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『Masato』岩城けい 集英社



子どものしなやかな生命力がまぶしい。一人の親としては寂しさと安堵を感じる。

地球は狭い、日本は狭い。でも、自分のまわりに広がる世界は広く、思いもつかない未来がきっと待っている。

その未来を自分の力で選び、つかみとっていく勇気。Let it fly!という言葉はきっとすべての子どもたちと、大人たちへ捧げられた祈りだ。

海外に駐在する日本人一家が、異文化の中で戸惑い、成長する物語だ。舞台が海外であるなどとは関係なく読んだ。

今までの生活を断たれ、新しい土地で自分の世界を広げることを強いられた子ども。その孤独、誰にも頼れないとわかっている押し潰されそうな気持ち。友達を作り、居場所を一つずつ増やしていく姿。家族と同じ方を向いていられない、少年の自意識と優しい罪悪感。

一文一文に、共感しながら、応援しながら、寂しさを感じながら、謝罪の言葉を噛み締めながら読んだ。

『Masato』岩城けい 集英社 20150904

(離婚によって、優しい親族と離れ、仲良しの友人と離れ、思いもしなかった未来の中で生きざるを得なかった私の息子たちへ)

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