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【古性のち 自分史】#7 現実逃避の開幕

「恋をすると人生は薔薇色に見えるものだ」
とはよく言ったもので、先輩という王子様の登場は、私のスクールライフをまさに薔薇色に変えた。

それまで、大怪我をしてもうここから先は一歩も進めない。とでも言うように、痛々しく、大げさに足を引きずるように進んでいたスクールゾーンは、突如高速で動くエスカレーターになった。

あまりの苦痛に顔を歪め、このまま永遠に朝がこない魔法がかかれと呪った朝練も、気づけば目覚ましよりも早く飛び起き、夜が1秒でも早く終わりますようにと星に願うほどに待ち遠しい存在になった。

1分1秒でも早く、1分1秒でも長く。先輩の存在をわたしの人生の中に刻み込みたい。自分の如何なる時間の真ん中には必ず先輩という太陽がいて、私はその周りをくるくると回る衛星だった。


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