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「コロナはただの風邪」ではない【追記:2022/07/25】

このところの、このコロナ禍での自分の身体の話を書こうと思う。
こんなことでも、誰かの役に立つのかもしれない。そう願いつつ。

【コロナ陰謀論には飽きた】

「コロナはただの風邪」「コロナは陰謀。本当はただの肺炎」というような、良くあるありきたりな陰謀論には飽きてきている。飽きる以前に、自分はコロナで重症化して、ICUにまで行ってきたから(これは昨年のnoteに記事を書いた)、正直なところ、陰謀論は腹はたたないが、あまり頭の良い人がやることじゃないし、現場の実際を知らない人が素人考えでやっている感じがどうしてもあるね。

【ICU(集中治療室)の記憶は頭から離れない】
ICUでは周りの人がどんどん死んでいく。亡くなった方のその体に、頭から全身に布が被されるから、その人が亡くなったのがわかる。

意識がはっきりしているときに看護師さんが来て「誰かに言っておくことはありませんか」と自分に聞く。その時はわからなかった。ICUを出てわかった。それは遺言を聞かれたのだ、と。

【毒虫が見える】
父親は医者だったが、父から昔聞いた話では肺がやられた患者は、幻覚で「毒虫」が這っているのが見える、と言う。実際、ぼくは幻覚でその毒虫がICUの白い壁にうじゃうじゃと這っているのを見た。「あぁ、これが父の言っていた毒虫か」。目を凝らして見ても、はっきりとは見えない。なんかボッと見えているものが動いている。たくさん動いている。そして、肺がだんだんと治っていくに従って、その毒虫は減って行った。昨日は10匹見えた。今日は3匹。良くなっているらしい。そう思えた。

ある時は、病院に入る以前に行った沖縄の那覇で行った羊料理の店の天井が見えた。ICUの天井に。もちろん、それは幻覚だった。

他にも、幻覚も悪い夢もいくつか見ていたが、今はもうはっきり覚えていない。

【ICUにいるときは】
しかし、ICUでは不思議なことに、こういうことがあっても、何故か深刻な気持ちになれないのだ。おそらく、精神を安定させる薬が入っていたからだろう。これらの今でも頭の中にある映像を本当に怖く感じたのは、ICUを出てから一般病棟に移ってからだった。そこから、底しれぬ「感染恐怖」のPTSDが始まった。自分でもどうしようもないときは、FBメッセンジャーで古くからの知人の医師に連絡して、自分の精神状態を伝え、いろいろと話をしてもらって、なんとか一息がつけたこともあった。

そうか、自分は戦場に行ったようなものだったのだ、と、今なら言える。

【人は陰謀論でわかったつもりになりたい】
人は自分が理解できないことを「陰謀論」でわかったことにする、ってのは、昔からあることだ。自分が理解できないことは、自分の頭が追いついていないとか、勉強が足りない、とは思わない。不思議だなぁ、って思うけれども、人っていうのはそういう思考をする生き物ではあるのは、昔からあることだ。

人間の持つ科学なんてものも、全てをわかっていないからこそできた「方法論」である。「科学は万能ではない」という人は科学というものをわかっていないのだと、私は思う。人間なんてのはその程度だ、ってことだ。

【サイトカインストームとハッピーハイポキシア】
実際、ぼくの肺炎はコロナ起因の肺炎であることは明白で「サイトカインストーム(ウィルスに対抗する身体が過剰に反応してかえって身体を壊す)」というメカニズムでなった肺炎なんだよね。「ハッピーハイポキシア(肺が重症化しているのに全く息苦しさなどの自覚症状がない)」もあって、ICUに入る直前でも元気だった。ICUの入り口で、先生から「なぜここに来たかわかってますか?」と言われるくらい、顔色も良かった。しかし、肺はめちゃめちゃだったのだ。

【コロナにはまだわかっていないことが多い】
コロナによる肺炎の重症化については、なぜそうなるのか?ということがわかっては来ているものの、知見としてはインフルエンザほどには無い。そこが怖いところだし、陰謀論もリアルにしちゃうところなんだろうな。だって、見えないものだからね。なんとでも解釈しようとすればできる、ってところがあるからね。

【コロナはまた強毒化するかもしれない】
今後のウィルスの変異もあり得るし、それが変異ごとに軽症化に向かうかどうかもわからない。だいたい、コロナそのものが人の身体に大きな影響を与えるようになったのは、もともとあった「コロナウィルス」というありきたりなウィルス(レトロウィルス)の強毒への変異があったからだ。

【コロナ重症化からなんとか戻ってきてリハビリの日々】
コロナの病院での入院は昨年の1月半ばになんとか終わった。

2020年末ギリギリにPCR検査が陰性になって、退院。しかし病院ではなんとかICUから生きて帰って来れたものの、身体はかなり弱っていて、階段の登り降りもできない状態だったので、引き続き他の病院に転院させてもらい、2020年末から他の病院でリハビリ入院となった。

病院内でのリハビリの目標は「無理なく階段の昇り降りができるようになること」としてなんとかクリア。2021年1月半ばに病院を離れ、自宅療養に切り替えた。病院で年を越したのだ。

いまいるところは、自室が二階にあるから、階段の昇り降りは退院の必須の条件だった。

【完全にはできなくても、なんとかこなした仕事】
その後、体力の回復のための自主的なリハビリをした。かかりつけのお医者様とも相談しつつ、だんだんと体力と気力の回復が必要ということだったので、仕事をセーブしつつ半年を費やす計画で、なんとか7月には仕事復帰を果たした。しかしながらコロナ禍はその頃まだまだ酷く、目の前には1周遅れの東京オリンピックが予定されていた。オンラインでの会議は全てこなした。またピンポイントだが、必要な文書はなんとか用意し、自分が不在時に問題のある仕事になってしまったものの後始末に追われた。

【東京オリンピック後の「第5波」とその後】
そして東京オリンピックが始まった。オリンピックのすぐ後に再びのパンデミックが予想されたが、その通りになって「第5波」が来た。仕事復帰してもなかなか動きが取れなかった。やがて、その5波の後、日本ではウソのように感染者が減った。誰もが首を傾げつつ、動き始めた。自分も感染恐怖のPTSDはあったが、それでも仕事の重要な会議には出るようになった。

しかし、年末になると感染者数の増加が始まる気配が出てきて、その頃からまた、外に出るのは控え始めた。

【大腸がんが発覚。開腹手術】
このコロナの動きの一方で、10月に自分には「大腸癌」が発覚した。最近は大腸がんになる人が増えているそうだが、リモートワークでの運動不足なのか?それともコロナの後遺症の一種なのか?あるいは全く関係ない別の原因なのか?。まだコロナについてはわかっていることが少ないので、原因はわからない。

血便が出るのでおかしいと思い、行きつけの病院で大腸の内視鏡検査をしてもらったところ、開腹手術が必要とのこと。その後さらに検査を行い、12月初めの手術に臨んだ。

【癌は「治る病気」になった】
コロナからの復帰というよりも仕事の正常化がオンラインが主とは言え進んでいたから、ここでのがん発見は精神的にもかなりこたえた。しかし手術が必要となればやらなければならない。仕事にしてもここで止めるわけにもいかない。聞けば最近の手術入院は半月ほど、というので、入院手術を決めた。

【小さな癌も】
手術後、手術を担当していただいたお医者様から、リンパに飛んでいる小さながんが見つかった(ステージ1から、突然ステージ4になった、ということだ)ので、抗がん剤治療が必要、と言われ、ショックが続いた。「これが80歳を超える人であれば、抗がん剤治療は勧めないんですけどね」と言われ、抗がん剤治療に入ることになり、術後6週間から抗がん剤治療を行うことになった。2022年の年明けから、ということだ。この抗がん剤治療は通いで良いという。

また、最近は医療の発達によって、がんは「治る病気」とのことで「不治の病」ではないので、治療が受けられるのであれば、積極的に受けたほうがいい、というアドバイスもいただいた。

【そしてコロナ第6波】
なんとか年末年始は在宅で過ごすことができたが、食事は明らかに少なくなったのが自分でもよくわかった。そして年始にはコロナ第6波が本格化し、第5波と比べても大幅な感染者や重症者の増加が急激に始まった。3月半ばには第6波はピークとなり、そこからは下降線に入ったものの、その下降の度合いは非常に緩慢な上、働き盛りの年代の感染者も急増している。これは現在もまだ続いている。私の周りでも、軽症ではあってもコロナになった、という人がかなり増えた。先日病院に予後の診察に行くと、先生は「(コロナは)もう当たり前に誰でもかかるものになりましたから」とのことだ。たしかにそれが実感だ。

【抗がん剤治療】
抗がん剤治療は、4週間投薬して1週間休薬を1クールとして5クール続くという。抗がん剤にはかなり重い副作用があるとのことだが、現在は自分の場合、以下の問題がある。

●自分で制御できない突然の下痢
●白血球の激減があるので、感染症には特に気をつけないといけない

現在抗がん剤は3クール目が終わりそうな時だが、2クールが終わったときの検査では腫瘍マーカーは見られないとのことで、少し気分も落ち着いている。身体はこの抗がん剤の副作用以外ほぼ大丈夫だ。しかし、このような状況でここまで来たため、療養中の体力などもあり、ワクチンの接種は結局今までできていないから、そういう意味でも感染は自分にとって二重の恐怖だ。

【3つの山】
自分にしてみれば、この二年で「コロナ」「がん発見と手術」「再びのがん発見と治療」という3つの波が、精神的にかなりきつかった。今もそれは続いている。

余談だが、ネットなどで見るウクライナの「紛争」の戦場では、おそらく私以上の想いで、今日はこちら、明日はあちら、と命が明日あるかどうかもわからず、戦場を引きずり回されている人たちがいるのだろうと思う。

【今のコロナはまだ多い。十分に気をつける必要がある】
コロナという感染症はまだ現在も第五波以上であることは事実で「終わっていない」。その中での「感染症要注意」はやはり自分にとって、命に関わる恐怖だ。

【2022/07/25】
抗がん剤治療が終わり、検査では癌は消えた。しかし再発の可能性はどんな癌でもある。しばらくは観察期間だ。しかし、周辺は再びのコロナ第7波。過去最大の感染者数。しかし重症化率は過去最低の低さ。とはいうものの、気を付けるに越したことはない。歴史を見ればスペイン風邪の流行の時も最初のパンデミックから、3年後にさらに大きなパンデミックが襲って来ている。油断はできない。少しずつ、慎重に「戻している」毎日ではあるのだが。


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