見出し画像

アーティストが食っていく方法in日本

アーティストが食うために日本でどうすればいいのか?よく受ける質問なので持論ではございますが、ここに書きます。ずばり、2軸!なのではないでしょうか。つまり経済の「安定」と「挑戦」の2つの軸を持つこと。これが周り道のようで、一番近いのではないか。というのが、私のたどり着いたところです。挑戦の方はアーティストならアート作品を作ること。これは簡単でしょう。難しいのは安定の方。なんでもいいんでとにかく出来ることで経済を安定させることを目指します。できれば「安定」の方でコンスタントに年収400万円くらいいきたいです。つまり日本人の平均年収ほどです。簡単には無理なんですけど、考え方を変えるだけで道が見えてきますよ。またアーティストが陥りやすい考え方もあるので、それも書いていきますね。

アーティストなら自分で生きろと言われて突き放された過去

私はアーティストが食うためにはどうしたら良いか?を真剣に考え始めたきっかけは私が20代の京都に住んでいたころにあったことです。いい感じにアートバブルがあったので私もアートブームに乗っかって世界中で発表させてもらえましたが、ある時ピタッと止まってしまったんです。それはリーマンショックです。リーマンショックは日本では一般人にあまり影響がなかったからでしょうか、だれも共感してもらえませんでした。いろんなところで発表させてもらったとはいえ、生活費まで賄えるほどお金を稼いでいたわけではなく、貧乏でこれ以上生活費をカットしたら人間の尊厳を失う程でしたので、当時勤めていたと大学に仕事を求めて話をしに行きました。そこで「アーティストならギャラリーと手を組んでなんとかお金を産み出せ」と言われたんです。そもそもアーティストは大学の教育現場にはいらないともはっきり言われました。他の大学も当たってみましたが、私に専門的な知識がないのでダメと言われました。アート業界の方からはそもそもアートはお金稼ぎをするものではないと言われました。今から考えると芸術家先輩が後輩を引っ張れるだけの経済力がなかったんだと思います。しかし、はねのけられたショックは相当でした。じゃあアルバイトしたら?とは思うでしょうけど実は「アーティストはよく休む」という理由で活動するアーティストはいらないと断られていたのです。もちろん私のプライドも相当高かったです。仕事なら何てもいい!とはならなかったんですよ。こだわってました。だって難関芸術大学の大学院まで出て、なんで私が京都の料亭でお運びさんをやらないといけないのかと思いましたし。お運びさんは京都ではアルバイトの定番なんで、よくやってましたが。でもできればモノづくりの現場で仕事がしたかった。なので京都では生きていけないとおもい、東京に出ることにしました。

市場はどこにあるのか?アート市場はあるのか?

アート市場は200億円規模であるので映画産業よりアート市場の方が大きいです。アートと言っても私の立場である現代美術が所属するギャラリーだけでなく、古典美術や工芸、デパート販売も対象となります。数字だけ見ると相当お金が回っているのでは?と思いますが現代美術に関する市場は選ばれた誰か数人だけに集中して、そのほかのアーティスト作品にはアーティストが頑張ったところで売れもしないし社会の反応も皆無なので、なんのためにしているのかさへわからなくなります。そしてその選ばれた人も一時のことなので、日本では食えないから売れたお金で海外に出ていきます。

市場が成熟しているということはそれが欲しいと思う人が多いということ。日本のアート市場はあまりにも極所的過ぎるので、はっきり言って作品でお金を稼ごうと頑張るだけ無駄なんです。なのでアートで食っていきたいと思うならアート市場が成熟したところに行くべきです。例えはNY。「なんであなたの作品が売れるの?」と思う人でも売れるんですよ。失礼な言い方しちゃいますが、でも頑張れば頑張るだけNYで生きていけるくらいの経済力を持つことができるのです。そういうふうに切磋琢磨した世界の中でスーパースターが生まれ、アートの祭典が開かれます。日本のアーティストの経済力のなさとアート市場の狭さいうのは切磋琢磨する市場がありませんから、ビジネス経験値も制作経験も、市場が成熟した場所で活動する作家に比べると圧倒的に少ないです。

日本でもアートの祭典もあらゆるところで行われますが、なんか変。そもそも市場がないので、すべてがぶつ切れ。ギャラリーで話題になったらアートの祭典に呼ばれたりするんですが、その間にあるはずの市場がないので、アーティストに経済力がない。そしてアーティストにないんだから、もちろん主催者側にも経済力がないんです。やればやるほど生活が出来なくなっていきます。美術展に出品となるともう本当に大変です。作品を作らないといけないし、搬入費も払わないといけないし。そして終わった後に作品が返ってくるもんですから保管場所が必要になります。そして頑張って何かしらの美術展で賞を取って美術団体の会員などなったとします。作品も売れるようになりますが、自分の作品を1000万円で売れたら団体の誰かの作品を1500万円で買う感じで団体内で売り買いされるだけなので、結局局所的なので市場は広がりません。

つまり財産がある人、お金持ち、誰かから支援されている数少ないエリート層くらいしか生き残れないのが日本のアートです。アート作品なんていつ花開くかわからないのだから、作る意思がある人はお金をあげるなり、補助金をばらまくなどして全員続けさせたほうがいいんです。その中から売れる人が1人でも出たら、かけたお金なんて全部返ってきますし。ただ遠い未来にお金はかけれないという考え方があるのと、伝統的にある「美術でかせぐべきではない」「アーティストはビジネスなんて興味ないはず」という考えからお金が回ってこないので、どうしても自立の出来ません。

これは多方面で問題視されていると思います。話がずれますが、コロナワクチンも日本製がなかなか出てこない理由がここにあります。いつ起こるかわからないものにお金をかけないから”今”日本にないんです。アートも実は日本がアジアの市場の中心をとれたはずの時代がありましたが、これも色々議論して進まないうちに中国にとられてしまいました。中国で現代美術が始まったのは90年代。なのに中国が現代アートの中心と言ってまして、日本の文化も中国由来の一つとして紹介してます。日本は西洋から輸入し油絵始めた高橋由一は江戸の侍です。こちらの方が歴史は長いんですが、歴史というのは常に勝者の物語。中国の国策に負けた日本のアートの歴史は名だたるアーティストがいるのにもかかわらず存在が薄くなりました。中国は3Dプリンターも国家を上げて応援するからすごい勢いで。すごいなあって思います。日本はなんかこう、昔から未来へのお金のかけ方がずれているんです。

自立の出来なささに、多くの作家はみんな落ち込み、焦ります。そんな気持ちをないがしろにしてしまいますが、日本でアート活動してお金を稼ぐのは残念ながらもう諦めた方がいいと思います。普通に生きるためにアートやっても、何もうまくいきません。

新しい市場のこと。アーティストの立場のこと。

まあでもそこまで落ち込む必要もないんです。今は有象無象の時代と思いますし、全然大丈夫です。段階踏まなくてもyoutubeで急に有名になることも出来ますし、稼ぐこともできます。圧倒的なパワーなんていりません。あなたの問題を育てていくことが大切です。いいねがいっぱい集まったものが売れるわけでもないし。

アート業界でも今までの制度以外に新しい動きがもちろん出てきています。ネット販売、ブロックチェーン、アートバトル、グラフティブームなどですね。中国の現代美術の独自的な動きもあって、いままで西洋が中心であったアートという制度が駄々崩れです。またメディアアートなんて集団ですごい勢いだし、アフリカをベースにソーシャルアートを打ち出したりする人もいる。グローバルに動くことでチャンスはゴロゴロ転がっています。なので日本市場を気にしているともったいないのです。いっぱい挑戦したほうがいいし、たのしいです。

でも結局、何をしようが資金の問題があります。人脈も肝心ですね。簡単に海外に行けばいいと言いましたが、私も簡単に海外には行けません。NYのホテルに1週間滞在しただけで貯金が空っぽです。助成金もいっぱいありますからそれを使ってもいいと思いますが、助成金や補助金関係は最初に自分で払わないといけませんから、そもそもお金がないとだめなんです。だからか私は何度も落ちてまして、選ばれない人には縁がないです。こういうアーティストはいっぱいいますよね。市場のある現場にも行けない、助成金も通らない。選ばれない。社会に注目もされない。こうなったら最悪です。結局アーティストなんてやめた方が得策なんです。でもどうやって辞めれるのか、私が知りたいです。

そこでたどり着いたのが私が冒頭で話をした2軸です。2軸で稼ぐのが自立への近道なんです。

2軸とは

この2軸を持つことはビジネスとしては当たり前なんですが活動を安定と挑戦に分けて、安定で得た資金を挑戦に回すんです。例えばチームラボさんはアート活動が目立ちますが、結構固い仕事をして、しっかり回してらっしゃいます。身近な例ならビッグカメラさんのアプリもチームラボさんが担当だったりする。日本は経済大国ですから探せばデザイン事業などいっぱいありますので、その市場にとりあえず乗っかるんです。これが大事なんです。

乗っかることです。間違えても市場を切り開くことを考えてはいけません。アーティストの陥りやすいのは新しい価値を創出しようとするところです。私もアーティストなので、それをしたくなってしまいますが、忘れてしまうのが、市場というのは価値があるから人が集まり成熟しているということなんです。新しい価値の市場には人がいない。だからお金が回らないし、新しく作ったものなんて「安定」の目的には使えないのです。「誰もしてないこと」をしたら、価値がでると思いたいけど、その考え方は封印してください。とっぴな事でそう簡単に価値は作れませんし、その時間を使ってアート作品を作った方がいいでしょう。

もちろん私は拗らせたことあります。全然お金になりませんでした。実は新しい価値作りなんてアート作品で私たちは頑張ってやってるんだから、もう頑張らなくてもいいんです。作品作りに慣れてしまうと自分の価値作りを忘れてしまいますね。それくらい社会的に意味のないことをしている、自分の価値の低さ、そういったものへの自覚を持ってるのかもしれません。反省(笑)。そこまで自分を落とさなくてもいいんです(と、毎日わたしは自分の言い聞かせております✝️)

安定した職の手に入れ方

実は態度が大事です。ズバリ「堂々と渡り歩くこと」なんです。どんな偉い人にもため口で話かけるくらい。相手に気を遣うとかしてはダメです。文句もガンガン言いましょう。間違ってたって嫌われたってかまわないんです。悪気がなければ飲み会でお金を払わないくらいでも全然いいと思います。これはダメだろう~っておもうでしょ?いいんです、悪気がなければ。才能です。実はどんなに偉い人でもビジネスの相手を頼りにしたい。だから自己主張のない人は頼れないのでまず選ばれません。そしてそれがクリアー出来れば、あとは納品物は完璧に仕上げてください。修正がはいってもいいです。絶対に逃げないでください。完璧に仕上がったものが評価されます。

私は安定のために6年かけました。会社で働くことで何を考えてみんなが働いてるのか勉強しました。生活のためはもちろんなんですが、それよりも、どうやってやりとりしてるのか、お金の動かし方はどうやってするのか?などです。この力はきっとアートでも使えると思っていましたから、この期間は苦しかったですけど耐えました。それで運命のコロナ禍、急にフリーランスに戻りまして、いきなりアーティスト一本の状態になったんです。もう死ぬ気覚悟でした。無理矢理営業までしないといけなくなりましたし、守らないと損をするしビジネスにならないし、とにかく頑張りました。でも会社で勤務していたことの負の遺産がありました。上司の命令をきく感じでクライアントの話をきいていたんです。大変な目にあいましたよー。あれもこれもしないといけない状態になったり、yesマンだから何もくわしく話してもらえなかったり。yesというから全部わかってるとおもわれちゃうのが原因です。失敗の経験をつみながら私は堂々とすることの大切さを知りました。最初はその失敗で収入5万の月もありましたが、月によっては40万の時もあり、そして堂々としてからはコンスタントに仕事をとることも出来るようになりました。これが「安定」のための仕事の得る方法です。

もちろん、技術力は必要です。わたしの場合は会社での勤務時代に覚えた3Dデザインです。幅広く覚えていたので、応用がききます。言い方変えると市場にうまく乗っかるために方法論をいくつか持っていて、それを組み合わせていく事で、安定市場を手に入れました。あなたの技術力は社会でどう生かせるでしょうか?そこが重要になります。安定市場は大まかに言うと小売、製造、教育です。その中の何に役に立つと思いますか?それさえわかれば前に進むだけです。

フリーランスの営業はクラウドワークスやランサーズと言ったサービスを利用し、ビジネスが成功した際は手数料を払っています。また顧客はとにかくいろんな人に話しかけていくことで獲得してます。変な人にも合うことはありますが、だいたいの人はビジネスパートナーになってくれるので、デザインのお仕事をいただいたりできてます。

海外のアーティストの状況〈フランス〉

日本の状況だともう頭を使ってうまくやっていくしかないのですが、フランスで聞いて話を。なんと貴族が財団を持っていて申請者全員に年50万円程度支援するみたいです。その際に必要なのは財団で支援された人の紹介状です。作品審査もないんです。すごくないですか?日本でお金もらおうと思うとコンペで選ばれしモノになるしかないのですが。展覧会も結構気楽に名のある場所で開けるみたいですし、アーティストの仕事もいっぱいあるそうで、これを教えてくれた友人は日本でいるときより自由になって楽しすぎて年取ることも忘れると言ってました。彼女は40代前半ですが、日本だったらアート作品なんて作ってないで子供を産めとセクハラをあいまくる年齢です。私もつい最近急に不妊治療するのか?ときかれて萎えたので(ひどいというかなんというか・・・)、年齢を忘れて楽しめるアート天国はうらやましいなあと思いました。もちろんフランスにも問題は山ほどありますので、とっても一面的ではあるのです。が、制作することのハードルがすごく低い。やっぱり本場に行かねば!お金がないのでショートステイしか私はできませんが。お金に余裕がある方は是非フランスへ!アメリカへ!イギリスへ!

一生モノづくりして生きる

私は職場でいろんな立場の方に出会えましたので、いろんな話を聞いてもらいアドバイスをいただきました。考え方の狭さを思いっきり怒られた事もあります。そんな中で腹の中心から出た言葉が人を動かすしビジネスになるんだと何度も教えてもらいました。なんだかそれを実践していっている気がしてます。私はモノづくりで生きたい。作品を作りたい。私の腹にはそれしかありません。その心意気が「安定」も「挑戦」もささえるんだと思います。

安定の方で得るお金は100万や200万とかではなく、日本で生活が普通に出来るくらい、年収400万を目指してください。組織にいなくてもフリーランスでもいけます。そっから年収1000万になるのはあんがい難しくなさそうです(まだなってないのでわかりませんが。。。)
そしてこの人はお金動かせるとわかればエンジェル投資やユニコーン投資もしてもらえるようになるのでさらに年収が上がっていきますので「挑戦」がしやすくなりますよ。

次は「安定」と「挑戦」の両立についてとか書けたらいいなと思っています。なんかまた情報が得られたらnoteに書きます。

アーティストが食えるようになりますように。そして人生が豊かになりますように!

私もがんばりますー!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?