【佐々木紀彦】今、新メディア「PIVOT」を立ち上げる意義と思い
「ロシア」「ウクライナ」に関係する内容の可能性がある記事です。
極端な内容・真偽不明の情報でないかご注意ください。ひとつの情報だけで判断せずに、さまざまな媒体のさまざまな情報とあわせて総合的に判断することをおすすめします。 また、この危機に直面した人々をサポートするために、支援団体へのリンクを以下に設置します。 ※非常時のため、すべての関連記事に注意書きを一時的に表示しています。
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【佐々木紀彦】今、新メディア「PIVOT」を立ち上げる意義と思い

佐々木紀彦

3月15日、経済コンテンツアプリ「PIVOT」を始動しました。

実は、アプリをもっと早く立ち上げる予定でした。3月1日の始動に向けて、多くの方々に協力してもらいながら、100の番組や連載を準備していたのです。

しかし2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が起きました。

それ以来、「このままローンチしていいのだろうか、この歴史的な出来事を深く読み解きながら、日本の未来への示唆を導き出すことが、新メディアの意義なのではないか」との思いを抱き、直前でリリースを2週間延期することにしました。

その後、2週間かけて、国内外の知性15名以上にインタビューを実施。そうして創り上げたのが創刊特集の「ウクライナ危機 世界と日本」です。

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PIVOTのアイデンティティは、経済コンテンツです。

経済の元々の意味は、経世済民(世の中をおさめ、人民をすくう)ですが、その根本にあるのが平和です。人々が安心して生活できる安全な環境があってこそ、経済は繁栄します。経済と安全保障はダイレクトにつながっているのです。

私自身も平和ボケしていた


私自身、28歳から30歳の時、スタンフォード大学大学院で国際政治を学ぶまで、国際政治の基礎すら知りませんでした。

そして2年間の学びを通じて、「いかに日本全体の国際政治や安全保障に関する考えが牧歌的か、メディアに溢れる情報が本質的でないか」を実感しました。私自身が平和ボケした日本人の典型だったのです。

例えば、今回のウクライナ危機も、国際政治の基礎理論である「リアリズム」と「リベラリズム」を知っているだけで見え方が変わってきます。

FIX_リアリズムvsリベラリズム (1)

リアリズム、特に軍事リアリズムは、軍事力こそが世界のパワーを決めるという考え方です。こうした考えは、国連などの国際機関や経済の相互依存こそが世界の平和を保障すると考える「リベラリズム」からすると古臭く見えます。

しかし今回、まさにプーチン大統領は、軍事リアリズムに則って、ロシア帝国復興を夢見て、侵攻に踏み切りました。

経済に絞ると、ロシアは大国には見えません。しかし、国土の広さ、天然資源、軍事力などを加味した総合的な国のパワーにおいて、ロシアは世界3位とされています(U.S.News調べ:日本は世界6位)。

戦後の日本は、リベラリズム、中でも軍事力すら必要としない極端なリベラリズムに傾倒してきました。本来のリベラリズムは軍事力のことも考えながら思想的に葛藤してきた歴史がありますが、日本だと、今回の危機の捉え方も皮層に思えてなりません。

グローバル&イノベーション

今回のロシアの蛮行は決して許されることではありませんし、ウクライナの人々の勇気は讃えられるべきです。

こうしたことが歴史では繰り返されてきましたし、これからの世界でも起こり得ます。台湾海峡を筆頭に、東アジアも大きなリスクを抱えていることを冷徹に認識して、それが悲劇につながらないように、あらゆる知恵と策を講じる。それが今の日本に求められていることです。

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そのためにも、タブーなく、実直に、知的に議論を行う場や機会が必要です。

日本の“情報鎖国”を解いて、世界レベルの議論が、日本の歴史や文化を踏まえた上で、安全保障でも、政治でも、経済でも、ビジネスでも、テクノロジーでも日本国内でも行われるようにしないといけません。

その実現に少しでも貢献できる場として、PIVOTを位置付けています。

PIVOTが掲げるコンセプトは、「グローバル&イノベーション」です。

世界の多様な情報や知見を日本にもたらすことによって、イノベーションの最先端にいる経営者やエキスパートのストーリーを伝えることによって、日本の国や社会や地域や企業や個人がPIVOTする原動力になりたいと思っています。

グローバル&イノベーション」とは聞き慣れた陳腐な言葉と思われるかもしれません。

しかし、数十年この言葉を唱え続けながら、むしろ日本はますます内向きになっているようにも感じます。

イノベーションを唱える経営者は多いですが、どんどんイノベーションで世界に置いて行かれています。言葉に行動が伴っていないのです。

鎖国の先に未来はありません。さらに経済は衰え、人口は減り、国を守るための防衛費すら十分に割けなくなるでしょう。そんな暗い未来を未来の世代に残すのは無責任です。

では、日本にとって何が大事なのでしょうか?

私は何よりもまず、新しい時代に突入していることを認識し、そのシフトのために、国、地域、企業、そして何よりも個人が力を尽くすことだと思います。

歴史の進化と循環

今が歴史の転換点であるのは、今回のウクライナ危機だけが理由ではありません。より長い軸では、デジタル化という大きな波が21世紀の世界を大きく変えています。

以下の図は、時代ごとの経済的・政治的・社会的特徴をまとめたものです。

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生活様式という点では、300年続いた「産業資本主義」の時代から、デジタル資本主義へのシフトが進行中です。GAFAやスタートアップの勃興が象徴するように、テクノロジー企業が時価総額上位企業を独占しています。

統治機構という点でも、民主主義が綻びを見せています。

成田悠輔イェール大学助教授の研究からも、2000年代以降、民主主義が痙攣を起こしていることが見て取れます。経済成長という点でも、コロナ対策など公衆衛生の点でも専制的な国家に劣後しています。

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西洋モデルが世界を席巻し、「民主主義こそ唯一の正義」という時代が終わり、地域や文化ごとに多様なモデルが併存する時代になっていきます(その過程で、今回のような危機が起きるリスクが高まります)。

そして、共同体のアイデンティティという点でも、近代化以降の「ナショナリズム」の形が変わってきています。自らのアイデンティティをデジタル空間に置く世代もますます増えていくでしょう。

この歴史的変化は不可避です。もちろん、歴史は単純に進化・変化するものではなく、循環しながら動いていきます。人間や社会の本質はそんな簡単に変わるものではありません。

しかし、以下のイメージが記すように、循環や揺り戻しを繰り返しながらも、確実に新しい時代へと移行していくはずです。

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過去30年、日本の変化は遅々たるものでした。

コロナ禍もありDXへの注目が高まりましたが、デジタル時代へ思い切ってシフトしない限り、日本の経済力は落ち続け、政治はシルバー民主主義の泥沼に陥り、財政は一段と悪化していきます。

こうした認識の下、過去と今と世界から学びながら、国や地域や企業や個人がいかにピボットできるかが問われているのです。

日本を動かす、知恵と勇気

国や地域や企業を形作るのは、個人です。まずは個人が変わらなければ、企業も地域も国も変わりません。個人の変革こそ、日本の変革につながるのです。

では、個人はどうすれば変わるのでしょうか?

私は、福沢諭吉にヒントがあると思っています。

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(写真:近現代PL/アフロ)

福沢諭吉はなぜ、新たな時代へと日本を誘うことができたのでしょうか。

それは、新時代に合った「智徳」「情報」「社交」のあり方を生み出したからだと思います。

彼は、慶應義塾大学を通じて、新時代の智恵と徳・マインドセットを持った人材を育て、各界に送り出しました。

彼は、時事新報という明治期のNo1メディアを創り上げて、国内外の最先端情報を日本に届けて、日本の進路を指し示しました。

彼は、交潤社という社交クラブを作り、政官財学の「知識交換」を促し、新たな思想や事業や人材を生み出しました。

人のマインドセットを変えて、人が得る情報を変えて、人が交際する相手や方法を変えたのです。この3点セットこそが、個人を変える原動力になるのだと思います。

PIVOTのビジョンは、「コンテンツを通じて、経済と人を動かす」ことです。

国内外の最先端の知恵、歴史が教えてくれる普遍的な知恵を提供するとともに、学ぶ勇気、行動する勇気、挑戦する勇気を多くの方々に提供することです。

そして、単なる評論家となることなく、我々自身が生まれたてのスタートアップ企業として、新時代を創造するチャレンジャーと手を携えながら、事業づくりに挑みます。

我々にとって、PIVOTのコンテンツに親しんでくださるみなさんは、お客さんではなく、一緒に新しい時代を作っていくパートナーだと思っています。

みなさんの力をお借りしながら、「グローバル&イノベーション」を切り口としたコンテンツを猛スピードで充実させて、みなさんに知恵と勇気を提供していきますので、今後ともPIVOTをどうぞよろしくお願い申し上げます。

PIVOT創業者兼CEO 佐々木紀彦

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佐々木紀彦
1979年生まれ。東洋経済オンライン編集長、NewsPicks創刊編集長などを経て、2021年にPIVOTを創業。現在、経済コンテンツサービスを準備中。著書に『日本3.0』『米国製エリートは本当にすごいのか?』『編集思考』など。最新刊に『起業のすすめ さよなら、サラリーマン』