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35歳のおじさんがプロダンサーになるまで2nd season⑦〜ダンス成長編Ⅱ〜

25歳。

その時期、『FUNK NATION 山陰』というバトルイベントが開催された。
広島のバトルイベント『FUNK NATION』が、鳥取県米子市で初開催されたのだ。

特にこの時期の『FUNK NATION』は『OSN(2nd④参照)』並みに毎回レベルが高かった。
この回は山陰で開催されていたが、大阪、広島、岡山からもエントリーがあり、とてもレベルが高かった。

私は緊張しながらも予選を踊り終えて、予選通過者の結果発表を客席で待っていた。
隣にはメグちゃんがいた。
たしかMITOくんも近くにいた。

当時からバリバリ活躍していたMITOくんは今回も予選通過するだろうけど、私とメグちゃんは予選落ちだろうなーみたいな話を3人でしながら、結果発表を待っていた。

やはり早い段階でMITOくんの名前が呼ばれて、MITOくんは予選通過者の集まるステージに向かった。
私は心臓をバクバクさせながら結果の続きを待った。

そして、予感はしていたが、

メグちゃんの名前が呼ばれた。
見事、予選通過だ。

これは本当に凄いことだった。
真っ先に「おめでとう!」と言って一緒に喜んだ。

メグちゃんがステージに向かう後ろ姿を客席から見送る時、喜びと悔しさが入り混じった感情が出てきて、なんとも言葉にできなかった。

もちろん、おめでとうの言葉に1ミリも嘘はない。

というより、ここでおめでとうが言えない人間は、目指す場所に辿り着けないと思っている。
嫉妬心に飲まれて、その言葉が出てこなかった時こそ、人間が本当に負けた瞬間だと思うからだ。

他のジャンルでも、昔からの顔馴染み達が予選通過し、笑顔を輝かせていた。

"いつか自分の番はくるのか……"
"いや、きっとくる……"

そんな気持ちの隙を突かれたのか、この後、会場でウイルス性胃腸炎をもらい、高熱と寒気にうなされながら帰宅した。

メグちゃんはその後も活躍を続けて、県外のバトルでも順調に結果を出していた。

そんな矢先、ダンス練習中に、メグちゃんが膝の靭帯を切った。
完治まで1年かかる大怪我だった。

心配しながらも、この時、私は心に決めた。

メグちゃんは必ずパワーアップして、ダンスに戻ってくる。
私もこの1年でパワーアップするんだ、と。

【未来の自分から一言】
周りのみんなと明らかに差が開き始めた時期だね。
キミはいつも客席で体育座りをして、みんなを応援していたね。
ダンスを観るのは好きだったから苦じゃなかったけど、少し複雑だったね。
大丈夫。
勝てなくても、決して負けない。
諦めずに挑戦し続けよう。

《ダンス成長編Ⅲ》へ続く…

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