典 雅
短歌
国歌大観通読男一気読み
軽い読み物
かの吉本隆明は「無人島にひとつだけ本を持っていけるとしたら?」という問いにこう答えている。 「国歌大観」 「一冊じゃねえじゃねえか」というツッコミはあるがその回答はずっと私の心を支配した。こっちは古歌の教養なぞ一ミリもないのに。 またこの世の中には辞書を通読する人々がいる。かのOED (Oxford English Dictionary)すら通読する人がいるのだ。通読した体験をもとに一冊の本になっているほどである。 先日私の口座にボーナスが振り込まれた。給与明細を見た
秋想う他人が描いた優しさの原景ばかり「手紙を閉じて」
俺は寝る今ここで寝る君たちは俺の背骨に判子を捺すな
二条院讃岐集から長明集まで ・(二条院讃岐集 87) 真っ向からダジャレ勝負 ・(長明集 61) 悔しいという感情の尊さ ・鴨長明の説明文でほぼ方丈記に触れないのが俺たちの解題
運命は痘痕も靨過ぎ去りし時が無明に身を投げるから
「隆信集」(200)から解題まで ・(390) 思えば木の葉自体が別れの形をしているのかもな ・(929) (936) このあたりの書けば書くほど追い込まれる感じとか、長歌に才能がある人だったんじゃないかと ・(955) まさか釈教歌で時間と空間の危うい接近を感じられるとは ・これは考えすぎなんですけど、家集としてはともに自撰って書かれるとちょっと気の毒な気がしてくるな
近き故その神の吐瀉身に浴びてただその故に信ずるに足る
透明で微かな軌道そして雨傘を滴る邪の黒
国境蛍光の恣意脱ぎ捨てて僕は鉛筆なるだけ倒す
雷鳴や何々故に恐ろしや生命のパルスまだ還らむや
「出来の良い」未知の中身を讃えられ四角い箱に丸く収まり
鎌倉はディレイの森よ人影の交差点には乱れた傷み
未透明かれのまなざしここにあり生きながらえて我の隠れる
一日を欠けることなく傷つけば明日の方こそ幻なりや
「寂蓮法師集」から「隆信集」(200)まで ・「寂蓮法師集」(195) 自らが光るというのが道に迷わない理由だって言っちゃえば簡単なんだけど、この奥行きだよな ・(322) 影も残さない美学 ・「隆信集」(164) 寝ている間に全て風が連れ去ってしまう ・(180) 本日の奈良的一首
窓辺にはこれほどの知が記されて広さを編めば去らざるはなし