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後編 納屋町商店街で残していきたい想い【インターンシップ生が取材に行ってきました!】

納屋町商店街の3Dのデータを残すにあたって、各店舗の皆様が残していきたい想いとは何か。
たいせつアーカイブスの活動を行うインターンシップ生の籔内と田上、上ノ山が合計7店舗、お話を伺いました。

後編です!(前編はこちら



小林呉服店さん

営業時間 : 午前10時 ~ 午後 7時
定休日 : 火曜日・水曜日
住所 : 京都市伏見区納屋町 110番地の2

仕立て直し、染め替えなど着物のお手入れ、着物に関することは何でも相談に乗ってくださる伏見の街の親切な着物屋さんです。


上ノ山
:商店街での思い出を教えてください。

小林さん:私の時は同年代の子供が多くて、夜にここのアーケードの中でドッジボールして遊んでいましたね。

上ノ山:思い出の品はありますか。

小林さん:大きなそろばんで5つ玉なんです。創業当時近くからありますね。昔は問屋さん行った時もそろばんで、「これナンボになりますの?」とか「もうちょっと引いてな」と言いながらやりとりしてました。


上ノ山:昔から変わらないものは何ですか。

小林さん:やはり地元のお客様が多いので、地元のお客様を大切に思う気持ちですね。
ただ30年前に比べると、当時のお店は半分くらいは変わっています。
なぜ変わったかというのは、納屋町商店街が進化して今のお客様に合わせようとしているということですね。

上ノ山:時代の流れということですね。

小林さん:そうです。時代に合わせて店なり、人なりは変わっています。ですが、それは来ていただいているお客様のためで、お客様を思う気持ちは変わっていません。

上ノ山:今後の商店街の在り方について教えてください。

小林さん:納屋町商店街の成り立ちは、秀吉が開いた伏見港にあった商人の納屋から、自然発生的に納屋町という名前がつき商店街になっていきました。
必要であるからこのように商店街ができて、続いてきたわけです。将来的にも、お客様に必要とされることで続いていかないと意味がありません。
各お店が実力を発揮して、地元の方、引いてはもう少し広域の方から来ていただける商店街にしたいですね。



(有)鮒新 佐野商店さん

営業時間 : 午前 9時 ~ 午後 5時50分
定休日 : 日曜日
住所 : 京都市伏見区納屋町 130番地

水のきれいな伏見ならではの川魚専門店。朝開きしたうなぎの蒲焼きや琵琶湖産の海老豆、その他、キモ焼、う巻、えび豆、もろこの佃煮等も好評です。

籔内:お店を継ごうと思ったきっかけを教えてください。

塩貝さん:もともと先代のおじいさんの介護やお店を手伝っていたこともあり、自分が継ぐことになりました。自分も残したいと思っていましたし、せっかく一代でここまでやってきはったんやから、残したらな可哀想やなと思ったので。

籔内:何年ほど前からお店をされているんですか。

塩貝さん:多分70年くらい…?確かおじいさんが戦争に行って帰ってきてから始めたそうです。

籔内:戦後当初の商店街の雰囲気は聞いたことはありますか。

塩貝さん
:確か砂利道で、アーケードもなかったんちゃうかな。もともと先代のおじいさんは、同じ鮒新という店に丁稚奉公に行っていました。その後戦争に行って、帰ってきた時に、「ここ(納屋町商店街)に店を出せへんか。」ということで、暖簾分けしてもらったところから始まったそうです。

籔内:鯉やうなぎを売ろうと思ったきっかけはありますか。

塩貝さん:多分それを売ってるから、うちは今も仕事ができてるんちゃうかな。川の魚を扱ってる店は減る一方で、増えはしないと思います。

籔内:川魚専門店というお店はこれからも残していきたいですか。

塩貝さん:少なくとも僕がやってる間は残したいかな。(笑)僕の後はもう無理やと思う。基本的には若い方が食べないというのもあるし、ご年配の方は、うちも何人かは常連さんが亡くなってきている時代やからね。

籔内:商店街に残していきたいものは何ですか。

塩貝さん:今まで通りお客さんにとって身近な商店街であってほしいです。
今は近くにマンションもできて子供も多い。知り合いの子供もよく通って声かけてくるし、そういうのは繰り返していくんちゃうかな。



ササキパン本店さん

営業時間 : 午前 7時 ~ 午後 6時
定休日 : 火曜日
住所 : 京都市伏見区納屋町 117

あんぱん、ジャムパン、ササキのパン。一日一度はパン食を。100年間作り続けてきた技術で懐かしいパンと新しいパンのあるお店です。



籔内
:創業は大正10年ということでお間違いないですか。

佐々木さん:間違いないです。西暦で言うと1921年

籔内:創業当時はどのような雰囲気だったのですか。

佐々木さん:最初はあんぱんだけを売っていたそうですね。10銭か5銭か、何銭とかの世界ですね。

今ではさまざまな種類のパンが並んでいます。

籔内:創業当時から今も使われているものや商品などはありますか。

佐々木さん:創業が大正なので、全く同じものっていうのはないんです。
ただ、戦後からは(今と)ほぼ変わってないです。戦後、戦中は砂糖とかはなかなか手に入らなくて、当時のパンの包装紙には全糖って書いてあったんですよ。それが昭和30年代くらいのことで、当時からほとんど変わってないですね。店舗も昭和40年代に建て替えてそのままです。

籔内:商店街での思い出エピソードはありますか。

佐々木さん:僕らもこの商店街で生まれ育ったので、夕方なったら商店街で野球とかしてましたね。今では考えられへんけど(笑)バンって打って電球割って怒られたりとか。そんなんが許された昭和の時代でしたね。

籔内:今、商店街で残していきたいものはどういったものがありますか。

佐々木さん:やっぱりね、商店街の流れとして昔は小売店が主体やったんですよ。今どんどん飲食店が増えて、うちみたいな小売店が減っていってる。小売店や専門店は後継者問題とかもあるけど、残していきたいなと思いますね。


編集後記


今回、取材に行ったインターンシップ生がそれぞれ感じたことを綴ります。

・今回の取材を通して納屋町商店街について学び、魅力に溢れた各店舗の皆様と出会えたことで、もっと納屋町商店街のことがもっと好きになりました。各店舗の皆さんの暖かい想いを形にすることができたことを嬉しく思います。
(同志社女子大学 籔内 まゆ)

・代々受け継がれてきた店舗の歴史や子供の頃の商店街での思い出など、今回取材で聞けなければ知ることができなかったことをたくさん知れて、納屋町商店街の魅力をより感じました。どの場所にも歴史や思い出があり、それはその人にとって大切なものなのだと取材する中で感じ、もっとたくさんのものと想いを残していきたいと思いました。
(同志社女子大学 田上 さくら)

・歴史ある商店街で長年にわたり小売店や専門店を経営する苦労や開業秘話など、なかなか聞くことのできない人情味あるお話をたくさん聞くことができ、納屋町商店街の魅力をより知ることができました。
(同志社女子大学 上ノ山 和津子)


地元の方に長く愛されてきた納屋町商店街。今回の取材、撮影でたくさんの方の想いに触れることができました。これからもより多くの方の想いを残していきたいと思います。

納屋町商店街の3Dモデルはこちらから閲覧できます。
まるで、納屋町商店街を実際に歩いているような雰囲気を味わっていただけます。

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納屋町商店街のホームページはこちら


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