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動き出した、B大統領の息子の、"ウクライナ関連"疑惑が意味するものは?

数年前の陰謀論の1つがまた、事実認定された

はじめに:

  • 文中の”大国”とは、タイトルに出ている国と”争い”をしている国のことです。(今回、けんえつのシステムをチェックしてみるために、あえてこの国の名前を出さず、かつ”争い”という曖昧な言葉を使っています)。

  • アメリカ共産党とは、民主党員(一部を除く)、RINOと言われる一部の共和党員のことです。

  • ある国の政権と国民は別ものだと考えています。

1年半越しの確認:パソコンにあったメールは本物だった

2020年11月に行われた米国大統領選挙前、修理屋に出されたまま持ち主が取りにこない1つのパソコンに注目が集まったことをご存知でしょうか?
米国主流メディアが大慌てで火消しに回り、これはまたトランプサポーターの陰謀論だとされて、徹底的な検閲を受けてしまっていたため、ご存知ない方も多いかもしれません。

修理に出されたまま放置されたパソコンは、一定期間がすぎると、中身の確認が許可されているようで、件のショップオーナーもパソコンの中身を確認。すると、このパソコンにはとんでもないデータがごっそりと入っていたといいます。
例えば・・・。

  • 父親の肩書を使った汚職の証拠となるようなメール。

  • 要職にあった父親が、息子が役員を務める(月収500万円くらい)外国企業とホワイトハウスで面会したと思われるメール。

  • 個人的な"趣味趣向"がわかるような数々の写真。

その持ち主とは、現大統領の息子、ハンター・バイデン。今回、左派メディアが”ハンター・バイデンの本物のメール(偽造されたものではない)”であると確認が取れたと、もともと一部の保守メディアでは、1年半前には、”本物のメールと確認ができた”と報じていたものを再確認して報じた形です。

ニューヨークポストは2020年10月、2019年4月にデラウェア州の修理ショップに捨てられたハンター・バイデンのノートパソコンの中身を独占的に報じた。
ノートパソコンのハードディスクには、大統領の息子、ハンター・バイデンとその家族、仕事仲間との間の電子メール、テキストメッセージ、写真、財務文書が大量に保存されていた。それには、大統領の息子が海外のビジネス取引において、いかに政治的な影響力を行使したかが詳細に記されたものも含まれていた。

修理ショップのオーナーはラップトップをFBIに報告し、FBIはデバイスとそのハードディスクを押収しました。

https://nypost.com/2022/03/17/hunter-bidens-infamous-laptop-confirmed-in-new-york-times-report/

当時の報道によると、文中に出てくる捜査機関の反応に、身の危険を感じたというオーナーは、”何かあったときのための公開用”コピーを友人に渡したと言います。その後、執拗で命の危険を伴うような嫌がらせを受けたため、このオーナーは別の州に引っ越したそうです。必要な嫌がらせを受けた原因は、”このノートパソコンが”大国”のハッキングを受けた”と、多くの・・・いえ、一部の保守派サポーターを除く、大部分のアメリカ人が信じてしまったためです。

なぜ多くのアメリカ人が騙されたのか?については、次章でシェアさせていただくとして、まずは、今回の記事でメインとなっている別件についてもご紹介したいと思います。

無駄な超大予算を組みつつも、自分は未支払いだったご一家

金持ちは1ドルを失うことでさえも敏感だから金持ち・・・という話を聞いたことがあります。とは言え、こういうお金へのこだわりはどうでしょうか。

ラップトップの確認により、ハンター・バイデンが100万ドル以上の納税義務を果たしたことが、タイムズの報道により明らかになった。ー 彼がIRSを欺いたとして調査を受けていると発表してからすでに1年たった後で。
父親が副大統領だった頃から納税を怠ったとして調査を受けていたが、2018年に調査の幅が広がり、彼の国際的なビジネス取引とバイデン大統領の政治キャリアがどのように交わるかを調べることになった。

https://nypost.com/2022/03/17/hunter-bidens-infamous-laptop-confirmed-in-new-york-times-report/

トランプ大統領は、政治的に勝てない人々が彼のビジネスに対して攻撃してきたため、大統領になったことで、自身のビジネスには大打撃を受けたという説があります。一方、政治家になって大金持ちになったと言われているのが本件でご紹介しているご一家です。

記事を引用した、ニューヨークタイムズは左派メディアですから、すごく柔らかい表現を使っていますが、”パパが副大統領になって以来、脱税していた”、”その捜査に1年以上かかった”というのがこの記事でのメインです。職務怠慢なのか、よほど巧妙な脱税をしていたのか・・・はたまた、大統領就任直後に出すニュースとしては”不適切”と考えあえて遅らせたのか、わかりませんが、なぜ、このタイミング?というのがとても気になります。この件も後ほど、検証してみたいと思います。

なお、どういう項目で税金が支払い足りていないのか?(もしくは全く支払っていなかったのか?)等は、報道されていないようです。脱税は、表に出せないビジネス(収入)に対して行われることもありますので、この件も”支払いました”では終わらず、何か関連づいて出てくることがあるのではないか?とも考えています。

地元、ウクライナでの本件に関する報道

そもそもこの件は、ウクライナを舞台としたものですので、そのウクライナでの当時の報道についても見ておきたいと思います。2019年11月20日付インタファクス・ウクライナの英語版記事です。

 ウクライナの国会議員は、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領とドナルド・トランプ大統領に対し、ヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領(当時)の”家族”が米国投資ファンド、フランクリン・テンプルトン・インベストメントを通じ行われた、アメリカ民主党との関わりが疑われる、74億ドルのマネーロンダリング疑惑について調査を要求している。

2019年11月20日付インタファクス・ウクライナ

左派メディアや米国共産党によると、トランプ大統領がゼレンスキー大統領に捜査を強く要請した(圧力をかけた)とされていましたが、このニュースでは、トランプ大統領は逆に捜査の依頼を受けた側になっています。

自分用メモとして全文(抄訳)を下記に引用します。

インタファクス・ウクライナ通信社で行われた記者会見で、アンドリー・デルカハ議員は、国際的な汚職とそれに対するウクライナ政府関係者の参加について、調査ジャーナリストから新しい資料を受け取ったと発表した。
検察庁(PGO)は11月14日、メディアに知られることなく、悪名高いブリズマのオーナー、元環境大臣のズロチェフスキー氏に新たな疑惑を発表しました。
「ヤヌコビッチ一族は、特に、総額74億ドルの対外政府貸付債権を購入している投資ファンド、フランクリン・テンプルトン・インベストメントを通じて犯罪的に得た収入を合法化(ロンダリング)した疑いがある」(デルカハ議員)。

捜査に関連して、彼は、それはヤヌコビッチの家族が犯罪的に得たお金であり、2013年から2014年にかけてウクライナの債権購入に投資されたものだと強調。
一方、”人民の奉仕者(the Servant of the People)”派のオレクサンドル・ドゥビンスキー議員は、「捜査当局によると、ヤヌコビッチ・ファミリーは74億ドルを違法に入手し、米国民主党の一部の代表と親しい投資ファンドを通じて、対外政府貸付債権という形で資金洗浄を行った」と述べた。

デルカハ議員は、フランクリン・テンプルトン・インベストメントと米民主党の関係を示すいくつかの事実があると述べている。
・テンプルトン創業者の息子であるジョン・テンプルトン・ジュニアは、オバマ大統領の主要な選挙資金提供者の一人
・ファンド関連の人物、トーマス・ドニロンはブラックロック投資研究所のマネージング・ディレクター
・ファンドの筆頭株主であるフランクリン・テンプルトン・インベストメンツ。彼が以前、オバマの国家安全保障顧問だったことは注目に値する

同議員は、ウクライナと米国の大統領が、両国の市民の参加を得て、汚職とマネーロンダリングの事実を立証する努力を結集すべきであると述べた。
ゼレンスキー大統領は電話を取り、トランプ氏にダイヤルし、汚職との戦いへの協力と手助けを求め、ワシントンに飛ぶ必要があります。両大統領の会談では、市民、ビジネスマン、米国当局者の参加によるウクライナの国際腐敗対策の問題がキーとなるはずだ」。
「会談の結果として、債券発行の主催者、購入ごとの投資ファンドの顧客と受益者、ファンド関係者の尋問などの情報を得るために、ウクライナの捜査当局と米国司法省の間の相互作用を構築する必要がある」。

既報の通り、2019年10月9日、デルカハ議員はNABUと米国大使館の間の公式通信を公開し、それによると、ウクライナ国家汚職防止局(NABU)のギゾ・ウグラヴァ第一副官が、助手のポリーナ・シジを通じて、長期にわたって米国大使館にウクライナと米国における事件の経過に悪影響を及ぼす情報を提供したとのこと。

以下はデカルハ議員による話。
・シジは在ウクライナ米国大使館のハンナ・エメリヤノワ代表から、ズロチェフスキーの事件に関する情報を提供するよう指示を受けていた。
・ハンター・バイデン、アレクサンダー・クワスニエフスキー、アラン・アプター、デボン・アーチャーに対して、ブリスマは約1650万ドルを支払っている。
・元検事総長ビクトル・ショーキンは、NABU長官アルテム・シトニックに対し、ブリズマの刑事訴訟の枠組みで繰り返し訴えたが、常に正式な返答を受けていた。
・ショーキンの活動は、2年ぶり5回目のキエフ訪問の際、バイデン副大統領(当時)を苛立たせた。2015年12月7日から8日にかけての訪問は、ズロチェフスキーとブリズマの問題に対するショーキンの辞任問題の解決に充てられた。
・圧力の対象は、アメリカがウクライナに提供すべき10億ドルの信用保証であった。バイデン自身も2018年1月の米外交評議会での演説で圧力を認めている。

デカルハ議員とは?

アンドレイ・レオニドヴィッチ・デルカハ(1967年8月19日生まれ)は、政治家、実業家、ウクライナ国会議員。また、”大国”のエージェント疑惑もある。アメリカのカウンター・インテリジェンスの責任者ウィリアム・エヴァニナは2020年8月、2020年のアメリカ大統領選挙におけるジョー・バイデンの立候補を害するロシアの活動の主要な参加者として、デルカハを特定した。 選挙後の2021年3月に発表されたアメリカ情報機関の分析では、バイデンに関する誤解を招く、あるいは根拠のないシナリオを「トランプ前大統領とその政権に近い者を含む米国のメディア組織、米国当局者、米国の著名人に宣伝したロシア情報機関の代理人の中にデルカハがいたことがわかった。 トランプの個人弁護士ルディ・ジュリアーニは2019年12月、デルカハに会っている。

https://en.wikipedia.org/wiki/Andrii_Derkach

Wikipediaではやや悪人感ある書き方ですが、これはバイデン大統領が正式な選挙で勝利した前提の記事かと思います。2020年の選挙の”確認”作業がまだ続けられていますが、その結果次第では、彼に対する評価も180度変わる可能性があることになります。できるだけ客観的に見ると、彼は、親”大国派”であり、アメリカのFBIや米国共産党とは敵対関係にあるようです。

日本の保守メディアの本件に関する報道

2019年11月14日付け、日経新聞によると、”汚職疑惑でウクライナ検察が捜査に乗り出した同国の大手ガス会社「ブリスマ」の幹部にバイデン氏の息子ハンター氏が就任。同じころにバイデン氏がウクライナの検察官解任を主張し、息子が勤務する企業を擁護したと疑われかねなかった。”ということです。

この部分に少し補足をすると、”ブリスマ”は、天然ガス業界ど素人であるはずの息子が幹部として、一般人の年収が月給となるような報酬を受けていた企業です。

2015年にバイデン副大統領のオフィスに利益相反の可能性があると伝えた――。ジョージ・ケント米国務次官補代理(ウクライナ担当)は13日の公聴会でこう説明した。汚職疑惑でウクライナ検察が捜査に乗り出した同国の大手ガス会社「ブリスマ」の幹部にバイデン氏の息子ハンター氏が就任。同じころにバイデン氏がウクライナの検察官解任を主張し、息子が勤務する企業を擁護したと疑われかねなかった。
トランプ大統領はウクライナ政府にバイデン氏に関する調査を求めた理由について、バイデン親子の利益相反の疑いをあげていた。与党・共和党の一部議員は公聴会で、バイデン親子の疑惑を積極的に取り上げて、トランプ氏の擁護に回った。国務省高官も利益相反の疑いを指摘したことが判明し、トランプ氏にはウクライナ政府への調査要請を正当化する材料になりそうだ。
ただケント氏はバイデン氏が副大統領のころにブリスマの捜査を妨害した証拠はないと証言。バイデン氏は欧州諸国と連携し検察官解任を働きかけていたと説明し、バイデン氏が個人的利益のために権力を悪用したとの主張はあたらないとの見解も示した。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52147460U9A111C1000000/

アメリカ人はなぜ騙されたのか?

”権威づけ”により、でっち上げをファクトっぽいものに

なぜそんなでっち上げが事実のように信じられてしまい、”本物の事実”の方が陰謀論のようにされてしまったのでしょうか? 振り返ってみると、手法は、パンデミックの起源に関し、”ラボ流出(人工ウイルス)説は陰謀論”をでっち上げた時と同じです。

パンデミックの起源として”ラボ流出説は陰謀論”をでっち上げたときの手法:
コロナファシズムの中のメディアの役割
1)ニュースの作り方
2)ファクトっぽいものは作れる!
3)新型ジャーナリズムによる反省文っぽいもの
4)賞・メディア・学術による権威付け:コロナファシズムの中のメディアの役割

息子のパソコン疑惑で一番大きな役割を果たしたのが、上記”コロナファシズムの中のメディアの役割”の(4)に当たる、権威づけです。50人の情報機関のトップが「”大国”政府がこの事件で重要な役割を果たしたことを深く疑っている」として、「アメリカ人はそれに警戒する必要がある」と指摘しましたが、このときに、重要な証拠は示されていませんでした。

医学誌「ランセット」に掲載された、「自然発生としか考えられない。ラボ流出説は陰謀論」と署名入り宣言と同じく、重要な証拠を示すことなく、”自らの肩書き”という”権威”のみで信頼を獲得したのです。

しかし、ラップトップが発見され、その内容が報道された直後、数十人の情報当局者が、バイデンのラップトップから見つかった電子メールや情報には「”大国”の情報操作の古典的な特徴がすべてある」と考えることを説明する書簡に署名したと、ポリティコは報じている。
この書簡では、重要な証拠は示されていないが、50人の情報機関のトップは、「”大国”政府がこの事件で重要な役割を果たしたことを深く疑っている」と述べ、ラップトップに関する話の中で、クレムリンの手が働いていることを示唆する部分があり、アメリカ人はそれに警戒する必要があると指摘した。
「私たちが正しければ、これは”大国”が今回の選挙でアメリカ人の投票方法に影響を与えようとしているのであり、アメリカ人はこのことを認識する必要があると強く信じています」と書簡には書かれています。

https://flagandcross.com/here-are-the-deep-state-officials-who-told-us-hunter-bidens-laptop-was-russian-disinformation/

では、”権威付けされたファクトっっぽいもの”をメディアはどう扱ったかといえば、下記はその1つ、2020年1月14日付けCNNの報道です。

(中略)
ブリスマをめぐっては、バイデン氏と息子のハンター氏の関与があったとする汚職疑惑が持ち上がり、それに対する捜査を求めるトランプ氏がウクライナ当局に圧力をかけた疑いも浮上して政治問題に発展した。このタイミングでの”大国”による同社システムへの侵入は、2016年の米大統領選を揺るがした同国による介入の取り組みと酷似する。
エリア1は報告書でトランプ氏が再選を目指す今年の大統領選に言及し、上記のハッキングについて、前回の選挙以降予想された事態が現実のものになりつつあることを示す兆候との認識を示した。

https://www.cnn.co.jp/tech/35147944.html

民主党、リベラルメディアとビッグテックに対し、共和党激怒

NYTの報道に、共和党は民主党とビッグテックに対して、激怒しているそうです。まあ、そうですよね。この件をタイムリーにきちんと報じていれば、投票行動を変えていた人もいたでしょうから。とはいえ、その場合でも、現大統領に投票するゾンビやペットの数が増えただけ(不正投票の数が増えるだけ)の可能性もありますが・・・。アメリカ人が騙された理由の2つ目は、ビッグテックとリベラルメディアによる情報コントロールです。

ニューヨークタイムズがついにこのデバイスが実在したことを認めた後、この件に憤慨した共和党員は、ビッグテック、民主党、リベラルメディアが共謀してハンター・バイデンの悪名高いノートパソコンに関する報道を検閲していると非難した。
「ニューヨーク・タイムズは、私たちが何年も前から知っていたことを認めました:ハンター・バイデンのノートパソコンの話は本物でした。この記事に対する大手ハイテク企業の検閲は恥ずべきものだった」とトム・コットン上院議員(アーカンソー州)は木曜日の朝にツイートしています。
何十年もの間、バイデン一族はジョーの官職を利用して利益を得てきた」と、コットン氏はその後のツイートで付け加えた。
「今日に至るまでも、ハンター・バイデンは、ホワイトハウスから祝福された”腐敗した取り決め”で、彼の "芸術作品 "のために何百万ドルも支払われている」。
共和党の反発は、ポスト紙が最初に報道してから17ヶ月後に、遅ればせながらラップトップのハードドライブに含まれる電子メールの一団を検証した、今週初めのグレイ・レディの報道に対するものであった。
バイデン大統領と彼の政権は、2019年にハンターがデラウェア州の修理ショップに放置されたラップトップに関するニューヨークポストの独占報道を、”大国”の誤報として以前から退けていた。
リック・スコット上院議員(フロリダ州選出)は、この”隠蔽工作”がバイデンが2020年大統領選挙で勝利を確保することに貢献したと激怒した。

「@nytimesは、私たちの多くがすでに知っていたことを確認した:民主党とその同盟者であるメディアとビッグテックは、@JoeBidenを大統領選挙で勝たせるためにハンター・バイデンの話を隠蔽するよう共謀した 」"

「すべては”大国”の陰謀だと主張し、この書簡に署名し、大胆な主張をした50人もの情報将校は誰なのか?」ジャーナリストのグレン・グリーンウォルドは、この騒動についてツイートし、書簡に署名した人々は”嘘つきの常習犯”であると主張している。

https://nypost.com/2022/03/18/gop-fury-at-big-tech-after-nyt-admits-hunter-biden-laptop-is-real/

最後の一文の通り、この件は、”大国”による工作だとか、”大国”と組んだトランプ政権による工作とか、いろいろなことを言っていましたし、ビッグテックやリベラルという名の共産党メディアは、これは陰謀論として検閲をかけていました。

ファクト・チェックというファクト製造機

私は客観的な報道というのはあり得ないと考えています。”このニュースを伝えよう”と、イベントを選んだ時点ですでに「このイベントは重要だ」という主観が入っているからです。そのため、”ファクト・チェック”という仕組みでは、何がファクトかなんて確認できないと思います。自分の意見をサポートしてくれる論文や記事のみを選んで裏付けすれば良いからです。”ファクト・チェック”が行っていることは、単に反対意見を述べているだけのことで、それ自体は全く問題ないと思います。何か事実かわからないからこそ、議論が必要だからです。ただし、自分が100%正しく、それが唯一の答えであるような印象づけをするような名称、”ファクト・チェック”は変更すべきです。

下記はその1例です。バイデン一家とウクライナの関係に関する疑惑に関してのポリティコによるファクト・チェックです。生地の冒頭に”編集部注”がついていますが、”こちら”というリンクから飛ぶのは、トランプ大統領が「バイデン一家を捜査しろ」とウクライナ政府を脅したという記事です。これは後に、ゼレンスキー大統領が「依頼が来たのは事実だが、それを脅しと感じてはいない」と発言しています。

少し長いのですが、修正が入ったときように、ほぼ全訳を残しておこうと思います。

2019年9月23日編集部注:この記事は2019年5月9日に掲載されたが、その後、新たな動きを取り入れた追加報道をこちらに掲載した。
(前略)
主な内容:
・ハンター・バイデンは父親が副大統領の時にウクライナのガス会社の取締役を務めていた。専門家は、ハンター・バイデンがこの役職を引き受けたことで、父親との間に利益相反が生じたとみている。
・ジョー・バイデン副大統領は、ウクライナにトップの検察官を解雇するよう促し、米国の援助を差し控えるという脅しをかけた。しかし、それは米国政府全体、そして他の国際機関の立場でもあった。
・メッセージにあるように、ジョー・バイデンが息子の利益を考えて擁護したという考えを支持する証拠は見つかりませんでした。同社が積極的に捜査を受けていたことも、検察官の交代が同社に利益をもたらしたことも明らかではありません(★1)。

ハンター・バイデンの役割は何か?
ハンター・バイデンが、2014年春からブリズマ・ホールディングス(Burisma Holdings)という天然ガス会社の取締役を務めていたことは事実。
ロイターは当時、同社のウェブサイト上の声明で、息子バイデンが”透明性、コーポレートガバナンスと責任、国際展開”などで同社を支援すると報じていた。同社は、バイデンが勤務していた法律事務所、ボイズ・シラー・フレックスナーに依頼していた。
バイデンは、クリストファー・ハインツ(ジョン・ケリー上院議員<当時>の継息子)、デボン・アーチャー(ケリー家の友人)と共に、投資会社やコンサルティング会社を次々と設立していた時期に、ブリスマ社での役職を得ることになった。バイデンとアーチャーが経営する会社は、”アメリカの外交政策の決定に関与する国際的な組織とビジネスを進め、時には政治的影響力や保護を意味するような国でのつながりを追求した”と、ニューヨークタイムズは報じている。

バイデンが取締役職を務める同社は、”大国”に友好的なヴィクトル・F・ヤヌコヴィッチ大統領の下で大臣を務め、その後民衆革命で亡命したミコラ・ズロチェフスキーが所有していたことから注目を集めた。ヤヌコビッチ大統領が失脚した後、ズロチェフスキーは彼のビジネスに関連するさまざまな汚職捜査に直面した。
2015年、ウクライナの新任検事総長ヴィクトル・ショーキン(Viktor Shokin)はズロチェフスキーと彼の会社に対する捜査の一部を受け継いだ。(ズロチェフスキー と同社はこの疑惑を否定している)ショーキンは2016年に検事を更迭された。ショーキンは、バイラルポストが話題にしている検察官である(詳細は後述)。

ジョー・バイデンは息子のウクライナとの関係を知っていたのか?
バイデン陣営はPolitiFactに対し、副大統領はメディアの報道を通じて息子の取締役としての役割を知り、この会社に関連することを息子と話し合ったことはない、と述べた。
ホワイトハウスの記者会見(2014年5月13日)で、利益相反の様相を呈しているかどうかを尋ねられた、ジェイ・カーニー報道官はこの件について、「報道のことは知って、副大統領のオフィスに照会しています。ハンター・バイデンやバイデン家の他のメンバーは、明らかに民間人であり、彼らが働く場所は、政権や副大統領、大統領による推薦を反映するものではありませんが、(念のため)副大統領オフィスに問い合わせしています」。
1年半後、ニューヨークタイムズは、ハンターバイデンの会社との取引によって「副大統領の反汚職メッセージの信頼性が損なわれたかもしれない」と示唆する記事を掲載した。

2015年の記事では、副大統領の広報担当者であるケイト・ベディングフィールドは、パパ・バイデンの政策への影響を否定していた。
「ハンター・バイデンは私人であり、弁護士です。副大統領は特定の企業を支持することはなく、この会社とは何の関わりもありません。副大統領は、アメリカ・ウクライナビジネスフォーラムのような団体と公的に、またウクライナの指導者との私的な会合で、ウクライナが法の支配に従って汚職を調査し起訴するためにあらゆる努力をするよう、何年も前から積極的に働きかけてきています。今週の訪米では、再びこのことが重要な焦点となるでしょう」。

ハンター・バイデンは今月、ニューヨーク・タイムズの声明で、「父と会社の事業や、私の取締役を引き受けたときのことも含め、話し合ったことは一度もない 」と述べていた。

https://www.politifact.com/factchecks/2019/may/07/viral-image/fact-checking-joe-biden-hunter-biden-and-ukraine/

★1にあったように、”ジョー・バイデンが息子の利益を考えて擁護したという考えを支持する証拠は見つかりませんでした。同社が積極的に捜査を受けていたことも、検察官の交代が同社に利益をもたらしたことも明らかではありません”が主流メディアの論調でした。

バイデンはウクライナに脅迫をしたのか?:
ニューヨークポストによると、バイデンはショーキン検事総長が解雇されない限り、10億ドルを留保すると脅したと報じていた。ショーキンをクビにしない限り援助を差し控えるという脅しをかけただけでなく、それを成功させた。
バイデンは2018年1月23日、外交問題評議会主催のイベントで、その時の様子を誇らしげに語った。以下は、バイデンの発言の該当部分で、ところどころ聴衆の笑いを伴っている。
「私は(ウクライナに)行き、我々のチームを説得したときのことだが、もう10億ドルの融資保証があると発表するはずだった。そして、当時のウクライナ大統領、ペトロ・ポロシェンコと当時の首相、アルセニー・ヤツェニュクから、「ショーキンの件で行動を起こす」と確約を得たのだが、彼らはそうしなかった。
記者会見に向かって歩き出していた彼らに、「我々はあなたに10億ドルを与えるつもりはない」と言ったが、彼らは「あなたには権限がない。あなたは大統領ではないのだから」と返してきた。私は彼を呼ぶように言った。「10億ドルは渡さないよ。あなたは10億ドルを手にすることはできない」。 そうして、彼らを見ながら「私は、6時間後には出発する。検事総長がクビにならないなら、金は渡さない」と、言った。さて、ざまあみろ、彼はクビになった。そして、その当時、優秀だった人間を後任に据えたんだ」。ショーキンは2016年3月の議会で、大差で役職を剥奪され、失脚した。

https://www.politifact.com/factchecks/2019/may/07/viral-image/fact-checking-joe-biden-hunter-biden-and-ukraine/

このバイデン大統領の動画は見たことがあります。公式サイトで公開されていたと思います。この動画が存在するために、PolitiFactでは、次のようなストーリーを作ります(下記の引用記事の★2をまとめたもの)。

欧米の指導者や機関がほぼ一致団結して、汚職捜査を怠っていた、ウクライナの検事の解任を求めていただけであり、バイデンはあくまでもその中の1人。個人的な利益のために解任を求めたわけではない。

これが事実であるとすれば、内政干渉どころか、”ウクライナの政権は欧米の傀儡”と言われても仕方ないのではないでしょうか?

もしくは、これがアメリカのスタンダートなやり方だということであれば、上記の記事中のリンク先にあった、”トランプ大統領がウクライナ政府にバイデン一家の捜査をするように圧力をかけた”ということは、欧米の指導者として、当然のことをしただけとなります。ショーキンが「捜査すべき汚職企業を放置した」として解任された事由にもなった天然ガス会社の幹部の1人がハンター・バイデンなのですから。”業界素人のハンター・バイデンを役員にして、年収のような月収額を支払っていた”、”その父親は、ウクライナ人検事を辞めさせる力のある、アメリカの副大統領””ハンターが役員を務める企業の汚職捜査が注視された”という、この3つだけで十分、”汚職の疑い”を持たれるものだと思います。下記の引用記事でも、この状況が疑われることは仕方ないとしています。もちろん、捜査の結果、シロならば、問題のないことです。疑いがあるにもかかわらず、捜査をしない検事は、”職務怠慢”とされたショーキンと同様、解任するべきです。

なぜバイデンは検事総長の解雇をめぐってウクライナに圧力をかけたのか?
「ブリズマにおけるハンター・バイデンのポジションと、ショーキンの更迭に関するバイデンの立場とは何の関係もない」という強い主張がある。というのも、欧米の指導者や機関は、ショーキンが汚職事件を積極的に追及していないとして、ほぼ一致団結してショーキンの解任を求めていた(★2)からだ。
例えば、2016年初頭、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、汚職訴追が加速しない限り、「IMF支援のプログラムが継続できるとは考えにくい」と発言している。
スティーブン・パイファーは、ビル・クリントン政権下で駐ウクライナ大使を、ジョージ・W・ブッシュ政権下で欧州・ユーラシア担当国務副長官補を務めた外務官僚のキャリアである。パイファーはPolitiFactに対し、彼が知る米国政府のほぼ全員と、ウクライナに関する非政府の専門家のほぼ全員が、「ショーキンは仕事をしておらず、解雇されるべきだと感じていた」(★2)と語った。私の記憶では、彼らは皆、バイデン副大統領(当時)がポロシェンコに、ショーキンが解任されるまで米国政府はウクライナに10億ドルの融資保証を延長しないと言ったことに同意していた」。
ワシントンのシンクタンク、アトランティック・カウンシルのシニアフェロー、アンダース・オースランドは、ショーキンへの批判が広がっていることに同意する。
ショーキンは、重要な人物を起訴することができず、ヤヌコビッチグループとポロシェンコグループの両方を保護した」(★2)と述べています。
ウクライナの反腐敗の代表的な声である腐敗防止センターの事務局長であるダリア
・カレニク(Daria Kaleniuk)は、今月初め、ショーキンの解雇はハンター・バイデンの勤めていた会社を守るためではなかったとツイートしています。「検事総長の解雇は、ブリスマとズロチェフスキーを捜査したかったからではないことは明らか」。

一方、ショーキンが解任された時点で、ブリズマを起訴する構えだったのかどうかについては、証言が分かれている。
今月、ウクライナのウェブサイトStrana.uaとのインタビューで、ショーキンは、この事件は確かに捜査中であったと述べている。しかし、2016年2月、オフィスの腐敗を理由に辞任するまで、ショーキンの副官として国際協力を統括していたヴィタリー・カスコは、ブルームバーグのインタビューに、ショーキンのもとではブリズマへの捜査は休眠状態だったという文書を提出した。「ズロチェフスキーに対する事件を解決するよう、米国の誰からも圧力はなかった」と、カスコはブルームバーグに語った。「2014年にウクライナの検察によって棚上げされ、2015年まで続いた」。

仮に、ハンター・バイデンはブリズマとの関係が父親の政策に影響を与えなかったとしても、彼の関係は問題があるのか?
ウクライナ政策の専門家の間では、ハンター・バイデンがブリズマの理事になったことは重大な利益相反であるとの意見が大勢を占めていることがわかった。
「犯罪ではないが、過ちである。コロンビア大学のアーノルド・A・サルツマン戦争と平和研究所の非常勤研究員で、旧ソ連の統治について研究しているリンカーン・A・ミッチェルは、「困ったことだ」と述べています。
2015年にニューヨーク・タイムズ紙にこの取り決めについて留保を表明したパイファーは、その後の展開でその懸念が確認されただけだと述べた。
「特に、副大統領がウクライナに関わる米国の高官であったことを考えると、ハンター・バイデンがブリズマの理事会に参加したのは間違いだった」と、パイファーは述べた。「ハンター・バイデンは父親の立場をもっと意識すべきだった 」と。

そして、ウィスコンシン大学のロシア・東欧・中央アジアセンターの前所長であるヨシコ・エレーラ(Yoshiko Herrera)教授は「ハンターバイデンの雇用は、ロシアや旧ソ連の他の地域でもよく見られる戦略であり、有力者は主要指導者の家族や仲間を活用することによって外交政策に影響を確保しようとする」と、語る。
「ハンター・バイデンを”私人”と呼ぶことは、副大統領との明らかなつながりを無視することになる。利益相反のルールが適用されるはずだ。バイデンがウクライナでオバマ政権のために働いているなら、彼の息子は、父親が行う米国の政策の影響を受ける可能性がある、そこの会社の役員になるべきではなかった」と述べた。

私たちの判定:
このバイラル画像は、ハンター・バイデンが”ウクライナ最大の民間ガス生産会社の取締役”を務めていたとき、彼の父親が”ガス会社を調査している検察官を解雇しなければ、ウクライナに対する米国の10億ドルの援助を差し控えると脅した”と述べている。
この画像はこの主張の個々の部分を正しく捉えているーーハンター・バイデンはその会社の取締役であり、ジョー・バイデンは検察官を解雇するために米国の援助を活用した。しかし、ジョー・バイデンが自分の息子が所属する会社を守るために行動したと仮定することで、この画像文言は、過剰な表現となっている。実際には、欧米では既存の検事を辞めさせるべきだという意見が広まっていたし、その事件が長い間休眠状態にあったという証拠から、いずれにしても彼が辞めさせることによって会社が利益を得たかどうかは定かでない。

とはいえ、専門家はバイデン親子の取り決めについて、重大な利益相反になりかねなかったと批判している。

私たちは、この記述を”半分正しい”と評価します。

2019年5月8日訂正:このバージョンでは、ハンター・バイデンとデボン・アーチャーが "国際的な事業体とのビジネスを追求した" 2人のパートナーだったことを明確にしている。クリストファー・ハインツは、そのグループの一員ではなかった。

https://www.politifact.com/factchecks/2019/may/07/viral-image/fact-checking-joe-biden-hunter-biden-and-ukraine/

バイデン親子の天然ガス会社をめぐる汚職疑惑記事は、”半分正しい”という評価だということですが、この評価の仕方もある種のテクニックだと思います。”半分正しい”というのは、あくまでも筆者とPolitiFactの感想に過ぎないからです。

”利益相反があった”という証拠がないと言いますが、”利益相反がなかった”という証拠もありません。”全部正しい”かもしれないのです。それを”半分正しい”と一部認めてみたり、バイデンの名声に傷が付かない程度に「重大な利益相反になりかねなかった」と批判してみたりして、中立を装っています。

”利益相反がなかった”という証拠もない中で、なぜ専門家は”なりかねなかった”とあたかも”なかった”ことのように断言できるのでしょうか。

ファクト・チェックという自称新しいジャーナリズムは、こうやって”ファクトっぽいもの”を製造していくのです。

なぜ今、息子のパソコン疑惑が動き出したのか?

捻くれずに考えると、元パートナーによる捜査協力

その1つの要因は、別件逮捕された元パートナーによる捜査協力もあるのかもしれません。

タイムズ紙によると、連邦検察は、ハンター・バイデン氏に関する捜査の一環として、ノートパソコンから復元された長男と彼の元ビジネス・アソシエイトとの間の電子メールを調査した。精査された文通の中には、ウクライナのエネルギー企業ブリズマ図ま(Burisma)の役員を長男と共に務めたデボン・アーチャーとの間のものもあったという。

先月、無関係の詐欺事件で判決を受けたアーチャーは、ハンター・バイデンに対する捜査で、FBIに”完全に協力”していると、ポスト紙は報じている。
タイムズ紙によると、ハンター・バイデン氏とアーチャー氏らの国際的な事業活動に関する電子メールは、同紙が入手した "ハンター・バイデン がデラウェア州の修理ショップに放置したノートパソコンから出てきたとみられる”ファイルから得られたものだという。電子メールと調査に詳しい専門家により、同紙はその信憑性を確認しているという。

https://nypost.com/2022/03/17/hunter-bidens-infamous-laptop-confirmed-in-new-york-times-report/

この捜査協力の影響はあると思います。しかし、それだけではないのではないか?というのが次の章です。

ウクライナ、”大国”と米国共産党

バイデン息子のパソコン疑惑についての捜査は、アメリカの現役大統領をめぐるスキャンダルですから、小さなことではありません。とはいえ、このこと自体よりも気になっているのは、”なぜ今?”ということです。

ウクライナと、米国共産党の黒いつながり疑惑については、他にもいろいろな疑惑があがっています。息子が有罪となれば、パパの汚職についても明らかにされます。汚職は大統領解任する十分な条件になるだけではなく、他の米国共産党の重鎮らの疑惑にも再び目が向けられる可能性もあります。

とはいえ、このニュースを本当に明るい兆しと考えていいのか?については、少し慎重にならざるを得ません。それほど、この数年間は、さまざまな件において、”限りなくクロにもかかわらず、シロを装ったグレー”という状態が続いてきたからです。

とはいえ、この時期に、この疑惑が動き出したということは・・・。

  1. ウソが隠しきれなくなった

  2. トカゲのしっぽ切り

  3. 大統領を変更するきっかけづくり

  4. 中間選挙対策

  5. 今回の”争い”と何らかの関係

”1.ウソ隠しきれなくなった”結果、”2.トカゲのしっぽ切り”という可能性や、”4.中間選挙対策”のために”3.大統領を変更するきっかけづくり”というようなことも考えられます。

1〜4までは、「まあ、そうだよな」ということかと思います。なぜ、”5.今回の《争い》と何らかの関係”があると考えるのかといえば、トランプ大統領に何かと”大国”疑惑を押し付けようとしていたからです。実際、トランプ大統領解任の議決の要因として騒ぎ立てられた”《大国》ゲート”問題は、追及できる要素がなかったようで・・・。現在では、それよりもホワイトハウスやトランプタワー内の自宅が民主党サポーターによってハッキングされていたのではないか?という”オバマゲート”の方が問題になりつつあります。

”大国”と米国共産党

個人的な感想のレベルの話ですが、トランプ大統領と”大国”大統領は、特に良い関係というわけではなく、単に敵が同じというだけの関係だと思います。両人ともに愛国者であるという共通点はありますが、それだけに、大切なのは自国。トランプ大統領の功績として、アメリカの天然ガスや石油産業が久しぶりに輸出国となりました。これは”大国”にとっては、良いニュースではありません。ドイツをはじめヨーロッパの資源が現在、”大国”頼みとなっているのは、バイデン政権になると同時に行われた天然ガス・石油業界の締付け政策にあるとも言われています。だとすれば、今回、欧州の介入をさせにくくする”カード”を””大国与えたのは、バイデン大統領ということになります。

米国共産党と”大国のつながり”には、下記のような買収劇もありました。

トランプ大統領の「”大国”・ゲート問題」よりクリントン夫妻の「ロシア疑惑」の方が深刻なスキャンダルだ!(2017年11月15日、産経新聞)
ドナルド・トランプ大統領の「”大国”・ゲート問題」は、すでに実体がないことが明らかになった。これに対し、新たに発覚したクリントン夫妻の「”大国”・ゲート問題」は、ウォーターゲート事件などが比較にならないほど、深刻な政治腐敗といえる。国家の安全を、金銭で”大国”に売り渡していた疑いがある一大スキャンダルなのだ。
オバマ政権でヒラリー・クリントン氏が国務長官だった当時、カナダの「ウラニウム・ワン」という企業を、ロシア政府の原子力機関「ロサトム」が買収した。「ウラニウム・ワン」は、米国のウラン鉱脈の5分の1を保有しており、買収には米国政府の許可が必要だった。
ヒラリー氏はこの買収を積極的に推進し、「ウラニウム・ワン」はロシア政府の傘下企業となった。さすがに共和党保守派は当時、「この売却が米国の国家安全保障を大きく毀損(きそん)する」とオバマ政権を批判したが、企業買収は完了してしまった。

https://www.sankei.com/article/20171115-HVNPUJD5I5KFNL2H3NWM2QOMM4/

バイデン大統領の役割

「バイデン大統領、ボケた?」みたいなことを言う方もいらっしゃいますが、彼の”健康上の問題”は今に始まったことではなく、選挙戦から”愉快な言動”はたくさんありました。そのため現在の職についてから、彼自身が自分で政策を考え・・・ということはおそらくないかと思います。つまり戦略や政策を考える”誰か”が必ず存在するはずです。

そのように考えると、今回の”争い”はアメリカにとっては”あった方がよかったもの”という見方が正しいのではないかという気がします。なぜ”あった方がよかったのか?”、その目的は?というと・・・。

  • バイデン一家の疑惑に対する捜査を目立たなくさせるため

  • インフレへの批判を交わすため

  • トランプ政権自体に下がり気味だった、米国の”特定業界”を儲けさせるため

  • バイデン政権の支持率降下が止まらない中での中間選挙対策

  • コロナ対策の失敗追及から関心を逸らすため

  • 明らかにされていく不正選挙の実態から関心を逸らすため

  • 米国共産党の敵である、”アメリカ”と”大国”の弱体化を狙う

・・・と、簡単に思いつくものだけでもこれだけあります。

煽るだけ煽ったわりには、ウクライナの現政権の期待するような動きをしていなかったことも、米国共産党政権が「ウクライナはあくまで駒の1つ」と考えていたならば、説明がつきます。

なぜアメリカは「ロシアがウクライナを侵攻してくれないと困る」のか(2022年2月20日、遠藤誉・中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士)では、下記のように説明されています。

 ロシアがウクライナを侵攻してくれると、アメリカにはいくつものメリットがある。米軍のアフガン撤退の際に失った信用を取り戻すと同時に、アメリカ軍事産業を潤すだけでなく、欧州向けの液化天然ガス輸出量を増加させアメリカ経済を潤して、秋の中間選挙に有利となる。

なぜアメリカは「ロシアがウクライナを侵攻してくれないと困る」のか

トランプ政権時代に、”損をさせられた”と思っていた業界に製薬と軍需があります。ご存知の通り、”パンデミック景気の波”に乗れた製薬会社はさぞかし満足の結果が・・・いえ、意識高い系の彼らの利益追及志向は満足することを知らないのでした。コロナがようやく収束しそうなのに、バイデン政権の狙いは”毎年接種”なのだそう。念のため、ワクチン開発プロジェクトを牽引したのはトランプ大統領ですが、出来上がったワクチンを、接種義務化の方向に持って行ったのが、ファウチ博士とバイデン政権です。

そして、トランプ大統領下で戦争が全くなく、追加需要がなかった軍需産業の方はといえば、ご存知の通りです。加えて、現在、日本をはじめとする軍事増反対する国民が多かった国でも、”いざと言う時に、アメリカは守ってくれない”ということを目の当たりにし、方針転換を検討しているところかと思います。

両業界とも、「ありがとう。バイデン 」というところでしょうか。ではなく、「お疲れさまでした〜!(もう辞めていただいて結構ですよ)」の方でしょうか。

後者であれば、息子のパソコン疑惑がなぜ今、動いたのか?にも繋がりそうです。

アメリカとウクライナの距離

本件を調べていくうちに、ファウチ博士とオバマ政権と、生物学研究所 in ウ国を書いた時と同じ気持ちになりました。

アメリカとウクライナって、思っていた以上に近い!っと。

特に気になったのは、ウクライナ国家汚職防止局(NABU)の存在です。今回シェアさせていただいた、記事の文中にも出てきますが、名前の通り、汚職に特化した捜査機関です。バイデン親子をきちんと捜査するのであれば、この機関の協力がなければできませんし、先ほどのバイデン親子の疑惑ストーリーの”疑惑”が正しければ、この機関にも”疑惑”が向けられて当然ということになります。なぜなら、ショーキンによれば、彼は、幾度となくバイデン 親子の疑惑に関する報告と、捜査依頼を、NABUにしていたものの、職務怠慢を理由に解任されているからです。

さらに、NABUはアメリカのFBIと、何らかの協力関係を結んでいます。

NABUとFBIの相互理解覚書

記事は更新したときのものですが、元々は2016年6月に署名された覚書。オバマ政権のときです。

ウクライナで政権高官の汚職犯罪に特化した法執行機関「国家汚職対策局(NABU)」と米国の連邦捜査局(FBI)は、相互理解覚書の効力を更新した。
6日、在ウクライナ米大使館がツイッター・アカウントにて伝えた
発表には、「FBIとNABUは、両国に関する案件での協力を継続する相互理解覚書を更新した」と書かれている。
大使館が掲載した写真には、クヴィン米大使臨時代行の同席の下、シートニクNABU局長が文書に署名する姿が写っている。
なお、米FBIとNABUは、2016年6月に相互理解覚書に署名している。同覚書はFBIが捜査分野でNABUと特別汚職対策検察(SAP)を支援することを可能とするものとなっている。(2021年7月6日、ウクライナ大使館)

https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/3276510-ukuraina-wu-zhi-sou-zha-ji-guanto-mino-xie-li-ji-xuhejue-shu-shu-ming.html

NABUとは?

タイミング的に、設立目的が気になりましたので、同局のサイトで設立に至った経緯や、これまでの歴史的なものを見てみました。このサイトによると、NABUの設立は、EUとのビザ制限緩和の条件だったようです。中国人のウクライナ留学を調べているときに、そのメリットとして、「ウクライナの学生ビザがあれば、EU諸国にビザなしで行ける」とありましたので、おそらく目的は達成できたのだと思います。

ユニークなのが同局長の選出方法。公開コンペティションが行われたようです。ポジティブな解釈をすれば、”汚職”というウクライナが長年克服できずにいる問題に対し、抜本的な改革を行おうという意気込みが伝わってくる試み・・・ですが、一方で、現職の検察官以外であっても、”適任者”をこのポジションにつけさせることができるともとれます。

2021年11月に実施された変更も”特別な地位を持つ中央行政機関”というのが、とてもポジティブにも、とてもネガティブにも転がる可能性を秘めています。

国家腐敗防止局(NABU)の設立と発足:
IMFと欧州委員会がウクライナと欧州連合の間のビザ制限を緩和するために設定した要件の1つであった。
歴史:
・2014年10月、議会は”ウクライナの国家汚職防止局に関する法律”を採択。
・2015年1月、国家機関の長官職の公開コンペティションが発表。応募者186人から、選ばれた優勝者が現局長、アルテム・シトニク。
・2015年4月、ペトロ・ポロシェンコ大統領は、ウクライナ国家汚職防止局設立に関する政令と、アルテム・シトニクを局長に任命する政令の2つの政令に署名。
・2015年4月、NABU局長が署名した最初の命令により、局の構造と詰めが承認。Gizo Uglavaが第一副局長に任命され、その後、さらに2人の副局長、Anatoly NovakとTetyana Varvarskaが任命された。
・2020年9月、ウクライナ憲法裁判所は、ウクライナ法「ウクライナ国家汚職防止局について」の一部の条項を基本法と矛盾するものとして認定した。
・2021年11月、既存の法的矛盾を解消するために、ウクライナ法”ウクライナ国家汚職防止局について”の改正が発効。以降、NABUは特別な地位を持つ中央行政機関とあり、汚職やその他の犯罪の捜査における組織的独立性と能力という主要な運営原則は維持されている。

https://nabu.gov.ua/en/history-nabu

メモ:
・バイデン息子が役員を務めるブリスマの汚職疑惑の捜査にあたっていた(あたるべき捜査を怠った)ウクライナの検事総長ヴィクトル・ショーキンが同職に就任したのが2015。失脚したのが2016年。
・NABUは、バイデン副大統領(当時、オバマ政権)とサポーターである伝説の投資家が設立に協力した組織と言われていますが、一次情報では確認はできず。
・シトニック局長は、ウクライナの検事総長から全ての汚職捜査案件を取り上げ(引き継ぎ?)それをNABUの管轄下においたという話もありましたが、一次情報で確認はできず。

NABUとFBIの覚書は”機密”であり、非公開

ウクライナ国内でも、NABUとFBIとの覚書について、「知りたい!」と思う人はいるようで、NGOが覚書の公開を求めていたようです。下記は、この訴訟のことについて、NABUのサイトで掲載されていたものです。

第6行政裁判所の決定により、ウクライナ国家汚職防止局(NABU)は、NGOプラヴォヴァ・デルザヴァより要請を受けていた、NABUと米国FBIの間の覚書コピーの提供を合法的に拒否したことが確認された。これは、2019年3月13日付の行政裁判所の判決に記載されており、決定は同日付で発効した。
この判決は、キエフ地方行政裁判所(KDAC)の前回の判決を廃止し、NABU職員の行為の違法性の認定に関する申請者の訴えを否定したもの。NGOプラヴォヴァ・デルザヴァは2017年末、NABUと米国FBIの間の覚書コピーの提供を求めたが、NABUは、同覚書の内容は機密であり、開示できない旨を返答。2018年1月25日、同NGOがKDACに提訴した。この訴訟では、とりわけ、2014年から2018年1月25日までの期間におけるNABU、SAPO、FBI間の覚書の認証コピーを提供するよう国家局に義務付けることが要求されました。2018年11月23日、KDACはNGOの主張を一部認め、文書のコピーを提供しないことに関するNABUの行為を違法と認めた。その後、NABUはその行動の合法性を証明し、KDACの判決を不服として控訴していた。

https://nabu.gov.ua/en/novyny/court-supports-nabu-position-refusal-publish-memorandum-fbi

ちなみに、海外からの支援としては、NABUはFBIだけでなく、JAICAにも協力要請していたようです。

https://www.jica.go.jp/activities/project_list/knowledge/ku57pq00002mnhqq-att/2019_760_ukr.pdf

寄付、大丈夫でしょうか?

”はじめに”で申し上げた通り、私は国民と政権は別だと考えています。ゼレンスキー大統領がどんなに綺麗事を並べても、自国民を戦火に巻き込んでしまったのは、同政権の責任です。同様に、”大国”大統領の始めたことで、世界各地にいる同国民が肩身の狭い思いをしていたり、具体的に被害を受けていたりすることにも心が痛みます。そして、もちろん、命の危険に晒されてしまっているウクライナの国民の人のためにも、一刻も早くこの状態が解消されればと思っています。

ただ・・・。アメリカの共産化を懸念し、その視点からウクライナを見ていた者としては、今の段階で、同国に寄付を贈っても、それが確実に、困っているウクライナ国民に届くかどうかは、不安なだと思っています。これまで見てきた通り、米国共産党絡みの、汚職や資金横領の疑惑で、結構、同国の名前を聞くためです。JAICAの”支援背景”でも、汚職対策は2014年以降、同国の優先的な課題であることが示されています。

プロパガンダなのか、国民の本音なのかはわかりかねますが、「毛布や食べ物よりも武器を送って欲しいと国民が言っている」という話も出ていますから、このストーリーを使って・・・ということもゼロではありません。今の時点で、あまりにも多額の資金が同国に流れることは、心配である気もします。これから寄付を考えられている方は、復興には長い時間がかかるということも踏まえて、少し時期をご検討される方が良いかもしれません。

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