ノンフィクション代表・荒谷の半生①【「仕事の本質」を考えたきっかけ】
ノンフィクションの代表をつとめる荒谷は、日本の通信・IT業界の変遷と共に歩んできました。その半生から、彼の人となり、仕事への姿勢を感じるエピソードをご紹介します。
高校卒業からNTTへ
1985年に高校を卒業した荒谷。出身高校は、東大に現役で2人入る同期がいるほどの進学校でした。彼は当時を振り返り、「中学校のときは結構成績良かったと思いますよ。難関だった函館ラ・サール高校も合格してましたからね。中3まで親の仕事の関係で釧路にいました。田舎だったので遊ぶところがなくて勉強ばっかりしてましたから」と話します。
卒業後は、大学には進学せずに電電公社から民営化される予定だった電電公社へ入社します。
「自分は何をしに大学に入るのか、何の為に勉強するのか、ずっと思っていたときに、ニュースで『電電公社がNTTになる。これからは情報通信の時代になる』と、知りました。強く興味を惹かれたことがきっかけです」。
加えて、当時の社内には中央電気通信学園大学部があり、「給料をもらいながらキャリアアップを目指せる」と考えたそうです。
「倍率百倍以上あった」と回想する入社試験をくぐり抜け、配属されたのは技術職ではなく財務経理部門でした。
「当時はフロッピーディスクもまだ使われていない時代。鑽孔(さんこう)テープに会計データを打ち、ジャーナル付きの電卓を叩く。そんな時代でした。来る日も来る日も大量の伝票や領収済み通知の入力をして数字を合わせる。大量の書類のコピーをする、整理する。経理の仕事といってもそんな仕事しかやらせてもらえませんでしたね」。
20歳で意識した「仕事の本質」
NTT旭川支店で働いていた20歳のとき、新成人のお祝いとして、市内のラジオ番組に出演する機会に訪れました。
番組収録のために集まっていたのは、地元の自動車販売店の従業員や大学生など、様々な職業の新成人。その中で、「経理担当として働いている」と、自分自身のことを紹介します。
荒谷が、初めて多くの人たちに対して自分の仕事内容を紹介しなければならない場面で感じたのは、大きな会社の経理の仕事は経理の仕事の極々一部でしかないこと。一般的な経理の仕事とはもっともっと幅広いはず。他の会社ではどのような経理業務を行っているのか、という興味が彼の中に生まれました。
「自分の仕事の本質や、他の会社の経理部門がどのような仕事をしているのかについて深く考えるきっかけになりましたし、財務経理分野の勉強の必要性を認識しました」。
常に業務の本質を考え、改善を追求する。その後のキャリアにおいて、仕事に対する姿勢の原点が芽生えた瞬間でした。