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広報での「伝える」について細分化して考える

広報とは「伝える仕事」「コミュニケーションの仕事」と言われる。「伝える」という一言であってもいくつもの要素が含まれており、それを見つめることでさらにレベルの高い業務に向き合っていけるように思う。
今回はそのことを分解して書きたくなったので、言語化してみる。


「伝える」を分解する

「伝える」と一言で言うも、何かのメッセージを放ち、相手が受け取ってくれてはじめて成立する概念である。
もちろん、メッセージを放つプロセスからスタートしており、この時点で(受け取られるかは別として)広報業務として工数はかかる。
そして、放ったものを受け取ってくれるところの工夫も広報業務として必要になってくる。

そして、広報側が言いたくて放ったメッセージは、相手が受け取りたいことと重なる(一緒)とは限らないことについて考えなければいけない。
相手が受け取りたいこととは何かを細かく考えていく。

そもそも相手って誰なのか?
1対多の活動が多い広報業務においてだと、ここも抜け落ちやすい。

「相手に合った内容を伝えよう」とはよく言うが、具体的には何だろうか?
相手の立場や行動を具体で考えることで、より内容や言葉選び、価値提供などが明確になりやすい。

相手のタイミングで伝えることも大事になってくる。
今欲しいと思っていなかったり、売り込み的な相手だけが得られるメリットへの嫌悪感があったりする。同じような属性であってもタイミングは変わる。「今何かに困っていて、今欲しいものが価値提供されている」とかでない限り良いとは思われない。

その場合、広報の言いたいことを横に置いておいて、相手が受け取りたいことを優先して伝えていくとうまくいきやすい。
情報を「Give」し、接点を探るためにコンテンツの発信を広く行うことが、コンテンツマーケティングと呼ばれる活動であったりする。

「コンテンツマーケティング」のメカニズムについては以前に考察や分解を行ってみたであわせてご参考いただきたい。


「伝える」のさらなる深掘り

ターゲットにのみどう伝わるかを考えがちだが、ターゲットも含め、どの人にも全員に見られていることを想像して内容を考えるべきである。

インターネットなど、オープンな場所で伝える行動をとるならば、ターゲット外の人に広く見られる可能性があるためだ。
刺さらないとかどころではなく、法律違反だったり、倫理観に欠けていたり、時代にそぐわない考え方が反映されていたりするのはNG。考慮の気持ちはあっても、発信側の広報が無知であることで結果的にそうなってしまうケースも大いにあるので注意する。

余談だが、それもあるので、ネットには書いてない・書けない情報がたくさんあるなあと感じている。特定の背景知識がある人には刺さる情報であっても、全員が見られる場所に置くことになるので、リスクが高すぎて書けないからだ。
また、その分野を知っている人が納得する表現と、その分野を知らない人がなるほどと思う表現も違うので、「知っている人より知らない人の方が普通は多いはず」と考えると、どうしても後者の情報ばかりになってしまうなと思う。

あともう1点、ここで触れておきたいこと。
広報職の人からよく聞くのは「思いを伝えることをしたい」という言葉だが、これはどちらかというと「メッセージを放ちたい」という部分のみに着目しているケースが多いように思える。(全員ではないと思うが、私の観測範囲では)

受け手のことや、どういう人に伝えているかの解像度が粗いので、内容を練り上げられていなかったり、目の前の1対1のビジネスコミュニケーションに置き換えた時に粗さが目立つケースがあるなと感じている。
1対1と、1対多のコミュニケーションは勝手が違うとはいえ、同じコミュニケーションではある。まずは1対1の、その相手にどう伝えるかから始めていくのが良いような気はする。


「伝える」と一言で言っても、よくよく見るといろいろな要素を含み、考えるべきことも多いので、分解をして一つずつ捉えていく必要があると感じる。

受け取ってもらえていない・思ったような結果(反応や態度変容)になっていない場合、ロジックに則って以下を確認する。

  1. まず確認すべきは「情報そのものを出しているか。」出せているようで出せていないケースもあるため。

  2. その次に確認すべきは、「その情報が目に入っていそうか。」(目に入る場所に出せているか。)

  3. それでも反応がない時は、届いていない可能性がある。何を言いたいのかをターゲットが理解できる整理がされているか。

そこからでないと、共感や注目は集められない。「誰かに言いたくなる」シェアもされない。

このように、「伝える」という所作を一言で済ませないで分解し、中身を詳細に考え振り返ることで、広報業務や所作をさらに深めることができると考えている。参考にしていただければ幸いである。


#広報 #PR #PublicRelations #コミュニケーション #Communications

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