「レッスンを改善してください」と言われた
先日、半年ぐらいレッスンを受けている生徒に「レッスンを改善してください」と言われました。
というと、ぎょっとしますが、頑張って日本語で話してくださったので直接的な表現になっただけで、おそらくニュアンスとしては、「今のやり方で進歩が見られないから他のやり方を試したい」という感じでした。その後、「試験の対策をするとか、ほかの生徒とはどうしていますか?」という案もでました。
教える側も「改善したい」と思っているけど・・
実は、その方に関しては私も「何か変えなきゃ」と思いながら惰性でずるずると同じレッスンをしてしまっていました。レベルとしては、私とレッスンを始めた時点で、N4,5の文法は完璧。語彙はそれより更に上のレベルという感じでした。会社で日本人を相手にする部署にいるので、将来会議などに日本語で参加したいそうです。一応、その方のお仕事に関係ありそうな新聞記事を選んで一緒に読む=>それについて話すということを繰り返していましたが、「語彙はちょっと増えたけどなんか微妙」という感じでした。体系だっていないので進歩が見えにくいのです。
一番悩むタイプの生徒
スペックとしては最高、性格は静かで自分からあまり話さないタイプ、プライドが高いタイプです。ギフテッド向けの学校を卒業されて、世界的にも有名なトップ大学を卒業して、今の会社でも若手の中で評価が高く、もともとの才能もあり、努力の方法も知っているタイプです。自分の子供だったら泣いて喜びますが、教える側は緊張するし、焦ります。
実はこの方は、私の既存の生徒の紹介でレッスンを受けてくださっています。レッスン料は会社持ちです。正直、同僚の紹介、レッスン料が会社の経費でなければ今まで続けて下さらなかったと思います。それぐらい「やらないよりはましだけど」という感じの雰囲気でした。
一番の解決策
正直、この方が生徒ではなくて友達なら言うことは決まっています。「上司に頼んで日本語の会議に参加させてもらったら?定例の会議とかあまり重要性の高くない会議から初めて」「議事録とか書かせてもらったらつらいけど上達するよ」
当たり前ですが、何事も使わなければ上達しません。トライアンドエラーです。それが仕事に絡んでいると「わからない」「できなかった」「おわらなかった」という言い訳が通用しないので解決するまで死ぬ気で努力するので身に付きます。
最終的にこの環境をどうにかレッスン内で作り出せればと思っています。
中級までの生徒は楽
中級までの学習者、JLPTなど明確な目標がある学習者、おしゃべりな上級学習者は本当に楽です。
中級までの学習者は教えることがはっきりしているので、本人が「会話を・・・」とか言っても教科書を強めに勧めます。JLPTは語彙、文法、読解、聴解の問題をひたすらするしかないので、これもやることがはっきりしています。おしゃべりな上級学習者はこちらが話題を提供すればしゃべってくれるので、私はたまに訂正するだけです。
そして現在9割超の生徒がこのタイプに該当します。それぞれに教材選び、記事選びなど苦労するところはあるのですが、一応、やることがはっきりしているので「どうしたらいいかわからない」ということはありません。
解決策
手探り状態なのでこれが最終的な解決策ではありませんが、体系だったレッスン、進捗が分かりやすい、「試験」というキーワードがご本人から出た、ということを考えて「JLPT2,3級の語彙教材を利用した会話のレッスン」をしてみることにしました。宿題としてJLPTの語彙の問題を解いてもらって、レッスン中にはその語彙を利用した会話をするということです。
例えば「完全マスター3級」の語彙の1課、2課は人間関係と性格を表すのことば「いとこ、長男、親戚、思いやりがある、わがまま」なのでいくつか質問をして、それぞれの課で習った言葉を使って答えてもらいます。
例)「いとこがいますか?」
4人います。仲は悪くないですが、年に何回か親戚の集まりで合うだけです。両親はふたりとも長男、長女なので全員年下です。(太字は1課と2課で学習する単語)
3級の語彙は理解度が6割くらいのイメージなので、一つのレッスンで2課ずつ進んで6レッスンで終わらせて、2級に移る予定です。
いい機会♪
実は過去数か月、この生徒とのレッスンは少し憂鬱でした。生徒が100%満足していないのは自分でもわかっていたし、「どうしたらいいかな」と常にうっすらストレスでした。ただ、惰性で記事読みレッスンを続けてしまっていたので、ご本人がはっきり言ってくださって本当に良かったです。このJLPTの語彙を利用したレッスンがどのくらいうまくいくかまだ分かりませんが、こういうタイプの生徒は今後も出てくると思います。頭をフル回転させて改善方法を考えるきっかけになったので、ありがたいです。
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