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金曜2限 世界のことばA「ハイダ族の世界」レポート課題1

ドイツ語科3年 聴講 名前


1. 本レポートの目的
本レポートはドイツ語の親族名称を説明し、それに加えて私が調べて得た知識を適宜補足していくものである。

2. ドイツ語の親族名称
 まず断っておかねばならないのが、ドイツ語の親族名称は英語のそれとよく似ている。故に、対応する英語を思い浮かべながら、違いを浮かび上がらせていくとよいと思われる。まず、分かりやすいように親等樹を用いて表すと以下のようになる。尚、青の線は直系を、赤色の線は婚姻関係を示す。ここで述べられる親族名称については、(室井 2003)を参考にした。

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この図に従い、高祖父の配偶者(高祖母)はUrurgroßmutterとなる。この他にも以下のような特徴が挙げられる。
・性別を問わずに親族関係を表すものとして、「ひいじいさんばあさん―祖父母―両親―自分―子―孫―ひ孫」の関係を表す語も存在する。(Urgroßeltern―Großeltern―Eltern―Ich―Kind―Enkel―Urenkel)
・性別を問わず兄弟を示す語(英語でいうSibling)も存在する(Geschwister)。
・準直系を表す語としては、Großonkel(Granduncle)、Großtante(Grandaunt)、Onkel(Uncle)、Tante(Aunt)、Neffe(Nephew)、Nichte(Niece)などがある。Onkel,
Tanteについて留意しなければならないのは、それらは日本語のように、叔父(伯父)、叔母(伯母)という意味を表すのみでなく、その配偶者に対しても、対応する性に応じた呼び方(男であればOnkel、女であればTante)をすることである。(Leisi 1975)
英語でいうところのgrand、ドイツ語でいうところのgroßは(年齢的に)「大きい」=「年とった」の意味で考えられるし、「祖父」を単体で表す語のないこれらの言語で、意味上の「老父」を表す語として、これらgrand-やgroß-を用いて表すようになったという説がある。つまり、独立の「祖父」を表す形がなかったので「老父」をこれに代用したというわけだ。そして、ロマンス、ゲルマン、ケルト、バルトのヨーロッパの連続した語派は祖父を表すのにこの共通の合成的傾向を示す。(風間 1984)
・傍系としてはVetter、Baseが挙げられる。これは、男女の区別をするもので前者は従兄弟(Cousinも同意)、後者は従姉妹(Cousine/Kusine)を表す。これは性別で区別をしない英語とは異なる区別の仕方である。
・これも英語にはないが、「義理の」という意味を表す疑似接頭辞Schwieger-なるものが存在する。例えば、Schwiegereltern(Parents-in-law)を始め、-mutter,-vater,-sohn,-tochter,-kindがある。更に、「きょうだいの配偶者または配偶者のきょうだいを示す」義理の兄弟(Schwager)、姉妹(Schwägerin)を表す語も存在する。
・血のつながりのない者に対しては、これはStief-という接頭辞を用い、Stiefmutter(継母)、Stiefbruder(異父兄弟)のように表す。

3. まとめと感想
ハイダ語では、自分と同性のきょうだいは呼び方を区別、異性は一つで済ませるということを学んだ。英語やドイツ語では、性による区別こそつけるものの、年齢の上下では分けず、ハイダ語ほどには細かくはない。日本語では現代には男女上下の区別がある。きょうだいひとつとってもこれだけの文化的な差異がある。各言語、文化ごとに違う視点、もののとらえ方を感じた。今後は、なぜそのような分類のされ方に至ったのかが気になったため、その相関(中国語の親族名称と儒教文化の考え等)を調べてみたいと考える。

室井禎之(2003)「ドイツ語親族名称の諸相―家族、ジェンダー、連想関係―」,教養諸学研究 (114), p99-116, 早稲田大学政治経済学部教養諸学研究会
Leisi,E.(1975)Der Wortinhalt.5.Aufl.Quelle&Meyer,Heidelberg.「鈴木孝夫訳『意味と構造』研究者、東京」
風間喜代三(1984)「印欧語の親族名称の研究」、岩波書店

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