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キットカットをインドへ届けたい

昨年インドで世話になった宿で働くみんなへ、コロナ禍を乗り切れるように励ましの意味で贈り物を送ることにした。


ヤングなオーナーのヴィシャルは日本のいろんな味のキットカットが好きで次に来る時は持ってきて欲しいと頼まれていたのだけど、インドへはなかなか行けそうにないから、日本から送ることにした。
ここ最近はずっと山崎まさよしを口ずさみながら、いつでも探しているよ、どっかに君の姿を、とキットカットパトロールをしていた。
結局Amazonで取り寄せたりしたのだけど、5種類のクセの強いキットカットが集合したので、郵便局に持って行くことにした。
ちょうどディワリを皮切りにいろんな祭りのシーズンに入るし、11月中に届けばいいなぁ、とのんびり思っていたのだが、郵便局でその目論見は破れた。

あれ?
再開したと思ってた!
日本からインドへのEMSはまた停止になっていた。
航空便以外にも船便でも無理だと言われた。
いつもこういう時、無駄足にならないように情報は必ず下調べする私がうっかりしていた。
コロナ禍に慣れて、日常にも戻りつつあって早くも平和ボケしていたのだと思った。
スペインもイタリアもベルギーもロックダウンしたと友達から聞いているし、インドなんて何日連続でロックダウンしてることやら(220日以上らしい)な状況。
今年の冬から春にかけては、海外への郵便物の取り扱いをストップしていることは当然知っていたのに、第2波だとか何とか言いながら、普段の生活に戻り、今やまた海外便をストップする事態になっているということを予想さえしていなかった。私はすっかり呑気にコロナボケしていた。
という訳で、キットカットはインドに送ることもできず、我が家のカオス部屋へと連れ帰った。
賞味期限は1番早いもので2021年の1月。それまでにEMSは再開するだろうか。

何だか急にインドが、いや外国が遠く感じられた。
まるで、まだしょっちゅう海外へ旅をしていなかった時のような、まだLCCが一般的じゃなかった頃のような、まだ海外の友達とエアメールで文通をしていた頃のような果てしない遠さを感じる。
最近は気軽に旅して気軽に海外の人とやりとりをしていたから、それがストップとなり、また少し昔に戻ったのだなぁという気もする。
今はイタリアから日本の真夜中にメッセージが届いて、iPhoneの世界時計を見て、ああ向こうは夜ごはんの時間かぁとすぐに分かり、顔を見て話すこともiPhoneで簡単にできるけど、20年前は違ったなぁと思い出す。
時差を頭の中で計算して、手紙を出しては10日後には届くだろうか、と指折り数えたり、外国が遠い遠い場所だった少し前の時代を思い出す。

だけど、昔と違うのは、「キットカットを送れなかったよ、ごめんね」とメッセージを送るとすぐにインドから返事が来るところ。
日数をかけて手紙や物を届ける、それを指折り数えて待つ良さと、世界のどこにいてもすぐに繋がれる良さと。
不便なことの良さ、便利なことの素晴らしさ、どちらの良さも味わえる時代はなかなかいい。
キットカットの賞味期限とコロナウィルスとの競争を、キットカットを応援しながら待ちたい。相変わらずの片付いていない部屋のテーブルの上に雑に5パックどっさりと置かれたキットカットだが、早くコロナが収まってくれないと多分1月までに全て食べてしまいそうだし、桜日本酒味の袋を多分真っ先に開けそうな気がして、毎日私も闘っている。

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