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秘技、ヤッホー!

 「久しぶり〜!

 こないだお祭りに行ってきたんです。

 あんな人にまみれたお祭りはコロナ禍前ぶりだったので、とっても楽しかった〜。
 で、そこで「知り合い」にたまたま会いました。

 その人は地元でお店を経営している人で、お祭りでもお店を出していました。
 もちろん向こうもわたしのことを認知してくれてると思っていたので、お店のところまで行って会釈したんです。

 そしたら。

 冒頭のような言葉が返ってきたんです。


 え?まぁ。久しぶり、だけれども。

 絶対わたしのことわたしだって認知してないよね?
 絶対、だれに対しても「久しぶり〜!」って言ってるやつじゃんこれ!!

 してやられました。

 認知していたのはわたしだけで、向こうからしたらたくさんいる客のうちの1人だったということです。
 だから、顔なんかいちいち覚えていられない。

 それか、しょっちゅう来るわけでもないわたしの顔なんか覚えておいたってしようがない。

 まぁ、気持ちは分かります。

 認知はしとらんけど、店に来たことがあるであろうっぽい人が挨拶をしてきたから。とりあえず「久しぶり〜!」って言っておけばどうにかなるだろう

 そういう魂胆ってワケかい

 キェ〜!
 これが、オマエの、ヤリカタかー!!

 きっと「久しぶり〜!」と言っておけば。
 そこから会話が始まるのでしょう。今までも、それでそつなくかわしてきたんだろうな。

 「元気〜?あれ、いつぶりだっけ〜?
  あァ〜!アレぶりか〜!元気そうでよかった!」

 他愛もない、中身もない会話を交えて。
 難を逃れながらも、あくまで「あなたのこと知ってますよ」という体を崩さずにその場を乗り切るワケですね。ふむふむ。

 まぁ、わたしは勘付いてしまいましたので。乗り切れなかったワケでございますが。

 会釈からの。中身のない、薄っぺらい「久しぶり〜!」を授受した時点でそそくさとその場を去りました。

 だって。

 薄っぺらい笑顔と薄っぺらい「久しぶり〜!」に耐えられなかったんだもん。ぴえん。


 ここでわたしの「人見知り」が炸裂してしまったわけであります。

 もし、わたしがコミュニケーション力のオバケであった場合。

 「え〜?ちょっと!絶対覚えてないでしょそのリアクション!も〜、わたしだよわ・た・し!祭りでもお店出してたんだね!んじゃあビールもらっちゃおうかな!」と。

 これくらいズケズケと話を膨らますことができたかもしれないですが。

 noteの中では、会話も思い浮かぶのに。
 現実世界となると。さらには、そんなに会話したことのない相手となると。

 いかに自分から話さずに済ませられるか

 コレにかかってくるワケでございます。
 なにせ、コミュ障検定1級を持っているわたしですからね。ちょっとやそっとじゃ口を開きません。


 そんなわたしだからこそ。
 相手の発言や態度には、とても敏感なんです。

 人の顔色を伺いながら、ニコニコしたり相槌を打ったり。友人関係ではない、なんとも言い難いヒトとのニンゲンヅキアイは、ヒジョーに繊細で面倒くさいですよね。

 まぁ、そう思ってるのはわたしだけでないんですよ

 なぜかって。
 すっからかんの「久しぶり〜!」で。ニンゲンヅキアイを乗り越えようとしてたじゃないですか、あの人も。


 そういうテクニック、わたしも身につけたいな。

 身につけたところで。
 中身のない「久しぶり〜!」をぶつける相手もいないんですが。それは置いといて。

 よくないですか?
 これだけ持っておけば、なんとなくニンゲンカンケーを攻略できちゃう必殺技。みたいな。

 誤って初対面の人に投げちゃったとしても「ごめーん間違えちゃった!知り合いとすごく似てて!」とか言っとけばどうにかなっちゃう。だろうし。

 あいにく。
 そのような必殺技は習得していないんです。

 知り合いが多い人でないと扱えない、玄人向けの秘技、なのかもしれない。グギギ、わたしに扱えないだと。


 会釈されたと思ったら、声をかけられる前に先制攻撃できちゃうような。
 そういう、当たり障りのない声掛けテクニック。憧れちゃいます。

 さっきまで非難していたのに。
 急に「久しぶり〜!」がカッコよく思えてきた。

 知り合いの少ないわたしがそんなワザを身につけても。誰にぶつけるんだよって話なんですが。

 でも身につけといて損はないですもんね。
 なにかいいコトバはないだろうか。


 「やっほ〜!

 なんてどうでしょう。

 職場に技能実習生がいるのですが。
 実は、わたしがこの言葉を教えたら、気に入ったのかよくわたしに使ってくれているんです。

 かわいらしくて親しみやすい、言葉の響き。
 「こんにちは」よりフレンドリーだし「どうも」より温かみがありますよね。

 もちろん、上の立場の人やお客様には使っちゃダメだよ!と念を押しましたが。
 本人がきちんと理解できているか、ちょっぴり心配です。わたしが教えたのがバレたら、怒られちゃうんですから!

 でも。いいですよね、「やっほ〜!」。
 教えただけで、教えた本人(わたし)は意識して使っていなかったです。

 もしかすると、「久しぶり〜!」よりフレンドリーで使いやすいのでは?と思えてきました。

 日本人でなくても、その言葉の響きを気に入って使いたくなっちゃうわけですし。

 「久しぶり〜!」より難易度は高くないうえに。
 ダレカの心を掴む力も、それなりにあるはず。

 よし。

 きょうからわたしの必殺技は「やっほ〜!」に決定!ゲットだぜ!です。

 親しい人はもちろん。

 そんなに親しくない人にも使っちゃえば、なんとな〜く開いていた心の距離もすこし縮まっちゃうかもしれません。

 「やっほ〜!」がわたしを救う。
 「やっほ〜!」が世界を救う。

 24時間テレビより効き目がありそうです。なんて。


 なんだかんだ言ったって、ニンゲンヅキアイほど面倒くさいものはありませんもの。

 できれば荒波立たせずに、穏便に付き合っていけたらそれに越したことはないってことです。

 余計な気は遣いたくないし。
 気を遣われるのも、かえって疲れてしまいます。

 カジュアルに使える「ワザ」をヒトツ携えておけば、いざという時の危機回避にもなるし、距離が近づくきっかけづくりにもなる。

 きょうは、いいモノを手に入れちゃいました。

 ぜひ皆さんも、明日から使ってみませんか?
 わたしだけの必殺技にしておくのにはもったいないシロモノですから。

 ダレなのかよく分からない人にも。
 ちょびっとだけ距離のある人にも。
 とってもなかよしの人にも。
 あんまりオススメはしませんが、初対面の人にも。

 きっと相手も、同じように返してくれますから。

 とびきりの笑顔とセットで。せーのッ!


 「やっほ〜!


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