🗂️ Design Materials：法整備による義務化が進んでいるアクセシビリティ。PART3-無料で使いやすいアクセシビリティ評価ツール。

2022年3月2日 05:10

Webアクセシビリティとは、障害のある方、ご年配の方なども含め、全ての人が様々な環境においてWebにアクセスし、情報を得られるようにすることですが、現在はデスクトップのみならず、タブレットやモバイルといったディバイスの多様化も進んでいるために、さまざまな環境からのアクセスも考慮する必要があります。

インクルーシブ社会

アクセシビリティは検索エンジンにも影響するので、インクルーシブ社会を築くためにだけでなく、Webサイト構築をする上でも重要な指標となっています。

日本でも民間事業者等のWebサイトのアクセシビリティ対応の義務化に関する法改正が、去年2021年5月に可決成立、6月に公布されました。これにより行政機関等に加えて事業者、つまり一般企業に対しても、改正法の施行後には合理的配慮の提供が義務付けられました。

💡インクルーシブ社会とは、社会を構成するすべての人は、多様な属性やニーズを持っていることを前提として、性別や人種、民族や国籍、出身地や社会的地位、障害の有無など、その持っている属性によって排除されることなく、誰もが構成員の一員として分け隔てられることなく、地域であたりまえに存在し、生活することができる社会を意味します。

使いづらいWebサイトは、障害を持つユーザーだけでなく、すべてのユーザーにとって障害となります。

ただし、ページの修正に注意を向ける前に、ページにどのようなアクセシビリティの問題が存在するかを知る必要があります。では、あなたのWebサイトが100％WCAG 2.1に準拠しているかどうかをどうやって知ることができるのでしょうか？

今回は、無料で使えるアクセシビリティ評価ツールをご紹介したいと思います。Webサイトがアクセシビリティの基準を満たしていることを確認したい場合に便利なリソースです。

Webコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン（WCAG）標準に厳密に準拠した自動アクセシビリティチェックを実施するため、すべての適合レベルでアクセシビリティの問題を簡単に特定して修正できます。

https://www.w3.org/TR/WCAG21/

無料で使いやすいアクセシビリティ評価ツール

Webサイトに潜んでいる問題を見つけるために無料で使いやすいアクセシビリティ評価ツール。デザイナーや、デベロッパーはQAテスターにWebサイトをレビューしてもらう前に、これらすべてを行うようにしてください。これらは無料で、Webサイトのアクセシビリティの問題を特定するための優れた「出発点」になります。

始める前に

これまで、人間を完全に置き換えることができるWebサイト評価ツールは開発されていないことを覚えておくことが非常に重要です。これは、現在の技術では常識などの人間の属性を模倣することが難しいためです。

この点で、これらのツールは注意して使用する必要があり、それらが生成する結果は、評価しているWebサイトとの関連で解釈する必要があります。さらに、アクセシビリティはユーザビリティのサブセットであるため、これらのツールは、せいぜいサイトにアクセスできない場所しか表示できないため、ユーザビリティではなくアクセシビリティを評価するためにのみ使用する必要があります。

お勧の自動アクセシビリティ・テストツール

エルゼビアを通じて提供されるアクセシビリティチェックリストは、最新の関連するWebアクセシビリティガイドラインを確認するための無料で簡単な方法を提供します。アクセシビリティチェックリストは、サイトのWebアクセシビリティに関する段階的な評価ガイダンスを提供します。より厳しい予算に取り組んでいるサイトや開発者にとって、良いニュースがあります。アクセシビリティチェックリストは、有料ライセンスを必要としない無料のソフトウェアです。サポートされている形式には、CSS、HTML、XHTML、および画像が含まれます。

WAVE

「WAVE」はアクセシビリティ向上のために設立された米国の非営利団体「WebAIM（Web Accessibility in Mind）」が開発、公開しているアクセシビリティ検証ツールです。プラグインを使用すると、エラーがあるか、なぜそれが重要なのか、そしてそれを修正する方法（および関連するWCAGガイドラインに直接リンクする）を正確に説明してくれます。

アイコンとインジケーターをページに挿入することで、Webコンテンツのアクセシビリティに関する視覚的なフィードバックを提供しています。自動化されたツールでページにアクセスできるかどうかはわかりませんが、WAVEは人間による評価を容易にし、アクセシビリティの問題について教育します。すべての分析は完全にChromeブラウザ内で行われるため、イントラネット、ローカル、パスワードで保護された、その他の機密性の高いWebページを安全に評価できます。

スクリーンリーダー・プラグイン

Webを利用したスクリーンリーダー

Chromeスクリーンリーダー拡張機能は、htmlやjavascriptなどのWebテクノロジーのみを使用して構築されたウェブ用のフル機能のスクリーンリーダーのショーケースです。この拡張機能は、特にChromeブラウザ内で機能してコンテンツを読み上げます。より包括的なソリューションについては、Chrome OSのChromeVox、MacのVoiceOver、JAWS、NVDA、Windowsのナレーターなどのフルシステムスクリーンリーダーを使用することをお勧めします。

インテント・ベース–アクセシビリティ・チェッカー

インテントベースによって2020年に開発されたアクセシビリティチェッカーは、世界中の主要な法律についてWebサイトをスキャンする無料のWebベースの監査ツールです。

その独自性は、Webサイトで検出されたエラーの表示です。スキャナーが検出したエラーごとに、そのエラーに関する詳細な説明、影響を受けるユーザー、およびその解決方法に関する複数のオプションが表示されます。これにより、Webサイトのアクセシビリティをより包括的に把握できます。

AChecker –アクセシビリティチェッカー

アクセシビリティチェッカーは、トロント大学のインクルーシブデザインリサーチセンター（旧称アダプティブテクノロジーリソースセンター）によって2009年に開発されたオープンソースのアクセシビリティ評価ツールです。このツールを使用すると、ユーザーはURLまたはHTMLファイルをアップロードしてWebページを送信し、その後、評価するガイドライン、つまりHTML Validator、BITV、セクション508、Stanca Act、WCAG 1.0、およびWCAG2.0を選択できます。

W3C Markup Validation Service

Web技術の標準化を行う非営利団体W3C（World Wide Web Consortium）が提供している、HTMLの構文チェックツールです。
URLを入力してチェックボタンを押すだけ。構文エラーを確認できます。
HTMLファイルのアップロードやテキストエリアへの直接入力にも対応しています。Webツールなのでダウンロードは不要です。

日本語対応しているツール

miChecker

総務省で開発、また提供しているアクセシビリティ評価ツールです。miCheckerは、機械的に検証可能な項目を自動的に評価するとともに、人による判断の支援を行ってくれます。
WCAG 2.0の達成基準に基づくアクセシビリティ試験に対応しています。
総務省のホームページからダウンロードが可能です。

NVDA

Windows用のスクリーンリーダー（音声読み上げソフト）です。
無料で提供されているので、ダウンロードして使用することができます。
スクリーンリーダーでどのように読み上げられるかが分かります。

NVDA日本語版

まとめ

Webアクセシビリティテストは、サイトが特定のソリューション、ユニバーサルコントロール、および改善された使いやすさですべての訪問者に対応することを保証しています。上記の手動テストツールと自動テストツールを組み合わせて使用すると、エラーやギャップを見逃さず、Webサイトのすべてのユーザーに最高のエクスペリエンスを提供できます。

ぜひ使用してみてください。

私も色々勉強中なので、皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。
お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。

［参考資料］

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