昨今の「療法士起業ブーム」に一言

近年、空前絶後の「療法士起業ブーム」であると思う。



養成校の乱立に伴う供給過多と、保険点数を基盤とする収益構造に基づく給与体系に、将来に不安を感じる若手療法士の中には、


「とりあえず病院に就職して、3年くらいで起業しよう」


という方もいらしゃると聞いた。

素晴らしいと思う。

病院という組織を抜け出し、「個の力」でもって大海原へ駆け出す。

「病院はオワコン。目指せブルーオーシャン!大航海時代の幕開けじゃ!」



なんて言って3年で得た知識・実力をもって、例えば保険外診療の分野に挑戦し、例えば医療コンサルの分野に挑戦し、

超カッコいいじゃないですか。代表取締役社長。



ちょっと待ってほしい。


私はご縁あって、様々な起業をされている療法士の先生方とお会いしているが、みんな笑顔絶やさぬ日常の裏で、めちゃくちゃ努力してるよ。

臨床を「こなす」なんてことはしないで、毎日毎日トライ&エラーを繰り返し、休み返上で学び続け、それを目の前の対象者さんを笑顔にするために、惜しみなく発揮しているよ。

それを何年も積み重ね、現状よりも対象者さんの笑顔が増やせる方法があると気付き、様々な方法を模索して、大海原に飛び出して行ってる。


あなたは、どうだろう?


患者だった身としては、業務後ロクに練習もせず、休日も患者さんに還元できるような行動をせず(ここで言ってるのは、勉強会に1回いって出来た気になってるちゃんも含む)、解剖書よりもビジネス書を読み漁るヤツなんかに、自分の人生の一部を任せたいとは到底思えないし、


今でも回復期リハビリテーション病院に勤務する療法士としては、自分の活動を職場に還元できないヤツが、「起業神輿」に載ってても、なーんにも感じない。


養成校を卒業して、大なり小なり今の職場に育ててもらったでしょ?

「いや、今の職場は先輩がクソで、学ぶことなんてなかった」というアナタ。

そこに患者さんはいなかったの?

僕らの仕事は、患者さんの人生と関わり笑顔になるお手伝いをする仕事だ。

患者さんがいないと、学びなんてないんだよ。

そして病院や施設というハコがないと、卒業したてのアナタのところに、患者さんは来ないんだよ。

てことは、前の職場の愚痴を言う前に、その職場にあなたの活動をもとにして、何らかの利得をもたらすのが先なんじゃないの?

自分の今いる環境も変えられない人が、保険外という大海原で戦い抜けると到底思わないし、

自分の尊敬する起業されている療法士の方は、みーんなそれを実践している。

自分と対象者さんがwin-winの関係だけで満足する前に、

自分と対象者さんと職場のwin-win-winの関係を目指しましょう。

「そこまで言うなら、小林は何してるんだ、えらそーに!!」

はい、ごめんなさい。正直足りてません。

自分が講演会に行ったことで、旭神経内科リハビリテーション病院の名を広めることや、

その結果、新入職希望者が増えたこと、

様々な活動を通じて知り合った繋がりから、外部講師をお呼びして院内勉強会をしたり、

職場に頼まれて事業の講演を引き受けたり、

他施設から依頼をされ、患者さんをみさせていただいたり、

そのくらいしか出来ていません。

自分の課題は、職場に収益をもたらすこと。

起業を否定しているわけでもないし、病院勤務を推奨しているわけでもない。

ただ、どちらの道を進むにしても、利他的思考に基づく圧倒的行動が必要だよってお話し。

自戒も込めて、記事を書かせていただきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


<告知>

今月は、講演があと3本!

▶3月9日(土)、尊敬する起業セラピスト、河合眞哉さんとのコラボセミナー!
なんと、八千代リハビリテーション学院の学生さんが招待してくれました!!

▶3月16日(土)は、パラレルキャリア支援団体さんでの講演。
リンク先がなかったので、興味ある方はメッセージください。

▶3月17日(日)は、千葉県理学療法士学会シンポジスト!
「社会活動」についてお話しさせていただきます。
事前申し込みは3月7日まで!


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脳卒中→理学療法士 小林 純也
「楽しい!」をみんなへ。この理念のもとに、全ての脳卒中経験者の可能性を世の中に伝えている、脳卒中フェスティバル。サポートいただいたお金は、全額脳フェスの活動資金にさせていただきます。ご支援をよろしくお願いいたします!