンを見ている。
私は、旅好きが高じて、どうにかお得に旅に出たいと思ったことから、マイルを貯めることにも情熱を注ぐいわゆるマイラーにもなった。
ここのnoteでは詳細を書くのを避けるが、ハピタスでポイントを貯めてそのすべてをANAのマイルへと集結させ、この5年位は、貯まったマイルで特典航空券を買って、ヨーロッパやインドなどに無料で飛行機に乗って旅したりしていた。（と言っても燃油サーチャージ料は取られるから1～2万円くらいはヨーロッパ往復で支払ってはいたけれど。）
キャッシュレス生活がすっかり世の中に定着している今よりももっと前から私は何でもかんでも電子マネーやカード払いにしていて、そのポイントをマイルに交換し、貯まっていくマイルを見てにんまりするのが私の楽しみでもあった。
そんなマイラーの私に、コロナ禍という恐ろしいウェーブがやってきてしまい、すっかり飲み込まれて海底に沈んでしまった。
貯まっていた11万マイルも、海外旅に出られる目途もまだつかないまま、期限が近づいてきてしまい海底11万マイルになりつつあった。
ああ、私のマイルも海の泡となってしまうのか…と嘆きながら、もうダメもとで来年の分の航空券を予約してお祈りしようかな、などとも考えていた。

しかし、私は気ままに思いつきで旅をするのが好きだし、先々の予定を立てるのが好きではない。
とはいえ、仕事の調整などもあるから長期休暇はせめて最低限1か月前から計画しないといけないが、本当は、「よっしゃ明日からインド行こう！」くらいの勢いで生きていたい。
だから、1年先の飛行機を押さえるなんてそんなことは私には到底できない技なのであった。

さてさて、消えていくかもしれないマイルをどうしようか…。
そんな時、最近、我がマンションの寝室DIYにはまっていること、マンションを買う方向で考えていることもあり、家で快適に過ごすための何かにマイルを使おうか…と考え始めたのである。
寝室には最初から付いていた爆音のする大昔の窓用のエアコンがついているのだが、寝ぼけて爆撃機かと勘違いしてしまうくらいのうるささなので現在は使用していない。
そのため狭い寝室が暑くてたまらないので、夏の間はリビングに寝床を移して扇風機や時々エアコンを入れるなどして10年間しのいできた。
しかし、このマンションの部屋を買う方向で考えて進めているし、そうなったら寝室用のエアコンを買いたいなあという希望がむくむくと湧いてきてしまっている。しかし、なかなかの出費にはなる。
何日も悩み続けていたが、この11万マイル貯まっているマイルの一部を再度ポイントに戻して、そのポイントでエアコンを買おうと悩みぬいた末決心したのであった。
大げさかもしれないが、私にとっては、かなりの大事件である。
日本を飛び出して海外へ旅をするためだけにせっせと貯めてきたマイルを、家で快適に過ごすための物を買うのに使うのである。
いいのか私ー！
何度も心で叫んで自問自答を繰り返したが、消えていくマイルと、生まれ変わりつつある私の素敵な寝室に夏が近づいていることとを考えて決断を下した。

そして、窓用のエアコンを買った。　

そのメーカーの名は皮肉なことに「コロナ」。
こっちのコロナには罪はない。
26㎏のこのウインドエアコンを私一人の力で設置するという、のりまき工務店のこれまでの仕事の中でも、なかなか大きめの仕事である。
はじめてのソロキャンプでバックパック35㎏を担いだ経験をここで生かすことになるとは予想もしていなかった。
ああ、旅のために貯めたマイルを、家電のために使うなんてなあ、こんな日が来るなんてなあ。
電動ドライバーを充電させながらぼんやりとエアコンを見ている。
仕方ない。
今の私にとってベストの選択である。
そう自分に言い聞かせ、説明書を読み始めた。

はて。さて。
説明書はとても私に理解できるような内容ではなかった。
カンタンという謳い文句は、全人類に適用されるわけではない。説明書を読んで首をかしげているだけで30分経ちそうである。
工程が難しすぎたから電動ドライバーは再度、工具箱に片付けることにした。
熱帯夜がやって来るのが早いか、私の理解力アップが早いか。
どちらにせよ、海外に旅に出られる日が来るよりも早いことは間違いない。
エアコンを設置するのは、今日は諦めようと思う。

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