『ラーゲリ』を見て気付かされた大切なこと
「ラーゲリより愛を込めて」
去年公開されたこの映画。
"ラーゲリ"というのは、
ロシア語で"収容所"という意味
この物語は、第二次世界大戦後も抑留者として過酷な生活を強いられた日本人について、ノンフィクションで描かれていました
戦後も、日本に帰れず働かされていた人たちが大勢いたことに驚き
その労働環境があまりにも酷なことに衝撃を受け
それでもその日々を生き抜いた人たちに心を打たれました。
中でもすごく印象に残っているのが、
主人公である山本幡男さんが死のうとした仲間に向かって放った「希望が無くても生きろ」という言葉
正直見ながら、こんなに地獄のような毎日が続いて、いつ帰国できるかもわからず、ましてや愛する家族まで戦争で失ったとしたら、生きてる意味がわからなくなるよなって。そりゃ命を絶ちたくなるのもわかるなって、思ったんです。
でもそんな時に「希望が無くても生きろ」という言葉が出てくるのが、私には理解できそうでできなくて。
希望がなかったら、生きてる意味がない
生きてる意味がないなら、この世界にいる必要はない
私自身が最近ずっとそう感じていて、悩んでいて
結論が出せずにいて
そんなところに、映画の中で正反対の言葉に出会って
すぐには咀嚼できなかったんだけど、なんとなくうっすらわかったことがある。
今は生きる意味がなかったとしても、諦めるな。
そして、誰がどんな状況にあろうと、必ず誰かの大切な存在である、だからどうか生きてほしい、と。
死のうとして山本さんに止められた相沢光男という人物。
彼は後に、山本さんの遺言を家族に伝えるという大切な役割を果たすことになる。
これは結果論になってしまうかもしれないけど、遺言を伝えるまではそれが彼の生きる意味になったと思うし、山本さんや、山本さんの家族にとって彼は感謝してもしきれない存在だったと思う。
そう考えると、"未来を見捨てずに生きてほしい"というメッセージを、相沢光男という役を通して伝えているように感じました。
でも正直生きる意味を見いだせない中で、それでも生きていくっていうのはめちゃくちゃ難しいことだと思っていて。
だからこそ、山本さんのように側で命の灯火を少しでも灯し続けてくれるような、そんな存在がきっと必要なんだと私は思う。
そして、主題歌であるMrs. GREEN APPLEさんの「Soranji」
これがエンドロールで流れることによって、まるで山本さんの遺言を曲にしたように聞こえる不思議
この曲の新たな一面を見たような気がして、改めて素晴らしい楽曲だなと、そう感じました。
この曲の作詞作曲をしたのが、ミセスのボーカルギターである大森元貴さんなのだけれど、
曲作りについて雑誌「MUSICA」2022.12月号でこのように語っていて。
台本を読まずに、自分も同じ極限状態にまで追い込んで産まれた楽曲だからこそ、
映画を観ていない人にも響く何かがあると思うし
人って限界まで追い込まれると、多分同じ気持ちになるんだろうな
だから山本さんの遺言のように聴こえたんだろうなって思ったり
いつの時代であっても、きっと大切な人に伝えたいことは変わらないんだって、気持ちは一緒なんだって、
そう教えてもらったような気がします。
今のこの時代
戦後とはまた違った生きづらさ、困難、苦しみがあるけれど、
この映画が伝えたかったメッセージを心の片隅にしまっておいて
どんな状況になったとしても、生きることを諦めないでいよう、なんとか生きていこう
そう今は思えます。
最後に、先ほどの雑誌の中で
一番大好きな大森さんの言葉で締めようと思います。
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