![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/137290279/rectangle_large_type_2_3d57f7b48c61c04ad33541940a39d381.jpeg?width=1200)
花桃の風に吹かれて
桃の花を見にでかけた。
その名も、「花桃の丘」へ。
見上げると、青空を背景に桃の花が咲き誇る。
![](https://assets.st-note.com/img/1713153041927-dweA0MNNSp.jpg?width=1200)
桃の花は、桜よりも少し濃い色。
そうか、これが桃色なのか。
桃の花言葉は、「あなたのとりこ」「チャーミング」「気立てのよさ」。それから、「天下無敵」。
そんな花言葉を私が知っているのは、自分の名前には「桃」の漢字が当てられているから。
でも、桃の花をじっくりと眺めるのは初めてのことだ。
「あれは桃の花だよ」と両親に教えられても、ふーんと聞き流して梅や桜との違いもわからずにいた。
ふんわり、やわらかな花。
春の陽が似合う、あたたかな花。
30年前に両親からもらったプレゼントの蓋を、ようやく開けることができたのかもしれない。
桃の木の下では、雪柳も満開を迎えていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1713012984486-tscGHJ7cH1.jpg?width=1200)
桃の花と雪柳の組み合わせも華やかだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1713012594521-tTpdU7cAwj.jpg?width=1200)
朽ちてゆく花びらさえも、美しかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1713012635555-i0K3FIVaJ4.jpg?width=1200)
桜に負けず劣らず、桃の花もきれいだなと思いながら丘をのぼっていると、眼前に桜の花があらわれる。
![](https://assets.st-note.com/img/1713012674607-6HnKxtb1ok.jpg?width=1200)
桜の木から、「私のことをお忘れではないかしら」と呼び止められるような気がした。
桜の枝は風に揺られて、シャラシャラと音を立てる。
耳を澄まさないと聞こえない微かな音色。
可憐、という言葉がしっくりくるような、たおやかな佇まい。
![](https://assets.st-note.com/img/1713013046872-ivAI8oa4fZ.jpg?width=1200)
しかし、今回のおでかけは、花を見ておしまいではない。
わたくし、花より団子。
ならぬ、花より玉子。
![](https://assets.st-note.com/img/1713014107702-xfNrjXqJNu.jpg?width=1200)
花桃の丘のちかくに、おいしいお蕎麦屋さんがある。
花桃の丘のある中之条町は、現代アートの祭典「中之条ビエンナーレ」が開催される町で、このお蕎麦屋さんには昨年のビエンナーレのときに訪れていた。
そのときに食べたこのだし巻きの味が忘れられず、もう一度食べたい、とずっと思っていたのだ。
隔年で開催される次回のビエンナーレまでは待ちきれない。何か理由をつけて、中之条に来たいと思っていたのだけど、ちょうど桃の花が咲いたというニュースを耳にしたので、こうして出かけてきたわけである。
花より玉子、とはこのこと。
ふんわり、とろん。
たまごのやさしい味のなかに、じゅわぁっと旨みが溶け込んでいる。
そのままでも、梅が刻まれて入った大根おろしとあわせても、もちろんおいしい。
はふはふ、んまぁ、を繰り返す至福のひととき。
![](https://assets.st-note.com/img/1713014107660-4gcHAtsWMM.jpg?width=1200)
お蕎麦も絶品。
![](https://assets.st-note.com/img/1713014107615-olTyo7sDKh.jpg?width=1200)
さて、つぎはどんな理由をつけて、このだし巻きとお蕎麦を食べに来ようかと考えはじめている。
なかなか桃の花のような気品漂う人にはなれそうにない。