見出し画像

八ヶ岳山麓 しづけさの康耀堂美術館

日常から離れる時間を、日常と同じくらい大切にしています。

幸い長野県には「非日常」を味わえる場所が多くあり、ことに「別荘地」と呼ばれるところはちょっとした別世界。

もっとも有名なところは、軽井沢でしょうか。
けれどあそこは、「ちょっと行ってくる」感覚では行けない距離。

もうすこし近くて、避暑地っぽいところは・・・
あそこかな。

いざ、八ヶ岳山麓へ。



伊那から1時間半、茅野市街を過ぎて縄文の道(という道路があるのです)を八ヶ岳に向かって車を走らせると、お気に入りの美術館がみえてきました。


康耀堂こうようどう美術館


もとは佐鳥電機(株)会長佐鳥康郎氏の個人美術館として2001年に開館しましたが、氏の急逝後は京都芸術大学が運営を引き継ぎ、日本画家の千住博氏を館長に迎えて現在にいたっています。

近現代の日本画・洋画・ガラス工芸作品などを所蔵し、年3回コレクション展を開催。小規模ながら満足度の高い作品をみることができる美術館です。

それに、なんといっても立地がよい!
6000坪の森の中に佇み、車を降りるとすぐにかわいい野鳥のさえずりが出迎えてくれるという、The 避暑地。


森のなか


そして、この日開催されていたコレクション展はこちら。


入館料は、なんと300円!


館内は土足禁止のため、エントランスで室内用スリッパに履き替えてから展示室へ。

展示室Aは日本画、展示室Bは洋画

小倉遊亀
川端龍子
下村観山
わたしの好きな、田渕俊夫


田渕俊夫 <京洛深秋>
※今回の展示品ではありません


それから、今回はじめて名前を知って印象的だったのは

東山魁夷の青を彷彿とさせる、大島秀信
冬へむかう植物の美しさをとらえた、山田伸


以前にくらべれば多少は日本画家の名を知ったつもりですが、まだまだ新しい出会いがありますね。嬉しい。


鳥の囀りだけが聞こえる中庭


いつものことながら、来館者が少ないこちらの施設。

静かに名画を独り占めできる時間はこのうえなく贅沢ですが、大丈夫ですか?とすこし心配になります。入館料300円というのも、なんだか申し訳ないくらい。

展示室を出れば、通路から周りの森を眺めているだけでも心安らぎ、ことに秋、樹々が色付くころは格別の美しさ。もっと多くの人に知ってもらいたい美術館です。


さてと、ではお次は展示室Bへ・・


あ、ありました!
康耀堂美術館で出会って名前を覚えた洋画家、いさお俊彦


悳俊彦 <林と月>
※今回の展示品ではありません


この、なんとも寂しい感じが、好きです。

一方、寂しさとは対極の瑞々しさを放っていたのが、フライヤーにも使われていた水彩画


佐原和行 <緑の幻想>


2002年


やわらかなみどりの滲みが、とっても素敵。

作者の佐原和行さんは、日常の光景を題材に一貫して水彩画を描いている画家、と説明書きにありました。

水彩画はもともと好きですが、洋画のなかに飾られていると、なおさらその瑞々しさが際立ちますね。おなじく佐原さんのもうひとつの作品にも引き寄せられます。


佐原和行<東京湾夕景>


1999年


ひとめで、この紫色に惹かれました。
夕景をこういう色で表現できるのか~、なるほど~。

わたしは絵を描くわけではないので全くの素人目線ですが、絵を描く人の色のとらえかたってすごいなぁと感心せずにはいられません。

<東京湾夕景>に見入り、しばらくしてまた<緑の幻想>に戻り、すっかり佐原和行ワールドに浸ったのち、展示室をあとにしました。


ありがとうございました


たったひとつでも、胸に残る作品に出会えたら幸せ。
そんな幸せを積み重ねてゆくのが、美術館めぐりのたのしみです。




<おまけ>

せっかくの別荘地、すこし散歩でもしましょうか。


おじゃましますよ~



三井の森が管理する<竜神池公園>へ行ってみます



お!いいかんじ?



竜神さま、いるかな?



向こうから釣り人の声が聞こえました


別荘地内の自然公園、静けさと澄んだ空気が伝わったでしょうか?

秋が深まったころ、また訪れようと思います。


いいなと思ったら応援しよう!

つきふね
お気持ちありがとうございます。大切に使わせていただきます。

この記事が参加している募集