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画面の中にあったもう1つの世界

オンライン飲みが流行っている。

zoomなどのオンライン会議ツールを使って、画面越しに友達や会社のメンバーと酒を飲んだり、料理を食べたりする。

今まで、対面で飲食をすることに慣れていた生活者は、さぞ新鮮な気持ちだろう。

インスタのストーリーを見ても、zoomの動画ばかりである。

(もう飽きた)

僕は、この光景を「懐かしい」と感じた。


中学時代、夢中になったもう1つの世界


僕の中学時代は、とにかく「誰もやっていないこと」をいかに取り入れるか、が勝負だった。

LINEなんてまだ「なんだこれ?」と言われた時からコミュニケーションツールとして使っていたし、viberで連絡を取り合ってる時期もあった。

そんな中でも、当時の僕らを夢中にさせたのはSkypeである。

複数人が同時に通話することができる

ガラケー真っ盛りの当時、僕らの「通話は1:1」という常識がブチ破かれた。

クラスの仲良しメンバーと学校にいる時だけでなく、skypeを通して夜通し話し込んだ。

常に一緒にいる感覚で冗談を言ったり、人をいじったりしながら夢中になってskypeを使い込んだ。

(ちなみに、好きな子とクラスで話せなくても、skypeで話す機会を作れたりと、本当に青春の一ページだった)


いつしか僕らは、「知り合い間での複数人同時通話」では物足りず、ついに全く知らない人を入れて話す「異文化交流」に手を出すことになる。


突発的な出会いに夢中になる


2011年当時、斎藤さんやmixiがとにかく流行っており、見ず知らずの知らない人とランダムで繋がることが1つのブームとなっていた。

なんとなく繋がってだらだら話したり、ちょっと知ってる隣町の人とチャットしてみたり、時に煽りあったり、女の子が出たら話し込んだり、メアドを交換したりと、突発的な出会いに胸を膨らませていたのだ。

その影響か、skypeでも「知らない人を混ぜて、みんなで話そうぜ」というノリになった。

ただ、skypeはIDを入力して友達登録しないと通話することが出来ない。

そこで登場したのが、ID交換掲示板である

新しい物好きの中学坊主立ちには、たまらないオアシスがそこにはあった。

とにかく、面白そうな人を掲示板で探して、無作為に登録してコンタクトを取っていった。

まだインターネットサービス自体が今ほど普及していなかったため、返信率が高く、すぐにIDを登録して通話することが出来た。

そうして、知り合い間だけでなく、見ず知らずの知らない人と実際に「ガッツリと話す」ことを知ったのだ。

そこで、自分たちの中のいじられキャラをぶつけてみたり、クラスで流行ってたギャグをぶつけたりしながら、「自分たちノリ」の普及活動に毎日眠い目を擦りながら勤しんでいた。

いつしか、全くあったこともなければ顔も知らない「ただskype上で話したことある人」何人かでイツメンが出来た。

暇だったり、何かあった際に気軽く集合して話せるメンバーである。

本当に居住地もバラバラで、広島県の男の子だったり、愛知の女の子だったり、様々な人種がskype上で共存していたのである。

お互いのことをあんまり知らない状態で。


僕らは流行りを10年早く先取りしていた


今のオンライン飲みをみていると、とても懐かしい気持ちになる。

なんか、昔に戻ったかのような不思議な感覚になり、パラレルワールドに彷徨った感じになる。

驕り高ぶるつもりは毛頭ないが、僕らは流行りを10年先取りしていたのだ。


zoomが流行ってから思い出す、10年前のskypeで繋がれた僕らの青春。

とても新鮮で、なぜかワクワクして、勉強そっちのけでのめり込んだあの感覚が、ちょっと甘酸っぱく蘇ってくる。

2020年。

当時の僕らは10年後、疫病が流行り、オンラインでのコミュニケーションが流行るとは想像しなかった。

未来は何が起こるかわからない。

そういえば、あの時は東日本大震災があったな。

skypeで知り合った「イツメン」は今、元気にしてるかな。


少し大人になった自分がそこにいた。


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