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春よりも、

そろそろアイスコーヒーの季節だ、そう思うと同時に、頭で「モンゴロイドブルース」が流れ出す。毎年のことだ。

暖かくなった日差しと、まだ少し冷たさの残る空気のもとで、浮かれて明るい色の服を着て自転車にまたがる。

「沈丁花の匂い嗅ぎに、寄り道しよっか」「なにそれ最高!!」
無駄に大きい声が出てしまうくらいに楽しいのは、やっぱり春を感じているからだと思う。
と、浮かれ気分も束の間、花粉にいじめられてダウンするまでがセット。

そうこうしているうちに、とてもじゃないけど耐えられない暑さとの闘いが始まる。
「小学生の頃、春はもっと長かったし、夏はもっと過ごしやすかった。」こんなセリフを、自分は年老いてもなお言い続けてしまう気がする。



枕元の読みかけの本は、定期的にそのラインナップを変えるが読み終わることはなく、
現実を見れば、終わりそうにもない課題が山積みになっている。
そして、「あぁもう、僕はダメなのさ」と音楽に縋る自分に気づく。

言葉は宙を舞って、夜を繋ぐ?
午睡の間にだけすべてを忘れられる。

いつの間にか時は経って、"戻れない過去にすがる人"を蔑んでいたはずの自分も、戻れない過去について思いを馳せている。
「今が一番楽しいんで。」と、たまに放つ言葉が一生嘘にならなければ良いと思う。

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