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【50代の大学生日記 第11話】アパートの台所で米麹をつくる

 失業はしたけれど、平日の昼間からオリンピック生中継を見られるなんて贅沢でいいわ~ とクーラーの効いた部屋で、冷そうめんをすすりながらテレビをつけると、スケートボードの試合をやってます。「ヤベ~!」「スゴイっす!」「ハンパネェ!」 おぉっ斬新な実況中継!
初めて見るスケボー競技。さらにこんな解説をNHKで聞くとは思ってもみませんでしたが、競技はかっこいいし面白いし解説はわかりやすいし、すっかりハマってしまいました。私はラスカルといえばアライグマしか知らないけど、若い子たちの世界にはきっと私の知らないラスカルがあるんだと思っていたら、まさか13歳がいうラスカルもアライグマだったなんて・・・(笑)
西矢椛選手、金メダルおめでとう!
椛を「もみじ」と読むとは知らんかった。ラジオで関西芸能界の重鎮、浜村淳先生が「これは何と読むんですか? にしやこうじちゃんですか?」と言ってましたが、「糀(こうじ)」は木へんじゃなくて米へんです。

 今日はそんな「糀」の話題です。でも以下、「糀」ではなくて、私がふだんよく使う「麹」の字を使って書いていきます。
「麹から作った甘酒」は身体にいいっていうし、何より美味しいけど、ちょっと高いなぁ…  自家製造したら安いんじゃない? と検討して、去年の夏、ヨーグルトメーカー(発酵用恒温槽)を買いました。実は麹がそこらのスーパーではなかなか入手できないため一歩を踏み出せない人も多いと思うのですが、幸い自宅(滋賀県)の近くに麹屋さんがありJAで生麹を買えるのがラッキーでした。そんなこんなで、JAで生麹をまとめ買いしてきて冷凍保存しといて、甘酒や塩麹や醤油麹を製造し始めた私でしたが、だんだん麹を買いに行くのが面倒になってきました。
米麹って自家製造できるのかな?? よし!やってみよう!!

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 唐突に始まりました米麹の作り方
まず米を洗って ひと晩(春秋は12時間、冬は20時間ぐらい)水に浸けておきます。そしてザルにあけて、ときどき混ぜながら4時間ぐらいしっかりと水を切ります。それを上の写真のようにセイロに入れて、芯がなくなるぐらいまで(50分ぐらい)米を蒸しあげます。
下の写真は蒸しあがり。(米3合)

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 アルコール殺菌した器にフキンを敷いて、これに蒸しあがった米を広げて入れます。そして、36℃ぐらいまで冷めたら茶こしを使って種麹を撒きます。温度が高いと種麹を撒くなり麹カビが死滅しちゃいますよ。
えっ? 種麹って何?
ひとことで言えば、麹カビの胞子です。
自家製造しようとすると、こんどは種麹をどうやって入手するかがネックになると思うのですが、種麹を製造販売する店(通称:もやし屋さん)は日本に7軒ほどしかなく、そもそも麹カビは日本の「国菌」に指定されているぐらいで日本にしかないので、すなわち世界じゅうを探しても7軒ほどでしか手に入らないのです。今はネット通販で買えますけどね。
幸いなことに、京都には「菱六もやし」さんという創業300年超のもやし屋さん(下写真)があるので、お手軽に買いにいくことができます。
その下の写真は、種麹の袋と中身です。

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蒸しあがった米に茶こしを使って種麹を撒いて、しゃもじでかき混ぜ、手ですりこむように優しく混ぜるを繰り返したあと、下写真のように小さく丸くまとめて30℃前後で30時間ほど寝かします。途中で何度か広げてかき混ぜて新鮮な酸素を吸わせてあげましょう。

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 今は気温が30℃前後なのであまり気にしなくていいですが、私は下のように保温バッグに入れて、ぬるま湯を入れたペットボトルをバッグに入れたり出したりして温度調整しています。カビが生えはじめるとけっこう発熱するので、今の時季は放っておいてもいいぐらいかもしれないです。

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30時間経ったら、水に濡らして固く絞ったフキンを敷いたトレイに米を移し替え、再び30℃前後で保温します。このあたりで麹はかなり発熱するので、今回はときどき冷ましてやるぐらいのイメージでした。

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 種麹をまいてから48時間後、米麹のできあがりです。

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 拡大してみると・・・

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 うわっ! どう見てもカビの生えたごはんやんか!
いや、それ以外の何ものでもありません(笑) ちゃんと麹カビが広がってます。できあがり!
ヨーグルトメーカーを使って36℃×48時間加温しても、ここまでの過程ができるようです。冬はそのほうが楽かも。

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 さて、自家製のコストですが・・・
米3合を使って米麹の出来高は約550g。
ざっくり計算して、米と種麹の原価は300円ぐらい。
米麹はJAで買ったら500g入りで600円ぐらいです。
うちで作るには一度に3合ぐらいが限界だし、たとえ3合でもサラリーマン生活をしていたらできないぐらいに昼間もけっこう手間がかかるし・・・
麹を作るときには納豆断ちをしなきゃならないし・・・ (納豆菌は繁殖力最強の細菌で、納豆菌がついてしまうと麹カビよりも先に繁殖してズルズルの米麹ができるらしい、酒蔵で働く人や見学に行く人が納豆を食べてはいけないのもこの理由です)
こりゃ、JAで生麹を買ってきて使っているほうが安いな(笑)

 でもうちにはまだ種麹が、あと米1升5合分ぐらい残ってる。米麹を使うと、味噌や醤油やその気になればお酒や酢まで自家製できるので、いろいろと挑戦してみようと思います。
ただしお酒は作りませんよ(ここで断言しときます)。
日本には酒税があるので勝手にお酒を作ると脱税で捕まります。酒税の取りっぱぐれがないように酒造は国税庁に届け出て免許をもらわないとできないことになっています。ならば私も免許を取って作ればいいようなもんですが、清酒だと年間6万リットル以上作らないと免許がもらえないようになっていて、私が個人で年間6万リットル飲もうとすると、毎日91升も飲まないとならず、免許をもらう前に死んでしまうのでムリです。それに美味い酒を作ろうとすると、山田錦のような酒米(米粒の中が空洞になっていて麹カビが活動しやすい、そのかわり炊いて食べても美味くない・・・)と酒造用に改良された種麹が必要ですが、当然のことながら、これらは一般人にはなかなか手に入りません。
何を作ろうかなぁ・・・ とりあえず次回作をお楽しみに。

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