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マレーシアでデング熱に2度感染した娘の話

こんにちは!NORIKO@どっぷりマレーシアです。

デング熱-この言葉には人一倍敏感な私です。なぜなら長女が2歳と6歳の時に2度発症しており、6歳の時はかなり辛い思いをしたからです。

ここではその時の話とその後の対策、自分なりに調べたデング熱情報など書いています。東南アジア在住者の方やこれからマレーシアに渡航を予定されている方の参考になれば幸いです!


2度のデング熱体験記

突然の発熱から始まります

マレーシア生まれ、マレーシア育ちの長女はとっても美味しい血の持ち主らしく、赤ちゃんの頃からよく蚊に刺されていた。

長女が6歳(小学校1年生)の時だった。あの時の事は今でもよく覚えている。ある水曜日、学校から帰ってきたら、手足が蚊に刺されまくっていてビックリ!その後起きることなんて想像もしてない私は、まぁいつものことかぁと思ってかゆみ止めを塗り、その事を気にも止めていなかった。

その三日後の土曜日、学校は休みだからゆっくりな朝。なかなか起きてこない娘を起こしに行くと「ママ、身体に力が入らない…」という。触ってみるとすごい高熱。しかもいつもの高熱と様子が全然違う。しばらくして酷い嘔吐が始まる。何も食べられないし、水を飲ませてもすぐ吐いてしまう。

もしや…こないだの蚊…デングかも…

すぐ救急外来へ行き、血液検査の結果デング熱と分かる。何も飲めず食べられずで血小板の数値も下がっていた事と、6歳という年齢も考慮し、入院。

デング熱の主な病状としては、高熱、激しい頭痛、目の奥の痛み、関節痛、筋肉痛などの他、血小板の数値が下がることが特徴。出血を止める役割をしている血小板が減る事で、まれに重症化しデング出血熱となり血が止まらず輸血する必要があったり、適切な処置がされないと最悪死に至ることもある。

ここで覚えておいていただきたいのが、デング熱の時に使ってはいけない解熱剤があること。アスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどは、血小板の働きを弱めてしまうため、使用するのは危険。必ずアセトアミノフェン(パラセタモール。マレーシアではパナドールが一般的)を使う。
デング熱と分かっていれば病院でパナドールが処方されると思うが、診察を受ける前に自己判断で解熱剤を飲みたい時、少しでもデング熱が疑われる場合はパラセタモールを飲む。という事を覚えておいて頂きたいです

入院して分かった事実

「頭が痛い…もう死にたい…」とうなる娘。6歳の子が初めて「死にたい」という言葉を口にし、何とも言えない気持ちになった。とても辛そうにしている娘に対し何もできない自分が苦しかった。

入院してから毎朝血液検査し、血小板の値をチェックする。また、脱水症状を起こさないよう、飲んだ水の量と尿の量を全て測るように言われ、チェックしていた。

そして血液検査の結果から分かった意外な事実を医者から告げられた。
娘さんデング熱にかかったのは今回が2度目ですね?

え!?初めてでしょう?!!

…あっ!!!記憶が一気によみがえる。
そういえば2歳の時、謎の高熱を出したときがあったけど、あれか?!その時も39度を超える高熱が3日くらい続いたけど、咳や鼻水とか風邪っぽい症状は一切なくて、解熱後発疹が体中に出たっけ!その発疹を見て小児科の先生が「突発性発疹だったのかなぁ」って言ってたけど、あのときデング熱検査はしなかった。あれだ、きっと!

まさかの2回目ということで、色々ネットで調べてみると怖い事ばっかり出てきた。
・2度目は重症化しやすい。
・小児やお年寄りは重症化の確率がぐんと上がる。
などなど。医者もどのぐらい危険なのかはっきりとは言わないし 、ネットの情報を見れば見るほど不安になってしまった。

私は入院中ずっと付き添っていたが、殆ど眠れなかった。主人が代わると言ってくれたけれど、娘の傍にいない方が心配で寝れなかった。マレーシアの病院は寒い。そして付き添い用の簡易ベッドはあるが、固くてとても眠れるもんじゃない。何日かして友人がわざわざマットレスと毛布を持ってきてくれた。心細かった入院中、毎日のように沢山の方がお見舞いに来てくれた事が本当にありがたかった(デング熱は人から人へは移りません)。

恐怖と決意のあの夜の事

一番血小板の値が下がっていた日の夜中、トイレに起きた娘 。すると鼻血がポタポタポタ
出血=デング出血熱=重症化!と思ったため、すぐにナースコールのボタンを押す。が…そこはマレーシアの病院。真夜中だし、来ない。とりあえずベッドに娘を寝かせ、顔を見ると、唇や歯茎からも血が滲み出ていた。

娘に「大丈夫だから、大丈夫だからね!」と言いながら、内心、どうしよう、どうしようってパニック。待ってても来ないから、ナースステーションに走るが誰も居ない。エクスキューズミー!!って控えめな大声で(真夜中だから)叫んだらやっと奥の部屋から出て来てくれた。
ナースが部屋に来て娘を見るなり冷静に、「冷やしましょう」と言って鼻の付け根を冷やしてくれた。こちらが心配しないように冷静でいてくれたのか、それとも夜中だったから眠かったのか、それは未だ謎のまま。

幸いにも娘の鼻血はすぐに止まって、症状も落ち着いたのだけれど、その日私は一睡もできなかった。眠れない病室で娘を見ながら、この子を守れるのは世界中に私しかいない。私が強くなきゃいけない。絶対に娘を死なせない!!っていうなんか闘志みたいのが沸々と湧いたのを覚えている。

その夜を境に血小板の値はどんどん上昇して回復に向かっていったのだけど、あの恐怖と決意の夜のことは今でも忘れられない。

これはもうかなり良くなっていた頃の様子。
奇しくも彼女を出産した病院で、8日程入院した。

その後のデング熱対策

デング熱には4つの型があり、1つの型に一度感染すると一生免疫ができる。つまり、娘は2度感染した後も、別の2型にはまだかかる可能性があるのだ。3度目の感染をしたらどうなってしまうのだろうかと、考えただけで恐ろしくて、日本に本帰国しようかと考えたくらいだった。でもマレーシアで生きていくと決めた私たち。とにかく蚊に刺されないように気をつけていくしかない。

対策①虫よけクリーム

それから私は蚊除けマニアと化し、あらゆる虫除けを試した。

マレーシアの薬局には虫避けグッズだけでこんなにズラリ

そして、一番効果が長いもの、臭いのきつくないもの、 子供が塗っても肌が荒れないもの、 デング熱の蚊に効くもの、として我が家はこのフマキラーの製品にたどり着いた。

Aeon Wellnessなどの薬局やShoppeeでも買えます

この虫除けを毎朝娘たちに塗っているが、おかげで蚊に刺されることは劇的に減った。長女は未だ、塗り忘れるとすぐ刺されてしまう。刺されたら、焼け石に水かもしれないけど、刺された所を石鹸でゴシゴシ洗わせている。それから3日間はまたあの高熱を出すんじゃないかとドキドキしてしまう。完全にトラウマである。

対策②網戸をつける

虫除け以外に気をつけていることは、網戸をつけること。
KLに日本語対応の網戸サービスもある。

対策③免疫力を付ける!

デングウイルスにやられないために、規則正しい生活と十分な睡眠、栄養をとることで抵抗力、免疫力をつけておくことも大事!!娘が2回目に感染した時は、小学校に上がったばかりで、慣れない環境で疲れがかなりたまっていた時だった。

対策④服装

なるべく長袖長ズボンを着用し、肌の露出を避ける。また、黒い服は蚊が寄ってきやすい為、避ける。

対策⑤蚊を発生させない

花瓶の水や、水たまりなど蚊が発生しないように気をつける事。

こんなところにも蚊は発生します!卵はわずかな水でも産み付けられ、乾燥に強く生命力があるため一時的に水が乾燥しても卵は死にません。

私もよく調べるまでは勘違いしていたことがある。蚊は、木が多い森林の中にいるから、ハイキングやキャンプに行く時に特に気をつけるべきだと思っていた。けれど、デングウイルスを持っているネッタイシマカやヒトスジシマカは、人間の血液をだけを吸って生きているため、人間が生きているところ=家の中や家の周り、人が多いところに存在しているのだ。そのため極端な話、家の中にいてもデング熱に感染する可能性がある。実際娘がデング熱の蚊に刺された場所は、1度目は住んでいたコンドミニアムの共有エリア(その時は気付かなかったけれど、蚊に刺されていたとしたら恐らくコンド内)、2回目は学校だった。

その他デング熱情報

デングウィルスを持つ蚊の特徴

ネッタイシマカとヒトスジシマカの特徴は、手足が白と黒の縞模様であること。またヒトスジシマカには背中に1本の白い筋がある。刺されるとぷくっと膨れて強いかゆみを感じるのが特徴のよう。

私はこのような写真を見るだけでかなり不快になります…

デング熱発生エリア追跡

MySerjahteraのアプリ内には、Infectious Disease Tracker(感染症追跡)があり、自分がいる場所のデング熱情報が確認できる。

コロナ禍で大変お世話になったアプリMySerjahtera

私はどこに出かけるにも、必ずこの情報をチェックし、今自分がいる場所でデング熱が出ていないかどうかを確認している。

①MySejahteraのホーム画面からInfections Disease Trackerを選ぶ。
②GPSで今いる場所の様々な感染症情報が見られるが、その中にデング熱もある。

但し、デングウイルスを持った蚊に刺されても、5〜8割の人は不顕性(症状が何も出ない)で終わる。そのため周りにデング熱にかかった人が居なくても、不顕性なだけでウィルスを持った蚊は近くにいるかもしれないので要注意。

マレーシアでもデング熱ワクチンがついに!

最近、私にとっては涙が出るほど嬉しいニュースが飛び込んできた!武田薬品が開発したデング熱のワクチンがついにマレーシアでも打てるようになったのだ!!私はワクチンの誕生をずっとずっと待っていた。武田薬品様、本当にありがとうございますという気持ちでいっぱい。これで私と長女のマレーシア生活がどれだけ快適になるか!

デングワクチンの開発は意外に長い歴史があり、1920年代から始まっている。4型全てに効果があるワクチンを開発するのに難航したようで、Dengvaxiaというフランスの製薬会社が開発したワクチンがメキシコで承認されたのが2015年。ただこのDengvaxiaは、感染歴の無い人には打てないワクチンだったため、接種前に感染歴を調べる検査が必要だった。
一方武田薬品が開発したワクチンQDENGAは、接種前検査が不要で、感染歴に関係なく接種が可能となったそうだ。対象年齢は4歳以上。2024年6月現在、インドネシア、ヨーロッパ諸国、イギリス、ブラジル、アルゼンチン、タイで承認されている。

約2万人を対象とする臨床試験では、発症予防効果が61%、重症化の予防効果が84%と

マレーシア政府は2024年2月に認証。マレーシアの日系クリニックであるひばりクリニックさんでは2024年5月から接種可能に。2回の接種で全ての4型に有効。まだ新しいワクチンの為、今のところ有効期間は4~5年とされており、それ以降の有効率はわからないそうなのだけど、WHOも認めたワクチンとのことで、 早速2回分を購入した。
ひばりクリニックさんではキッズ割10%が効いて、2回で診察料も含めRM450(約15,300円)だった。他の日系クリニック3社に問い合わせたが、キッズ割があるひばりさんが一番安かった。

1回目打ってきました!

先日1回目のワクチンを打ってきました。

娘は今11歳。4歳のお子様も先日打ちに来られましたよーとクリニックの方が教えてくれました

副作用も全くなく、安心しています。次は3ヶ月後、2回目を打ってきたらまたアップデートします。

今後も感染拡大が見込まれるデング熱…


Malayan Dragon さんの記事に、マレーシア国内の感染者が去年比で235.6%の大幅増を記録しているとの情報が!
他にもフォギングのことや罰金のことまで詳しく書いてくださっていたので↓ご紹介しますね。

経験した私からすると、デング熱は非常に怖いです。今後も温暖化やグローバル化に伴い、世界中で感染は拡大していくと思われます。今まさに私の友人もデング熱で入院しています。
ワクチンについては賛否両論あるかと思いますが、特に感染歴がある方には、重症化を防ぐためにワクチン接種を強くお勧めしたいです。

ちなみに私自身は、17年のマレーシア生活で一度もデング熱にかかったことがありません。夫も次女もありません。我が家では長女だけなのです。やはり長女のように、刺されやすい人。というのは一定数いるのかもしれません。

私の経験と情報が皆さんのお役に立てていればとても嬉しいです。
長文となりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

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