ところで技術力は資本化するか

ここでいう「技術力」とは、高度な工場や最先端の工作機械、大容量の通信回線や通信機器、といったハードウェアではなく、ひとに根差した技術力、なので、ほぼ人材のことを指すことをお断りしておきたい。

ひとに根差す「技術力」を資本だと考えるなら、それを「てこ」にできなきゃならない。技術力が人材なら、それは「人件費」にてこをかけるようなものだ。それはできないしやっちゃいけないことなのではないかと、経営者のはしくれとしては思っています。

なぜできないしやっちゃいけないか。人件費から生み出される利益が増えるなら彼らの貢献度・身に付けた技術の価値が上昇したわけだから、当然それに見合う以上には報いなければならない。報酬を増やさねばならない。資本ならこのような計算はしません。これは「原価」の考え方、しかも売価が上がると自然と上昇し、一度上がると非常に下がりにくい性質を持っている原価。

人材依存性の高い技術力は「初期投資」に充て、経費に要する技術力は「外部化」(つまり外部委託に)して極力売価との連動性を抑える。"人材由来の技術力" は一般的な事業体ではこのように扱いたいのですね。

「受託ソフトウェア開発業」は、顧客の「初期投資」に応える技術力を提供する傍ら、調査や保守など「経費」相当の委託も請けます。その際、「技術力の価値と売価の連動性の緩衝材」という、あまり好ましくない役割を担うことになっているのではないか、という気がします。とくに「経費の外部化」においては…。
「人材由来の技術力の原価」と「市場価値」が望ましい関係になるよう、エコシステム(事業環境)全体で考えなければならない問題だと思うけれど、なかんずく、当事者である「受託ソフトウェア開発業」事業責任者は、文字通り責任を負わねばならないと思うです。

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