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【炭水化物】意外と知らない!その役割と効果




●はじめに

炭水化物は、私たちの食事において欠かせない栄養素です。しかし、近年では、炭水化物抜きのダイエットや、糖質制限食など、炭水化物を極端に制限する食事法が流行しています。

炭水化物は、私たちの体にとってどのような役割を果たしているのか、適切な摂取量はどれくらいなのか、正しく理解することが大切です。

・炭水化物とは

炭水化物とは、主に植物に含まれる、C、H、Oの3元素からなる栄養素です。私たちの食事の主成分であり、エネルギー源として重要な役割を果たしています。


『炭水化物=糖質+食物繊維』


・分類

炭水化物は、大きく分けて「糖質」と「食物繊維」の2つに分類されます。

  • 糖質は、単糖類、少糖類、多糖類の3つに大別されます。

    • 単糖類:ブドウ糖、果糖、ガラクトース

    • 少糖類:二糖類(麦芽糖、しょ糖、乳糖)

    •     三糖類(ケストース、ラフィノース)

    •     四糖類(スタキオース)

    • 多糖類:でんぷん、グリコーゲン、デキストリン

  • 食物繊維は、炭水化物に分類されますが、消化酵素では分解されず、体内に吸収されません。

【糖類】単糖類、二糖類
【単純炭水化物】糖類、少糖類
【複合炭水化物】多糖類、食物繊維


・目標量

炭水化物の目標量は、エネルギーの50~65%です。

例えば、1日のエネルギー摂取量が2,200kcalの場合、炭水化物の目標量は1,100~1,650kcalになります。これは、ご飯で換算すると、約2.7~4.4杯になります。

脳に必要な糖質5〜6g/h 120〜144g/d
糖質量目安、1回の食事で120g (理想は100g)

●糖質

『糖質=糖類+三糖類以上+糖アルコール+合成甘味料』

糖類は、血糖値を上げる作用が強いため、摂り過ぎには注意が必要です。糖アルコールや合成甘味料は、血糖値を上げにくいという特徴がありますが、摂り過ぎると、お腹の調子が悪くなるなどの副作用が出る可能性があります。


・生理作用

糖質は、私たちの体にとって重要なエネルギー源です。糖質が不足すると、疲労感や集中力の低下、倦怠感などの症状が現れます。

また、糖質は、脳や神経細胞のエネルギー源としても重要です。糖質が不足すると、脳の活動が低下し、認知機能の低下や、精神症状の出現につながる可能性があります。


・分類

糖質は、分子構造の違いによって、大きく分けて3種類に分けられます。

  • 糖類:分子構造が最も単純な糖類です。そのまま体内に吸収されて、エネルギー源として利用されます。

  • 少糖類:2つの単糖類が結合した糖類です。消化酵素によって単糖類に分解されて、体内に吸収されます。

  • 多糖類:多くの単糖類が結合した糖類です。消化酵素によって単糖類に分解されて、体内に吸収されます。

糖類は、ブドウ糖、果糖、ガラクト糖などがあります。
少糖類は、ショ糖(砂糖)、乳糖、麦芽糖などがあります。
多糖類は、デンプン、グリコーゲン、セルロースなどがあります。

糖類は、血糖値を急激に上昇させるため、摂り過ぎには注意が必要です。少糖類は、消化吸収が早く、エネルギー源として効率的です。多糖類は、消化吸収が遅く、持続的なエネルギー源として適しています。

糖質を健康的に摂取するためには、糖類の摂り過ぎに注意し、複合炭水化物をバランスよく摂るようにしましょう。

図解


糖質分類


・消化吸収

糖質は、口腔で唾液中の消化酵素によって、部分的に分解されます。その後、胃や小腸で消化酵素によって完全に分解されて、単糖類になります。

単糖類は、小腸の粘膜から血液中に吸収されます。血液中の単糖類は、肝臓や筋肉などの組織でグリコーゲンとして蓄えられます。


・代謝

糖質の代謝は、解糖系、クエン酸回路、糖新生という3つの経路によって行われます。

  • 解糖系:糖質を分解してエネルギーを産生する

  • クエン酸回路:解糖系で生成されたピルビン酸をさらに分解してエネルギーを産生する

  • 糖新生:血糖値を維持するために、ブドウ糖を合成する

このように、糖質は、私たちの体のエネルギー源として重要な役割を果たしています。

【解糖系】
解糖系は、糖質を分解してエネルギーを産生する経路です。小腸で吸収されたグルコースは、細胞質で解糖系によってピルビン酸に分解されます。このとき、ATP(アデノシン三リン酸)が生成されます。ATPは、細胞のエネルギー源として利用されます。

解糖系は、酸素を必要としない無酸素的代謝経路です。そのため、筋肉の運動など、酸素が十分に供給されていない状態でもエネルギーを産生することができます。


【クエン酸回路】
クエン酸回路は、解糖系で生成されたピルビン酸をさらに分解してエネルギーを産生する経路です。ピルビン酸は、ミトコンドリアでクエン酸回路によって酸化され、ATPや二酸化炭素、水などの生成物が生じます。

クエン酸回路は、酸素を必要とする有酸素的代謝経路です。そのため、筋肉の運動など、酸素が十分に供給されている状態でエネルギーを産生することができます。


【糖新生】
糖新生は、ブドウ糖を合成する過程です。血糖値が低下すると、肝臓や腎臓で糖新生が行われて、血糖値を維持します。

糖新生には、ブドウ糖以外の糖質やアミノ酸などの栄養素も利用されます。

〈血液検査〉

【指標】
GI値とは、食事を摂取してから2時間後の血糖値の上昇を、ブドウ糖を摂取したときの血糖値の上昇と比較して示す指標です。

GI値が高い食品は、血糖値が急激に上昇するため、肥満や糖尿病のリスクが高くなります。一方、GI値が低い食品は、血糖値の上昇が緩やかで、肥満や糖尿病のリスクが低くなります。

GI値は、食品の種類や調理法によって異なります。一般的に、単糖類や二糖類を含む食品はGI値が高く、食物繊維やタンパク質を含む食品はGI値が低くなります。

GI値を意識した食事を行うことで、血糖値の急激な上昇を抑え、肥満や糖尿病のリスクを減らすことができます。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 白米よりも玄米や雑穀米を選ぶ

  • 白パンよりも全粒粉パンを選ぶ

  • スイーツやジュースなどの甘い飲み物は控える

  • 野菜やきのこなどの食物繊維を多く含む食品を積極的に摂る

GI値は、あくまでも目安となります。自分の体質や食生活に合わせて、適切な食事内容を検討しましょう。



●食物繊維

食物繊維とは、人の消化酵素では消化されない、植物に含まれる成分の総称です。

・目標量

食物繊維の目標量は、18〜64歳男性:21g以上、成人女性:18g以上。理想的な目標は」成人で24g/dと考えられる。

・種類

食物繊維とは、人の消化酵素では消化できない、食物に含まれる難消化性成分の総称です。食物繊維は、大きく分けて「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類に分けられます。

  • 水溶性食物繊維は、水に溶けてゲル状になる食物繊維です。便の量を増やし、便通を促進する効果があります。また、血糖値の上昇を抑えたり、コレステロール値を下げたりする効果もあります。

  • 不溶性食物繊維は、水に溶けにくい食物繊維です。便の量を増やし、便通を促進する効果があります。また、腸内環境を整える効果や、大腸がんを予防する効果があるとも考えられています。

食物繊維を多く含む食品としては、野菜、果物、きのこ、海藻、豆類、全粒穀物などが挙げられます。毎日の食事の中で、これらの食品を積極的に摂るようにしましょう。

  • 野菜は、1日500gを目安に摂る

  • 果物は、1日200gを目安に摂る

  • きのこは、1日100gを目安に摂る

  • 海藻は、1日30gを目安に摂る

  • 豆類は、1日100gを目安に摂る

  • 全粒穀物は、1日150gを目安に摂る

食物繊維は、体内で消化吸収されないため、カロリーはほとんどありません。また、食物繊維を多く含む食品は、低カロリーで栄養価が高いものも多く、ダイエットにも効果的です。


・食物繊維の働き

食物繊維には、以下の働きがあります。

  • 便通を改善する

  • 血糖値の上昇を抑える

  • コレステロール値を下げる

  • 肥満を予防する

  • 生活習慣病の予防・改善に役立つ


●炭水化物の摂り方のポイント

炭水化物を健康的に摂取するためには、以下のポイントを押さえることが大切です。

  • 糖質の摂取量を適切にする

  • 食物繊維を多く含む食品を積極的に摂る

糖質の摂取量を適切にするには、エネルギーの50~65%を炭水化物から摂るようにしましょう。また、単糖類や砂糖類などの精製糖の摂り過ぎには注意が必要です。

食物繊維を多く含む食品を積極的に摂ることで、便秘の解消や、血糖値やコレステロール値の上昇を抑えるなどの効果が期待できます。


●まとめ

炭水化物は、私たちの体にとって重要な栄養素です。適切な量を摂ることで、エネルギー源として働き、健康維持に役立ちます。

炭水化物を摂取する際には、糖質の摂取量を適切にし、食物繊維を多く含む食品を積極的に摂るようにしましょう。






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