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何かが違う と もがいてる君へ

大人になったら、
絶対にこんな田舎出てってやる

そう心に誓って、冬の寒空を睨みつけていたね。
田舎の島根にしては珍しく星が見えない日だった。私もよく覚えてるよ。

今こうやって君に、
青春時代と言われる年齢を生きている私に、
手紙を書いています。

私は、君が想像している「大人になった自分」とはかけ離れてるだろうから、この手紙を読むのは抵抗があるかもしれないね。それでも君は最後まで読んでくれると信じています。

田舎が嫌いで、家族も嫌い。田舎の排他的なところばかり目がいってしまうから、だよね。そして家族の田舎が1番、なところを感じ取ってしまうし、「私はそう思ってない」ってこと、感覚が違うってことを自分自身が1番分かってるからなんだよね。

住みやすい場所、心地良い居場所は人によって違うし、選べる。ただ、君が生きている「今」はまだ選べないから、辛いね。
少し時間がかかっちゃうけど、東京に住むようになるよ。当時の君が感じた通り、私には東京が合ってる。「やっぱり」って答えあわせしたような感覚だった。

今の私は、君が将来の夢に必ず挙げていた漫画家にはなってないけど、絵を描くことが好きなのはずっと変わってないよ。今も描いてる。
ちょっと意外に思うかもしれないけど、文章も書いてる。プロじゃないけどね。こうやって君に手紙を書いてるのも、文章を書き続けて辿り着いた縁があったからなんだよ。

君がいつも一緒にいる3人の友達は、大人になった今でも友達で、連絡を取りあっています。手紙・メールからLINEっていう連絡手段に変わったけど、年賀状を送り合うのは今も変わってない。
3人とも、ルーズリーフの手紙や交換ノートに書いてる文字の個性が全然変わってないよ。君が見ている3人それぞれの字を、今の私も読んでる。

高校生になってから、それなりに楽しいけど、なのに何か、どこか苦しくてモヤモヤするようになったね。
君が周りと「何かがズレてる」「何かが違う」とぼんやり感じていること、空気やリズムが微妙に違うこと……
その真っ只中にいる君は、それをまだ言葉にできないでいるし、なんとなく言葉になりそうなのに怖くてできないまま、「なんでみんなと同じようにできないんだろう」「なんでみんなと同じように考えられないんだろう」と感じて勉強を頑張ったり、部活を頑張っていくけど、気づかないうちにどんどん糸がぐるぐるからまって、ほどけないくらいになっちゃったね。

頑張ってるけど、何かが違う。何が違うのかがわからない。

君はぼんやり感じる「何かが違う」を「できないからだ」「ダメな奴だからだ」と責めているね。

私は自分の人生で後悔がないようにしようと今を生きてるんだけど、その中でもずっと後悔してることがある。
大人になっていく君は、ふとした時に悔やむ。それはね、高校の時、ずっと仲良しの3人と一緒にいる時間が少なかったこと。もっと一緒にいる時間を作ればよかったと思ってる。

君は高校から始まった新しい生活を頑張るために、自分なりに考えて選択していく。
特に部活はかけがえのない経験ができたと思ってるし、本当にそうなんだけど、辛かったよね。部活でも、君がなんとなく感じてる「何かが違う」には、答えが出なかった。
よく頑張った分、3人との時間が空白になっていったから、もう取り戻せない時間のことを考えてしまう。何かが違っていても、3人と一緒にいるときはとても心地よかったから、あまり一緒にいることができなかったあの時は、本当に苦しくて、「あぁ、どうして…」と思い出してしまうことがある。
この気持ちを持ち続けて辿り着いた場所があるんだけど、それは「今でもずっとあの時を後悔してるってことは、私にとって3人の友達は本当に大切で大好きな存在なんだ」ってこと。忘れてしまったり、どうでもいいことではないってことを、確認できるようになった。
ここにたどり着くのって、私にとって最近の出来事だから、君にとってはまだまだ遠い日のことだけど、想い続けてたらきっとわかってくるから、大丈夫だよ。

高校生活を送って、卒業して、浪人して、大学に入学して、卒業して、社会人になって……君はこれから色々な節目を迎えて、行動、感情含めてたくさんの経験をしていく。

けど、たくさんの経験や節目を迎えても「何かが違う」という気持ちは、ずっと残り続けてしまう。何かを探して、何が違うのかをもがいて探していく。
違和感の正体を探し続けるのは、すごくしんどくて、苦しい。でも君は諦めることだけは絶対に選ばない。


私には青春時代なんてない。
田舎でやりたいことも満足にできなかった。大好きな友達との時間もほとんど作れなかった。つまらなかった。漫画やドラマのような、眩しくてみずみずしい日々なんてなかったし、鮮やかな瞬間もなかった。

田舎にい続けることのもどかしさ、思い出を振り返ると「あの時、本当は楽しくなかった」と暗い影を落としていく。「違う」は見つからないまま…。

社会人になって、会社で「もう中堅社員だね」と言われるようになる時、君は「何かが違う」が見つけられないどころか、「違う」がどんどん大きくなっていくことを感じ取って、「もうここにはいられない」と決断する。

もっと自分の気持ちに正直に生きていいはずだと思って、「何かが違う」を探すことに加えて、「これから青春を取り返す」と決める。その当時でしか感じることができなかったであろう感覚や感性、経験を、全部これからやるんだと決意する。

決意してからの君の行動は早い。
もちろん、迷ったりぐるぐる考えてしまったり、自分の中に答えがあるのに人に相談しちゃったりすることがあるけど、諦めない君の行動は早い。
「できっこないよ」って言ってくる人もいるけど、そんな人の言葉で諦めるような私じゃないって、君がいちばんわかってる。

決意して行動してから、君は自分自身にあるものを少しずつ認められるようになる。

お父さんのことが嫌いで、とても憎いね。憎悪すればするほど、君も傷ついてる。早く死ねばいい、死んでしまえと憎み続けることにも、終わりが来るよ。時間がかかっちゃうけど、父親と君自身を傷つけることをやめることができるようになる。

君の大切な人たちは、君から離れていかないよ。田舎を出ていっても、会社をやめても、新しいことをはじめても。

君が行動できるのは、自分自身を大切にしていけるようになったのは、大切な人たちがいるからだってことも、君はよくわかってる。

嫌ってた島根の田舎も、少しずつ嫌悪の感情が和らいでいく。君が生まれた場所だし、家族、君の大切な友達3人が暮らしてる場所だから。

「いい人」になんかならなくていいし、できなくてもいいし、合わせなくていいって「わかる」日が来る。
君の「何かが違う」は、素直で正直なところから来てるんだよ。
今まで出会った人、これから出会う人が何人も要領よく立ち回って、そのたびに「もっと上手くやれるのに」って何度も君に視線を送って、言葉をかけていっても、失わなかった。私は君が素直さも正直さも、ずっと失わずにいてよかったって思ってる。
「何かが違う」は「正しかった」んだよ。

あの時の自分の直感は当たってた、私の感覚は間違ってなかったって、これから何度も何度も思う。だから、自分を信じて。

嫌だという感情も、何か違うという気持ちも、全部君自身のものだよ。

大切にしていったから、探したからこそ、遅くなっちゃったけど少しずつ、生きやすくなっていくからね。

「何かが違う」と探し続けて諦めない君を、私が1番信じてる。

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