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「N1採用」のはじめ方 #1 〜ChatGPTと情熱の間で生まれた採用手法〜

トラックレコード野崎です。
弊社は「企業の面白いを届ける」をビジョンとした採用支援事業「TECH HIRE」を展開しています。NHKさん、クックパッドさん、モノタロウさんなどのエンジニアをはじめとしたハイクラス人材の採用業務を支援しています。

この度、弊社の活動を通して導き出した「N1採用」の方法論とツールをまとめたキットを公開することにしました。開発途中・現在進行形で変化をしている段階ではありますが、多くの方に試していただくことで、改善速度を早めることを目的にしています。

このnoteでは「N1採用」の背景から、その具体的な内容の一部を紹介しています。
「N1採用」キットを利用希望の方はこちらからリクエストください。

↓リクエストフォーム↓

↓全9回のリンク先はこちらです↓

1. 全体像の紹介 → 記事はこちら
2. ペルソナ → 記事はこちら
3. メッセージ設計 → 記事はこちら
4. 行動計画設計 → 記事はこちら
5. 求人票開発 → 記事はこちら
6. スカウトテンプレート開発 → 記事はこちら
7. 候補者ピックアップ → 記事はこちら
8. スカウト送付と活動・評価ログの収集 → 記事はこちら
9. PDCAのマネジメント方法 → 記事はこちら

「N1採用」が生まれた背景

弊社の代表的な実績のひとつにクックパッドさんとのDisruptor採用の取り組みがあります。1年で執行役員をはじめとした4名のハイレイヤー層の採用を実現したプロジェクトです。

  • Disruptorと呼ばれるポジションの開発

  • ハイクラス人材の母集団形成のためのスカウト

  • 結果的に執行役員をはじめとした4名のハイレイヤー層の採用

これの成功の本質は「欲しい人材が求める自社の魅力の再定義」と「候補者への確実な伝達」にありました。もう少し分解すると以下のような手順です。

1. 1つのポジションに対して、複数のペルソナを設定
2. ペルソナはbynameで個人をイメージできるほど細かい粒度で設定
3. ペルソナが働く場所に求めるリターンの言語化
4. 同リターンに対して、企業側が提供できる機会の発見と開発と言語化
5. ペルソナ単位でカスタマイズした機会を提案
6. 活動を通じてより相手に響きやすい伝達方法にチューニング

「候補者を個人単位で小さく捉えて、それぞれの候補者に最適な「企業の面白い」を届けるN1視点の採用」と表現できるかもしれません。実際に、この手法によってスカウトや選考転換、内定承諾などをはじめとした各ファネルで高い転換率を実現することができました。

一方で、上記の手順を実行することは簡単ではありません。例えばスカウトシーンをとっても以下のような該当職種に対する専門性をもった人材が取り組む必要があります。

・ペルソナのインサイトを理解して、求めるリターンを考えられる
・企業がもつ機会を相手に伝わる魅力的な言葉にできること
・候補者の経歴を読み取り、ペルソナ判定をすること

そのため、エンジニア採用であればCTOやEMなどの高度な専門人材が採用媒体を直接触り、候補者を見つけ、スカウト文を書くことが必要でした。

しかしながら、このやり方では「量の出力」がでません。限られた専門人材のリソースに依存するため、どうしても限定的な量になってしまいます。

そこで弊社では「量の出力」も担保しながら、高い転換率を期待できる「N1の採用活動」のワークフローの開発に取り組んできました。

これによって、これまで採用担当の方が感じていた「本当は一人一人にカスタマイズしたスカウトを送付したいけど、実現できない」という課題を解決するヒントになればと思います。

またCTOやEMなどの採用活動に従事してきた方にとっては「本当は採用にかける時間をもっと減らしたい。効率的だけど品質を落とさない採用活動を実現したい」といった要望を実現するヒントになればと思います。

N1採用のワークフロー全体像について

まずはN1採用の全体像をワークフローに落としたまとめた図を紹介します。このフローの手順に沿うことで「量を担保したN1の採用活動」を実行することができます。

N1採用のワークフローマップ

上記ワークフローの中でも特徴的な仕様が以下3点です。

1. ポジション単位で複数のペルソナを設計していること
2. そのペルソナ別にリターン、メッセージ、スカウトパターンを用意していること。
3. ピックアップ時に複数のペルソナから合致するものを選択すること

複数のペルソナ別にスカウトパターンを設計する

この1-3のプロセスによってピックアップした候補者をペルソナに当てはめることで、候補者に響くスカウトがほぼ自動的にセットされることになり「候補者を小さく捉えて、候補者に最適な企業の面白いを届ける」を実現しています。


N1採用を実行する体制について

図にもあるように、N1採用は3人のプレイヤーが登場します。

・PM能力に長けた「プロジェクトマネージャー」
・職種の専門性の高い「ロールエキスパート」
・オペレーションに長けた「リクルーター」

ロールエキスパートとは、エンジニア採用プロジェクトを例にとると、現役のエンジニア、エンジニアリングマネージャーのような方々になります。候補者のインサイトに詳しく、適切なペルソナ設定、メッセージ設計の企画や、ピックアップされた候補者のペルソナ判定などのシーンで活躍いただく役割です。

弊社の採用プロジェクトでもこの3名の役割でチームを組成し、クライアントの採用プロジェクトに取り組んでいます。

各社で上記フローを実践する場合にもロールエキスパートのアサインは不可欠ではありますが、関わる箇所が限定的になることによって工数が大幅に削減することができます。


各フロー別の具体的なアクションについて紹介

ここまで紹介したN1採用のワークフローを実践するためのツールを開発しています。実際にみなさんに利用いただくツールとなっていますので、ここではそのツールの一部を紹介します。

1. ペルソナ設計について

ペルソナ設計を無駄なく行うために、入力すべき項目とそのためのマスターデータを弊社ツールでも用意しています。
これによって、ペルソナのイメージが沸いてすればすぐに設計できます。またこの項目とマスターデータを元データとしてChatGPTと相談することで、ペルソナの幅出しを行うこともできます(そのためのPromptも用意しています)

ペルソナ設定シート:規定のフレームにマスターデータから選択式で設計できる
[Prompt例] 

以下の入力情報を基にして、出力形式にあるペルソナ情報を作成してください

[入力情報]
- エンジニア経験5年以上
- 5名以上の開発組織のマネジメントあり
- 大規模サービの開発経験あり
- (ここには求める要件や今時点でわかっている情報を記載)

[出力形式]
- 年齢
- 職種
- 年収
- 学歴
- 実際に在籍していそうな大学・学校名
- 在籍していた企業規模
- 在籍していた企業カテゴリー
- 実際に在籍していそうな会社名
- 強み
- 経験
- 現職で抱えている課題
- 転職先にもとめること


2. ペインとリターンの設計について

現職に感じるペインと転職先に求めるリターンについても、ペルソナ別で細かく設計できるツールとなっています。またこれもマスターデータから選択式で設計できるようにしています。
エンジニア採用支援で蓄積したエンジニアのペイン・リターンについては一通り網羅的に蓄積しています。
またこれもペルソナ情報をもとにChatGPTと相談することで、ペイン・リターンの幅だしを行うことができます。

ペイン・リターン設定シート:ペインとリータンのマスターデータから選択式で設定可能
以下の人物情報が抱えている「現職で抱えているペイン」と「次の転職先にもとめるリターン」について教えてください

[人物情報]
- 職種:プロダクトマネージャー
- 年齢ゾーン:40-44
- 年収:1200万円-1500万円
- 在籍期経験のある企業カテゴリー:成長スタートアップ、ミドルスタートアップ
- 経験業界:IT
- 経験業務:5名以上の開発組織のマネジメントあり、大規模サービの開発経験あり


3. エビデンスメッセージについて

候補者のが転職先に求めるリターンについて、自社評価・競合優位を評価するツールを用意しています。そこで「自社が提供でき、かつ競合に負けない」と評価された要素は、自動的に具体的なエビデンスを定義するシートに反映されるようになっています。
エンジニア採用支援で蓄積した具体的なエビデンスの言語化を機械に頼ることはできませんが、エビデンスの作成例と、エビデンスを集めるための質問集をナレッジとして用意しています。

リターン評価シート:自社評価と競合対比評価を設定することで魅力としての利用を判定
エビデンス作成例:リターン別のエビデンス作成の事例集


4. スカウトパターンの開発について

エビデンスを揃え、利用可否の評価を行うことで、規定のスカウトパターンにエビデンスを組み込んだスカウト文面が自動生成されます。
これによってダラダラと長いスカウト文ではなく、端的にそのペルソナが求めているリターンだけが記載されたスカウト文が作成できます。
候補者からの目線で「私が求めていたものがありそう!」といったリアクションを期待することができます。

スカウトパターンシート:エビデンスを入力することでスカウト文面とスカウト件名を自動生成

*フルカスタイムしたスカウト送付について
(大前提として、一人一人のキャリア・経験や意向などを踏まえてフルカスタムでスカウト送付を行うことが理想でありますし、それ自体を否定するものではありません。実際に弊社の支援先でもそれを前提として運用を行うこともあります。)


5. N1の分析について

スカウトの活動ログとファネル別の進捗を統合的に管理するツールになっているので、ペルソナ単位でのファネル進捗を把握することができるので、成果のでるペルソナ、成果のでないペルソナがわかります。
例えばですが「返信は返ってくるけど、選考に進まないペルソナ」や「返信は少ないけど、選考・内定までトントン拍子で進むペルソナ」などを判定することができます。

分析ダッシュボード:ペルソナ単位でのファネル別の転換データをリアルタイムで更新


ツールを利用希望の方はこちらから

上記で紹介したようなフロー別の「ツール」と「利用方法」をまとめたガイドブック一式を無償公開しています。
利用希望の方はこちらからお申し込みください。

また今後全9回(予定)でフロー別のツールと使い方を紹介してまいります。

1. 全体像の紹介
2. ペルソナ
3. メッセージ設計
4. 行動計画設計
5. 求人票開発
6. スカウトテンプレート開発
7. 候補者ピックアップルール開発
8. スカウト送付と活動・評価ログの収集
9. PDCAのマネジメント方法

ツールを使いこなすためのオンボード用Slackスペースをつくります

正直なところ、このツールは使いこなすのは簡単ではないと思います。そこでうまく使いこなすためのサポートを目的としたSlackスペースを開設しようと思います。
(ツールの利用申請をいただいた方には、基本的にSlackスペースへの参加をお願いしたいと思っています)

ツールの使い方に関する相談や共有、採用のナレッジに関する共有、ワークフローのUpdateのお知らせ、勉強会などのお知らせなどを予定しています。


ChatGPTと情熱の間に

今回も紹介してますがChatGPTは、採用プロセスで間違いなく欠かせない存在になると思います。ペルソナ設計、メッセージ設計の壁打ちから、スカウト文面、求人票の文面、レジュメからの情報抽出などの編集・要約業務など活躍場所は多岐にわたります。

一方で、それの登場によっていい人材が採用できるわけではありません。本質的に重要なことは、企業の面白い部分(魅力)を磨き、それを求める相手に適切に伝達することです。
言い換えるとChatGPTを積極的に活用し、効率を徹底的にあげた上で、本質的な差がでるところに情熱をもって取り組むことが重要だと思います。

本ツールを公開した背景としても、これを活用することで自社の魅力を適切に伝達できるようになる企業が増えることで、より多くの人に「面白いが届く」世界に変わっていくことを願っているためです。
本事業のビジョンである「企業の面白いを届ける」の一助になればと思っています。


お知らせ

弊社の現在のビジネスは、Slackアプリ「Colla」と採用支援サービス「TECH HIRE」です。採用支援サービスは、高度デジタル人材(エンジニア等)を採用したい企業を対象として、上流から実行までの採用活動を請け負うサービスとなっています。

自社で採用活動をやり切るのが難しいという方は、ぜひご相談ください。


人材も絶賛募集中です

また当社で働いてみたいという方も、ぜひご連絡ください。

「企業の面白いを届ける」をリードする事業開発ポジション(正社員)
https://www.trackrecords.co.jp/techhire/role-expart

N1採用のクライアント案件をリードするPM人材(正社員・業務委託)
https://www.trackrecords.co.jp/techhire/pm

エンジニアとしての業務・採用経験をもつロールエキスパート(業務委託)
https://www.trackrecords.co.jp/techhire/role-expart



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