🗂️ Design Materials #デザイン思考 #共感力 – デザイン思考のステップ1:共感力とは?定義、アプローチ、テンプレート
“共感力”とは?
→ 意味あるイノベーションを起こすには、ユーザーを理解し、彼らの生活に関心を持つ必要があります。
共感とは、人々を理解する作業を意味します。デザイン思考を考える上で人間中心を原則としたデザインがとても大切です。人々がどのように・なぜ行動するのか、また身体的、感情的なニーズは何か理解することを指します。
なぜ共感が重要なのでしょうか?
例えば、車椅子ユーザーAさんが解決したいと思っている課題はおそらくAさんだけの課題であることは滅多にありません。しかしそれはあくまで特定の人々が抱える問題なのです。Aさんためにデザインするには、Aさんを含めた特定のユーザーにとって重要なものは何かを理解しなければなりません。
AさんやAさんと似ている環境に置かれているユーザーの言動、また周囲の環境に対する反応を観察することで、彼らの考えていること、感じていることの手がかりを得ることが可能になってきます。また彼らのニーズを学ぶ助けになったり、彼らの経験が持つ意味を捉えたりすることもできます。
この共感力を持つって、インサイトから革新的な解決策が生まれてくるのですが、この共感を得ることはとても難しい課題です。
インサイトとは? インサイトは直訳すると「洞察」や「物事を見抜く力」などを意味します。
なぜ難しいと思いますか?
私たちは、私たちの視点で物事を捉えてしまうということが多いからです多くの情報を認識する前に意識が自動的にフィルターをかけてしまいます。私たちは新鮮な眼差しで物事を見ることを学ぶ必要があるのです。共感することで、デザインする側は自分の思い込みを捨てることができ、結果的にユーザーや彼らのニーズについてのインサイトを得られるでしょう。
人々と直接に関わることで、時に本人も気付いていない彼らの考え方、また価値観を理解することができることもあります。あなたとユーザーの深い関わりは、予期せぬインサイトの発見によってお互いを驚かせます。そしてその信条や価値観をしっかり理解した上で初めて良いデザインを施すことができるのです。
共感力を高める方法
では、共感力を高めるにはどうしたらよいのでしょうか?共感力は生まれ持った才能や素質ではなく、誰もが習得できるスキルなのです。
🔎 リサーチする:
ユーザーと彼らの生活環境における振る舞いを観察しましょう。
ユーザーインタビューに加えて、適切な場面で出来る限りの観察が大切です。なぜなら、ユーザーインタビューだけでは見つからないものが多く存在するからです。人の発言と行動の間にある矛盾が存在するのを忘れがちですが、まさにこれが一番有力な気付きなのです。人の発言と行動の間にある矛盾はユーザーが考え出した行動回避策とも言えます。私たちはユーザーインタビューの質問を制作中にはその事すら考えていないかも知れません。
→自分の周りから初めて見るのも良い方法です。
日記を書いてみてください。あなたが日々考えていること、感じていることを書き残し、あなたの感情を可視化してみてください。日々の感情を書き出す行為は、感情のボキャブラリーを増やし、ユーザーの感情をより的確に理解し表現できるよう手助けをしてくれることでしょう。
🎤 ユーザーインタビュー:
ここではインタビューというよりも、「会話」と考える方が適切です。
質問事項は細かく準備しながらも、そこから外れるような会話を期待しましょう。会話はゆるい状態にします。ユーザーから話を引き出すことを目標にして、常に「なぜ」と聞いて深い意味を明らかにしましょう。常にユーザーと積極的に関わることが、共感を得られる秘訣です。
会話中に沈黙を取り入れることも大切です。そうすると、自分の感情だけでなく、相手の感情にも気が付きやすくなります。相手の発言に数秒おいてから、ゆっくり発言してみましょう。発言する前に一呼吸おくことで、自分の本当の感情に意識を向けることができます。また相手の感情を理解するには、発言以外に、表情やジェスチャーから読み取ることも大切です。
私は最近ユーザビリティテストのオブザーバーとして、メモ取り係を任され、そのテンプレートを準備しました。
💬コミュニケーション:
「観察する」こと、そして上手いコミュニケーションを取ることが大切です。ユーザーに何らかの作業をしていただき、どうやって仕事をこなすか見せてもらうように頼んでみましょう。その時にユーザーが頭の中で何を考えているのか声に出すように頼みます。
日記をつけてみたり、ユーザーインタビューをするのは相応の努力が必要となります。しかし、例えば自分が属する環境を変えてみるのもよいかと思います。
フィットネス・アプリ
例えば、私と一緒にプロダクトデザイナーをしている同僚は、フィットネス・アプリを制作上で、自分自身が実際にレファレンスであげた多数のフィットネス・アプリを数週間試して、感情や動機をメモに取りながら、ユーザーのエモーションの移り変わりを追求していました。
クッキング・アプリ
またクッキング・アプリを制作する上では、実際に台所で、濡れた手、または多少油が手について滑りやすい状態でも使いやすいか何度もテストしているプロダクト・デザイナーもいました。
つまりシンプルに自分と異なる生活様式や文化を持った環境に自身をおいてみるという方法です。以前、車椅子を利用している人の気持ちを知るために車椅子で1週間生かっつをしてみたというプロダクト・デザイナーの話を聞き、とても関心したのを今でも覚えています。
共感から問題定義へ移行
時間の制約に合わせて、この段階で、次の段階で使える相当量の情報を集めることができます。また、ユーザーや彼らのニーズ、製品開発の根底に潜む問題を十分に理解することもできるでしょう。
問題定義の段階では、共感の段階で収集し、作り上げた情報をまとめます。デザイナーやチームが特定した重要な問題を定義するために、観察結果を分析し、体系化しましょう。ユーザーを主語にした文章として問題を定義するようにするべきです。
頭の中にある全ての情報を書き出し、情報の関係性を作ります。ユーザーの写真を貼り、ポスト・イットで情報を貼り、冒険や経験のマップを作ります。ユーザーに関する印象や情報はどんなものでも構いません。これが問題定義の段階へ移行する際の初めの統合プロセスとなります。ここで使用したいのが、ペルソナや、ユーザージャーニーなどのアクティビティになります。
[参考資料]
スタンフォード・デザイン・ガイド – デザイン思考 5 つのステップ
私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。
メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。 主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?