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チェンマイ・デイズ【タイランド#7】

タイで働くほぼ子さんと3日間過ごした後、年末年始を更に4日間チェンマイで過ごすことにした。
3泊4日の旅行だったが、とにかく歩いた。ほぼ子さんは私よりも一回り歳下なので若くて元気である。夜遅くても寝不足でもそれほど苦ではなさそうだったため、そこは年齢の壁を感じたが、私の睡眠重視ライフスタイルは年齢のせいでもない気がするし、毎日2万歩から3万歩を歩き回って、ほぼ子さんは足が痛いと言っていたが、私は筋肉痛が全くなかったから、年齢差は脚力でカバーできた気がする。腰は弱いので腰痛ベルトを巻いてはいたが。

私がチェンマイに来るのは3回目、7年ぶり。記憶が薄れていたのでどこも新しい気持ちで楽しめた。
予約したホテルが90%くらいオフという信じられないくらいの格安。1人1泊700円なのに豪華な写真だったからおかしいなとは思っていた。
行ってみると、予約した名前のホテルは潰れていて廃墟となっており、その代わりに隣のバカでかいホテルでチェックインして宿泊することとなった。そのバカでかい高級ホテルも部屋数が多すぎてこれはほとんど泊まってないでしょうよと思われる雰囲気が漂う、狐につままれたようなカラクリ。

廃墟
2人とも枕に手拭いを敷くタイプ


3日間、昼から歩き始めて夜遅くにホテルに戻ってきて昼前まで寝る、という生活の繰り返し。
旧市街に入る門まで、割と距離があり歩かないといけないので、その道のりは毎回タイや仕事と全く関係のない話をして笑いながら歩いた。昼も夜の帰り道も。
タイで、どうしてもその話をしないといけないのかと自身に問いたくなるようなしょうもない話をしては笑った。

旧市街に入ると大体いつも、
「今日何食べる?」という話。
それから、「細かい路地裏も全部制覇したいですよね」「いいね、くまなく歩こう」「端から行きましょうか」「こんな所に精神科クリニックがありますね」などと話して、迷子になってるんだか散歩してるんだか分からないような延々と歩く旧市街。
「タイの寺って嘘くさくないですか?偽物ぽいし作り物ぽい。」
とほぼ子さんが言う。
中には見応えのあるやつもあるけど、確かに映えを意識し過ぎたようなケバケバしいものが多い気がする。
それでも一応チェンマイの寺を巡ってみて、あの屋根が3つ連なってるのはラーンナー朝の建築様式の特徴的なものだと雑誌の受け売りを教えてあげたり、ヤックとモックを発見したりして楽しんだ。
ほぼ子さんは日本で畑をやっていたので、植物に興味がある。「あの木は別の木に寄生されてジワジワと養分を取られて締め上げられてるんですよ」とか言っていて、「人間にもそういうタイプがいるから注意せなあかんで」と私が答えたり、木の実とか花とか、私と違うものを見ている。
「10ヶ月のタイでの暮らしの中で、バイクの通勤路にとうもろこし畑を通るんですけど、10ヶ月で4回とうもろこしができたんですよ、しかも唐辛子と交互で。連作大丈夫なんかな」とも言っていた。
私はお寺のモザイク飾りやデザインが気になったり、夜市で売られているポーチがかわいくて気になったり、チェンマイ名物のカレーヌードル、カオソーイが気になる。
気になる部分が違って面白い。
2人が共通してることは、人間観察が好きなこと。
お寺(ワット・チェディルアン)で年越しイベントの準備をしてハシゴを持って右往左往している若いお坊さんたちの働きっぷりや、あるいは働かないっぷりを長い時間観察して笑った。

一緒に過ごしていて、ほぼ子さんはエコやSDGsが身についている人だなあと感心した。
タイはどちらかというとビニール袋を惜しまず使う。コンビニや夜市のテイクアウトでも。
ほぼ子さんは必ず毎回断っているし、前の日に夜市で食べたご飯のプラスチック容器を捨てずに持って帰ってホテルで洗って、翌日の夜市でカバンから出してきて「これにいれてください」と頼んだからびっくりした。
私は隙あらばビニール袋をもらって何かに使おうという魂胆なのだが、ちょっと恥ずかしくなった。見習わねばと一瞬は思うけど、それでもビニール袋をこっそりもらって、洗っていない靴下を入れるのに使ったりしていたが、それは気にしないで見逃してくれて助かった。

ラーンナー建築
ヤック
ワットチェディルアン。
震災で上が崩壊してるのが格好いい。
悩んで両方買った。ポーチは腐るほどあるのに。
カオソーイ!
偽物のマンゴーを本物の木に山ほど吊るす店
人が多くてHappy new yearが全く見えない。
なぜかしょっぱいマンゴー。美味しかった。



ほぼ子さんはずっと楽しそうに笑っていたから、私もずっと楽しかった。
海外の旅先での私のあるあるなんだけど、普段は滅多なことでは人前で涙を流さない人間である私が、一度だけ、ほぼ子さんと話していて、タイのことでも仕事のことでも家族のことでも恋愛のことでもない、予想外の話題を話しながら泣いてしまって、ほぼ子さんも泣いたりした。
悲しいとか寂しいとかではない謎の涙。
涙が出たことを大笑いして泣いた。
これも旅。
そんな日々はあっという間に過ぎていった。



次回はチェンマイでの年越しイベントの様子をお届け。
写真を撮り過ぎたから次回まとめて貼り付けます。

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