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"風が強く吹いている"は全指導者が見るべきアニメだ

このステイホームな風潮の昨今。
この私も引きこもり生活を送り、その間に様々なコンテンツを視聴していた。

その中でも、これは全スポーツ指導者に見てもらいたいアニメに出会った。


"風が強く吹いている"という箱根駅伝に初挑戦初出場を目指す大学陸上部の10人の部員の成長を描いた物語。
この作品は原作が小説で、さらに漫画化・ドラマ化もされている。

アニメの公式サイトはこちら。

アニメのあらすじは以下。

寛政大学4年の清瀬灰二(ハイジ)は肌寒い三月、類まれな「走り」で夜道を駆け抜けていく蔵原走(カケル)に出くわし、下宿の竹青荘(通称・アオタケ)に半ば強引に住まわせる。
ハイジには「夢と野望」があった。高校時代の怪我による挫折。
でももう一度、走りたい、駅伝の最高峰・箱根駅伝に出て、自分の追求する走りを見せたい。
(中略)
たった十人で。蔵原の屈折や過去、住人の身体能力と精神力の限界など、壁と障害が立ちはだかるなか、果たして彼らは「あの山」の頂きにたどりつけるのか―。
「走りとは力だ。スピードではなく、一人のままでだれかとつながれる強さだ。」

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まぁ、とにかく何がすごいって
「選手たちの心情やスポーツ界をリアルに生々しく描いている」こと!!

このアニメを1日で一気に視聴して
翌日2周目を視聴して両日とも号泣した。

感動が溢れ出して感想レポを描き上げたが
1枚じゃ収まらないし、もっともっと伝えたいことが溢れてくるんだ…

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ということで
私が全指導者に見てほしいと思った5つのポイントを書きます!
なるべく言語化した…つもり!!!!笑

🏃‍♂️

<1>視聴者の気持ちを代弁するかのような主人公の声

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全国レベルの走者である主人公"走(かける)"。
高校では強豪校で勝負の世界で走っていた環境から一変し、部員10人中7人が長距離初心者(部活に所属していたとも知らない=練習は一切していない)という部員たちと共に箱根駅伝出場を目指すことになる。

という描写を見たとき、正直に言おう
「は?箱根舐めてんの?」
と私の心は盛大にイラついていた。

おそらく、そう感じた視聴者は私だけではないはず。
日本で最も有名な駅伝大会と言っても過言ではない箱根駅伝。

多くの選手がその大会出場・優勝・記録更新を目指している中で、今日の今日まで長距離を走ったことのない初心者がほとんどのチームが出場しようという描写ならまだしも『反省会』という名の宴会をしていたり、自主練に消極的だったり、ウォーミングアップを疎かにして騒いでいたり…という描写にイライラしてしまった。

そして、そのイライラは主人公”走”も同じように感じていて、私のイライラが頂点に達する直前、その要所要所で主人公は怒りを表現している。

その表現のシンクロ率に驚きを隠せなかった。

その瞬間「この主人公は私たちでもあるんだ」と確信した。

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物語が進むにつれて、
主人公の心情も少しずつ変化が見えてくる。

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その変化は私たち視聴者の心も共に変化をしていく。
そして、主人公と共に視聴者も成長することができる
こんな作品、初めてだった。

🏃‍♂️

<2>勝利至上主義な部活の世界をリアルに描いている

主人公が所属していた高校の陸上部はいわゆる『強豪校』。

・1人の敗北はチームの敗北
・チームの規律や品格が勝利に結びつくという精神
・当たり前に執行される”罰走”
・成績が芳しくない大会の帰りは走って帰らされる
・スキルの高い、成績を残せる優秀な選手のみ目をかけられる
・個々の意見を許さない、返答は「はい」「お願いします」のみ
・怪我をする=怠けている、使えない選手という烙印
・監督の目の届かないところで手を抜くいう心理
・監督の言うことは絶対、独裁政権
・監督に理不尽に責められている仲間は見て見ぬふり
etc...

スポーツの世界に少しでも身を置いていた人、
部活動をそれなりにやってきた人には見慣れたものが一つはあるのでは?
と思うくらい『The 日本の学校部活』を象徴している。

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列挙した10つの特徴は作中の中で描かれているもの。
今、書いている私も過去に経験をしたことのあることばかりじゃない??
ああ…当時を思い出して胸が痛くなった。

そのくらい生々しく、リアルな描写となっており、ここまでリアルに描いていることに感動したくらいだ。よくここまで生々しく書いてくれたと称賛したい。
この現状に目を逸らしてはいけない。
もしかしたら自分もこのようなことをしてはいないか?と向き合うきっかけをくれたと私は思う。

🏃‍♂️

<3>「1番になることがすごいことなのか?」スポーツの意義とはなにかを考えさせられる

物語が進んでいく中で
「速さとは」「”頂点”を目指すとは」
「勝てないと優勝できないと意味がない」
と、勝利や頂点に立つことに対する問題提起が何度も訪れる。

実際にスポーツの世界は勝つことで実績を認められる世界でもある。
ただ、それはスポーツの世界のトップレベル、たった一部の価値観でもある。

では、私たちが定義するスポーツとは何だろう。
勝つとはどういうことなのだろう。

きっと答えは各々違うと思う。
むしろ違っているからこそ、スポーツであると思う。そして、スポーツは文化であるからこそ、様々な捉え方があって良いと思う。

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また『結果至上主義』な高校部活を経験している主人公が、初心者ながら徐々にタイムを縮めている部員達の努力を認めようとしない。

その主人公に対してコーチ兼選手である4年生の”ハイジ”がこう言う。

「みんな精一杯努力していることをなぜ認めようとしない」
「お前よりタイムが遅いからか?お前の価値基準はスピードだけなのか?だったら走る意味はない。」
「速さを追い求めるだけじゃダメなんだ。そんなものは…虚しい。」

このシーンは私にとって『スポーツをすることの意義』を改めて問いかけてくれた。そして「箱根駅伝出場」という目標に向かっている中での、個々の成長に対して目を向けることができていなかった
自分のスポーツ価値観を見直すきっかけのシーンだった。

🏃‍♂️

<4>個々のペースに合わせつつ目標を達成する、コーチ力がすごい

先ほど出てきたコーチ兼選手の4年生”ハイジ”。
このキャラがめちゃくちゃすごいのだ。

・自身が箱根の選手として走る以前に、高校時代に故障した膝の様子を見ながらの調整
・コーチが不在のチームでの練習メニューの構成、個々のレベル設定
・朝晩の寮でのバランスの取れた食事作り
・主将としての大学側との交流
・遠征や記録会への移動のための運転

1人何役もの役割を全うし、運営している時点で素晴らしいが、
それだけではない。

・長距離初心者の部員たち一人一人に対して甘すぎず追い込みすぎない練習強度を設定し、目標を達成させようとしている
・個々の成長を見逃さず、プロセスに対して褒める
・個々のモチベーションを上げるためにメンタルケアも怠らない
そして、そのメンタルケアは自分自身でやろうとせず、各々に適した人材をあてがっているあたり、本当に人をよく見ていると感心する。

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画像上部のキャラ、ハイジを見ていると思う。
自分はどういうコーチになりたいか。
メンタルケアを全部自分でやろうとしていないか。
どれだけ選手(私の場合は子供たち)を見ているか。
個々の小さな変化に気づくことができているのか。

自分を見直すきっかけでもあり、
この物語でのキーパーソンから目が離せない。

🏃‍♂️

<5>「走ることとは?」を考えさせられる

スポーツや競技として走ることはどういうことなのだろうか。

なぜ走るのだろうか。

競技の世界から離れると「走ること」は
『健康維持』『ボディメイク』のためになることが多い。

では、競技として走ることは一体何のために走るのか。
ただ場所を移動するだけなら、どんどん発明されている高速移動ができる乗り物に乗ればすぐに移動ができる。

しかし、単なる移動ではない『走り』は何を生み出すのか。

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『走り』を各々の『競技』に変えてみよう。
何のためにその競技をするのか。

この問いもきっと各々で答えを追い求めていくものだろう。

私もまだ自分がコーチをすることの本当の意義を言語化することができていない。一生かかって答えを導き出せるだろうか。そもそも答えが存在するものかも分からないけど、向き合い続けることで何か見えてくると思った。


まとめ:『風が強く吹いている』、ぜひ見て!!!!!

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スポーツの世界を生々しくリアルに描き、
キャラの心情や成長を細かく表現し、
視聴者に様々な問題提起をしてくれる。

いろんなアニメを見ているけど、
ここまでリアルに生々しくそして綺麗に描いている作品を私は見たことがない。

スポーツに関わる人間だから
心に深く、色濃く印象を刻んだのかもしれない。

だからこそ、指導者におすすめしたい。
自分の価値観を改めて考えさせられる素晴らしい作品。

Huluなどのオンデマンド配信をしているので、ぜひ!!!!


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