マガジンのカバー画像

晴れの日も雨の日も

109
そのとき感じたことを感じたままに綴るエッセイ集。晴れの日のように澄みきった気分のときも、雨の日のように翳りに覆われるときも、その気持ちを、透明な言葉で伝えたい。
運営しているクリエイター

#エッセイ

ハレの日の美術館

よく晴れた5月のある日、私たちは美術館で結婚式を挙げた。 結婚式といっても、参加者は私と…

如月桃子
2年前
272

おとなだって、夏休みを楽しむのだ

夏休みがはじまってから、たくさんの子どもたちが美術館にやってくる。 普段学芸員室の自分の…

如月桃子
2か月前
86

私、ちゃんと笑ってる

小学校高学年の頃から中学、高校、大学にかけて、写真のなかの私はいつも口をギュッと結んでい…

如月桃子
2か月前
75

軽井沢へ「旬」の旅

新幹線に乗ったら、まずは座席に備え付けの冊子を繰る。 目当ては、巻頭にあるエッセイ。 ほ…

如月桃子
2か月前
135

「つづかない」私がつづけている朝の習慣

継続は力なり、という言葉がちょっぴり苦手だ。 なにかを毎日コツコツとつづけられる人たちに…

如月桃子
4か月前
128

しゅわしゅわ、今日も溶けてゆく

もう少しでプツンと何かが切れてしまいそう。 朝なのに、お疲れさまですと言いそうになって、…

如月桃子
3か月前
81

最高だったよ。—おやきと文学—

微熱ブックカフェに行ってきました。 微熱ブックカフェでの時間は、まだ自分のなかにしまっておきたいような気もします。 でも、やっぱり、最高だったよ、と伝えたくなりました。 行きたくても行けなかった方、羨ましがらせてしまったら、ごめんなさい。 先に謝っておきます。 東京のとあるビルに向かって私は走っていた。 ワークショップのはじまる時間ギリギリになっていたから、かなり焦りながら。 部屋の前で、ここで合っているかな、と扉の前でスマホを取り出して確認しようとすると、扉が開い

青葉きらめく街へ帰る

ゴールデンウィーク前半、夫とともに帰仙した。 仙台に帰ることを、帰仙と言う。 正確に言う…

如月桃子
5か月前
140

花桃の風に吹かれて

桃の花を見にでかけた。 その名も、「花桃の丘」へ。 見上げると、青空を背景に桃の花が咲き…

如月桃子
5か月前
98

父の就活

最近父が就活をしていると、母からの連絡で知った。 「いい職場が見つかるといいね」と返信を…

如月桃子
7か月前
130

日々、いとおしさが積もっていく

夫と付き合いはじめて間もない頃、私は夫にこう言った。 「私、すごく飽きっぽいです。熱しや…

如月桃子
7か月前
73

大叔母の品格

実家に帰省していた夜、「明日、初江おばさん(仮名)の家に一緒に行かないか」と父から誘われた…

如月桃子
8か月前
51

わたしの街になっていく

夏のあいだ、西へと向かう帰り道を運転していると、夕陽を背にする山が見えた。 それは、私の…

如月桃子
1年前
69

わが家の天使

あるお休みの日、私は一日中ごろごろしていた。 何もしたくない、という消極的なごろごろではなくて、窓から吹き込む風が心地よいから、それを肌に感じていたい、という積極的理由によるごろごろだ。 例年のことだが、夏が終わり涼しくなってくると、嬉しくなって、小学生のように「あーきがきーたー、あーきがきーたー♪」と歌い出したい衝動に駆られる。 窓から吹き込む涼やかな秋風を受けて、私はついムフフとにやけてしまう。 秋風を感じながらごろごろしている私の隣には、タオルケットにくるまれた