豆味噌
豆麹を作り始めました。
もう10年くらい、豆味噌だけです。
理由はとても美味しく、
長期保存ができること。
長期熟成発酵ができることで、
作りすぎたとしても
全く問題がない。
ただ、後で分かったのですが、豆味噌は独特の風味で
好き嫌いの差が激しい。
現に豆味噌の代表格とも言える、
八丁味噌が苦手な人は多い。
ただ、私は一度、
米麹を使ったお味噌を作って、
虫が湧いて、どうしようもなく、土に返したことがある。
いろいろ調べたりすると、
どうやら味噌の原点は
豆味噌のようです。
原点は大徳寺納豆のようなもの
だそうで、
今でも、中華料理で使われている豆豉(とうち)という、浜納豆か
大徳寺納豆に似たものがあります。
豆に麹菌をつけさせ、塩水で
仕込む、というものです。
そして豆だけから米麹と
煮豆を合わせて作る味噌に
変わりました。
その理由は、豆だけの味噌だと、完成までに時間がかかるからだそうです。
ところが、大きな欠点があって、米麹の割合が高い味噌は
長期保存に向かない、腐るという。
現に秀吉の時代の朝鮮出兵時に、各国の大名から味噌を持参させたところ、
米麹を多く使った味噌は腐ったという。
雑学ですが、結構面白い話が書かれた本を読みました。
家康、信長、秀吉は豆味噌を
普段食べており、
豆味噌の栄養の影響で忍耐強く、発想が豊かだったという。
少し無理のある仮説ですが、
地域の食生活を考えれば、
豆味噌が当てはまる。
米は炭水化物、糖質。
大豆はタンパク質。
発酵が進めばアミノ酸。
単純に考えても、
アミノ酸が豊富な豆味噌。
よくわからないけど、豆味噌の方がいろいろと栄養価があって
良いらしい。
ただ、味は好みが分かれるというのが
実際のところ。
チェルノブイリの事故後に
日本の味噌が輸出されていたのは
豆味噌 (八丁味噌)だそうですね。
効果はどうかわかりませんが、
長期発酵させてできたものは、
きっといいと思う。
先の本を読んで、以前に大豆に対して2倍の米麹でつくった(倍麹でつくった手作り味噌)が腐った、というのは
十分納得できました。
倍麹の味噌って、甘くてとても美味しいのですが、
長期保存・発酵がだめなら、もうやらないことにしました。
それと、なんとなく、豆味噌って、
結構体が動けるんですね。
体力がつくのか、気持ちが引き締まるのか、あるいは
両方のような気もします。
豆味噌とおかゆ、多分そんな
質素に見える
食事でも生きていけると思う。
さて、豆麹みその作り方は、
単純です。
豆麹を起こして、
塩水を流す。(飽和食塩水なみの、塩が溶け切るかどうかの濃度の食塩水)
丸めて押し固めていく、
という普通の味噌の楽しさはない。
米こうじ(米)を使わないのが特徴。
大豆を蒸したら、大豆麹用の種麹をまき、培養させる。
豆味噌の食べころは
常温発酵で約2年後。
一年目だと、まだ浅い感じがするけど、
まぁいい味です。
で3、5、7年などのほうが、ずっと引き締まって美味しいです。
毎年欠かさずすれば、
味噌を切らすことはない。
私は初夏に味噌を作っています。
というのは、寒い冬だと麹を温めないといけない。
だったら、春先か夏頃にすれば、常温で行けるんじゃないか、
と思って6月頃にやってきました。
全く問題なく、また豆こうじの発酵はとてもスムーズに
できています。
手前味噌っていうことになりますが、
豆に麹を起こさせてできた、豆味噌はとにかくいい味。
旨みがずっと口に残る、
味噌とご飯だけでも
十分生きていけるように思う。
ただ、自分が美味しいと思っていても、
実家の親、あと兄弟、知人の中には、まったくダメな人もいる。
かといって、何年か前に出会った外国に人に少し味見してもらうと、
目を閉じて、しばらくして「深い」と、日本語での返事。
何かいい、と気に入ってくれる
人もいる。
割合は不明ですが、豆味噌の場合、
好き嫌いが
はっきり分かれるようです。
八丁味噌が苦手な人も
結構いるそうなのですが、
豆味噌は時間もかけてマジメな
味噌だって思います。
愛知県知多半島には
何年もかけて豆味噌作りをしている会社が多く集まっています。
随分前に豆味噌を取り寄せたことはありますが、どこも結構美味しくて
いい味噌でした。
大きな木の樽で
仕込んでいるようです。
以前、お味噌の会社で
2ヶ月で味噌を作る、と社長さんが自慢されている話を聞いたのですが、
何か違う気がするし、味噌は
そう急いでできるものじゃないと思う。
白味噌は長持ちしないだろうし、
普通は砂糖や水あめで甘くしている。
白味噌を
正月限定で販売しているところが
ありますが、米麹を大豆の
3倍使っていると
聞きました。
白味噌の長期熟成、って聞いたことはないし、白味噌の賞味期限は短い。
おそらく米麹が多いと
先の朝鮮出兵の時のように
長くは持たないと思う。
とはいっても、正月などには白味噌、雑煮など合うわけで、
京都は白味噌です。
おそらく、京都は朝廷、公家、その他美食家が歴史的に多かったから、
甘くて美味しい白味噌になっていったのかもしれません。
それはそうと、
豆味噌は常温放置で
8年ものも去年までありましたが、
全く腐る感じはなかった。 むしろ、年々良い味になってます。
とはいっても、いろいろと味噌は使うことが多いので、
概ね三年くらいで
ほとんどなくなってしまいます。
たぶん、ラップも
本当は良くないと思う。
さて、あるとき、たまたま手に入れた味噌がとても美味しい豆味噌でした。
宝山味噌という、愛知県知多半島の
中定商店というところの
豆麹の味噌です。
いつしか手本にして、こういう感じになればと思って木樽で作っていました。
八丁味噌とはちょっと違うけど、とても美味しく、独特の風味です。
野崎洋光さんという和食の料理人の方がが宝山味噌を使っているということを後で知りました。
素材の味、旬を大事に考える方です。
濃い味付けなどを
しない。
東京で予約がなかなか取れないというくらいのところだそうなので、
これなら、と思って親等に宝山味噌を味見してもらったのですが、
どうもダメらしい。
ここで思ったのは、やっぱり
豆味噌が苦手な人は必ず
いるっていうこと。
良い悪いではなく、独特の辛さや風味、合わないんだと思う。
豆味噌、いろいろとやってきて
思うのですが、
結論からいって、豆麹は生き物、
陶器かホウロウ、もしくは木の樽を使った方が断然といい味になる、ってことです。 プラスチックの樽では何度かやってみてもダメでした。
陶器だと原料は土、
また木の樽であれば、
きっと呼吸もできる環境だと思う。
そんなわけで、麹を起こす時も、
木の箱を使います。
餅の木箱や昔のお菓子屋さんが使っていた、木箱などです。
豆麹は、場所によっては
蒸した大豆を丸めて軒下に干すと言うやり方もあるそうです。
麹の胞子がついて発酵させると言うらしいけど、ただの青かびじゃないのか、って思ったこともある。
それに菌は種類もあって、体に有害なのもあるらしいから、
種麹は買っています。
種麹は、これもいろいろあるのですが、
一番上手くいくと実感できたのは、愛知県の種麹です。
豆味噌の地域のものだからかもしれませんが、このお店ではハズレがない。
発酵具合等で何度か問い合わせをしても、返事が早くて過去に色々と助かりました。
他で安い種麹もあったのですが、
二度失敗しています。
進め方がまずかったのかもしれませんし、相性もあるのかもしれません。
そのほか、水や塩、大豆等の原料もいいものにする、
環境も良い状態でつくる。
手作りだと、自分の好きなように、特注で作れるわけです。
さすがに八丁味噌も、大豆栽培はしていないだろうし、
いろいろな組み合わせで自家味噌を作ってみるのも結構いいですね。
白大豆、丹波黒、
黒千石大豆、
赤大豆、
茶豆、
などなど、自家製の大豆でそれぞれ、あるいは全てミックスする、というのもやってきました。
どれも同じものにはならず、周りでは不評であったとしても、
自分で言うのもなんですが、すごくいい味してます。
手前味噌になってしまいますが、
たぶん、自分でつくると
何か良い気がしてならない。
ちなみに、豆麹をやっていて
思ったのですが、
こうじは、生き物。
木樽や陶器の樽にしたら、
随分とよくなった。
また嘘みたいな話ですが、
音楽を聴かせる。
音楽で麹は花が咲いたような、
パン屋さんのような
香りがし出してくる。
たしかマルカワ味噌さんで、
ビバルディの味噌、ってあったかと
記憶していますが、
実際どんな味なんだろう。
作業自体はとても地味で、この上なくつまらないかもしれません。
ただ、気分が乗らない時は失敗する確率が上がると思います。
なんとなく疲れてイヤイヤ
やっていた時は、
何度か失敗しました。
始める前は、風呂に入ったり、
読経したり、とにかく身を清めてからしています。
あと、豆味噌を少し食べるのも
いいですね。
音楽はレコードのものを
聴かせていますが、
自分が心地よく聞ける音楽でいいかと。
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