『オノマトペ』から考える言語の違い

【アイルランド留学117日目】

日本語を勉強しているネイティブと話していて、やはり日本語の『オノマトペ』はめちゃくちゃややこしいらしいです。

『オノマトペ』とは、「つるつる」、「さらさら」、「わんわん」、「ガタガタ」みたいな擬態語や擬音語のことです。日本語にはオノマトペが4500種類くらいあるらしく、日本人にとっては当たり前に日常生活で使っていますが、これを一から覚え、さらにニュアンスの違いまで正しく理解しようと思ったら相当の努力が必要であることは想像に難くありません。扉を「どんどん」ノックするのか、「トントン」ノックするのかというだけでも、その強弱や叩いている人の感情までも理解できますが、この違いを説明して理解してもらおうとなるとちょっと難しいですよね。

英語とか他の言語ではオノマトペはこれほど多くは存在しないみたいです。擬音語はあっても、「キラキラ」みたいな擬態語を使うのは日本特有のようです。なぜなんでしょうか。

この理由の一つとして「日本語は動詞の種類が少ない」ということがあるようです。

例えば、「よたよた」、「てくてく」、「よちよち」といったオノマトペは「歩く」という動詞と共に使われ、どんな様子で歩いているかを描写します。一方で英語の場合は、"waddle"、"trudge"、"toddle"というように、それぞれの歩き方に合わせた専用の動詞が存在するのです。つまり、オノマトペを使わなくてもそのニュアンスを表現できる語彙がもともと存在するということです。

この違いは面白いなぁと思って、だからこそ「日本語→英語に変換して話す」という頭の使い方だとうまく話せないんだろうなとも思いました。日本語で言えば一つの動詞しかないのに、英語の場合はたくさん候補があって、どれを使えばいいのかよくわからないからです。オノマトペ的な表現からは少し離れますが、「調べる」という動詞に対しても、英語の場合は"look up"、"look over"、"examine"、"research"、"find out"、"check"みたいに候補が果てしなくあります。「この場合の『調べる』は"research"だな」みたいに日本語起点で単語を覚えるより、そのシチュエーションや動詞の対象と単語を直接紐づけて記憶する方が覚えやすそうな気がします。

日本語は、英語のように動詞が少なかったからこそ、『オノマトペ』でそれを補ってきたのか、それとも『オノマトペ』が存在したからこそ、余分な動詞を生み出す必要がなかったのでしょうか。

その背景はわかりませんが、日本語の方が、その様子を描写する自由が話し手に委ねられている気がして、個人的には好きだなぁなんてことを「しみじみ」思っております。




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