【短編小説】空が降った日
少女は願った
空を降らしてほしいと
そのように願った理由は世界中でみんなが泣いていたためである
みんな下を見てうつむき涙をこぼしていた
少女はそんな世界中の人々を見て、うつむかず笑顔でいられるような誰も涙をこぼさず過ごすことが出来るような世界を望んだ
もう泣いている人たちは見たくない
泣いている人々を救いたいとそう
願った少女は神に頼んだ。
「どうかみんなが笑顔になる方法は無いのか」と
そう尋ねられて神は少女の願いを叶えたいと思った。
だが、問題があった
神が願いを叶えるには願いを叶える方法をその本人が考えなければいけないのだ
神は何でもできるが、人間の考えた解決方法を叶えてあげることしかできない
そのため神は少女に
「君はどのようにすれば人は泣き止むと思うかい?」
そう尋ねた
少女はじっくり考えてから
「…空を降らしてほしい」
そう口にした。
みんな美しい空を見れば涙を止めてくれるのではないか。
そう考えたのだ
神は本当にそれで良いのか
何度も確認をした。
何度も何度も
神は人々が泣いている理由を知っていたからだ。
人々が泣いていた理由はあまりにも空が美しくて泣いていたためだったのだ
だが、少女の幼い頭には
人々の涙を人々が涙をこぼさないで済む世界をつくる方法が「空を降らす」というものしか思い浮かばなかった
そのため、空を降らしてほしいと毎日祈るため教会へと尋ねた
神は少女のことも当然ながら日々見てきた
ただの人間の願いであれば、神は空を降らせるという大きな願いは叶えなかったはずだった。
だが少女の優しい心や日々の奉仕活動。神を信じる力があまりにも強かったため、神はその少女の願いを受け入れることにした
苦渋の決断だった。
ついに神は空を降らせた
人々は当然ながら驚いた。
突然とてつもなく美しい空が地面に現れたのだ
そんな美しい空を見て、人々はまた涙した
そしてまた顔ををあげなくなった
当然である。
美しい空が今度は地面に現れたからだ
少女は空が本当に降ってきたことをとても喜んだ。
ついに神様が自分の願いを叶えてくれたんだと
日々願っていて良かったと
そう思った
だが街へ出てみるとどうだろう出てみるとどうだろう。
人々は、みんな下を向いて美しい空へ見入って今度は感動の涙を流しているのだ
少女の願いを叶えた神もこれにはどうしようもなかった
少女の願い「空を降らす」ということを叶えてあげたいと言う思い
それに反して人々を泣き止ます方法としては正しくない。うつむくことをやめると言う方法としては、正しくない願いであったからだ
この日から世界は天と地が逆転した皆が下を向いて感動の涙を流す
そんな世界となったのだ
あとがき
天と地がひっくり返る思いと言う言葉のワードから空が降ったら美しいだろうなーって、そんな軽々しい妄想から生まれたお話です
なんとなく美しいきれいな感じのお話にしたかったのですが、結局ハッピーではないエンドになっちまいました。
最後まで読んでくださりありがとうございました
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