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長い一日 24/07/17

実は、16日と17日にAmazonで開催されているプライムデーセールで遂に「Kindle Paperwhite」を購入したのである。ここ一週間程、このセールに連なる先行セールで同商品が値引きされるのではないかと、毎日Amazonのサイトを確認していた。けれども先行セールでは同商品は値引きされなかったので、結局、昨日の0時0分、日付が変わってすぐに購入をしたのであった。そしてその翌日である今日に、遂に自宅へ「Kindle Paperwhite」が届く予定なのである。なので今日は朝からそわそわしていて、待ちに待ったこの商品をいつ受け取れるだろうかと、購入へ踏み切るまでの葛藤を思い出したり、これからの読書体験を想像したり、していたのであった。

しかし、商品は中々届かない。ティアキンで遊びながら待っていたら、とうとう昼前になってしまった。このままそわそわしていても仕方が無いと思った。なので、昼食を買いに例のスーパーまで散歩にでも行こうと思った。気温は30℃を超えていたが、近頃の私はどうも暑さに強くなったようで、高温を理由に外出を控えるという事は今日もしなかった。外へ出てみると、もくもくの入道雲が浮かんでいた。その間には透き通った青空が広がっていた。一方、遠くの比叡山の上空には、機嫌の悪そうなねずみ色の雲が浮かんでいた。純粋とか活発とかそういう言葉が似合いそうな晴れの空と、不純とか我儘とかそういう言葉が似合いそうなねずみ色の空とのアンバランスさが、絶妙に夏らしさを演出していた。

道中、小川の上の橋を通った。確か、去年のこの時期、この小川を見て私は泣いた。どこまでも明るい夏の空と、天を目指して活発に伸びる堤防に生えた名もなき草と、その間を流れる涼し気な水との光景が、唐突に「故郷」という二文字を連想させたのであった。その時から、一年が経った。あの時も暑かったが、今日も暑い。歩けば歩く程汗が出てきて、眼鏡の位置を何度も直したのであった。例のスーパーでの昼食も済ませ、帰路を進み、もうすぐ自宅に着くという時になると、徐々に視界から色が失われていくというような、視野が狭くなってゆくような、そんな状態になった。もうあと3分歩いていたらきっと倒れていただろうと思う。いくら暑さに強くなったとは言え、やはりこの暑さが危険な暑さである事には変わりが無かった。自宅へ着いたらまずは水分を補給し、冷房の電源を入れ、扇風機で冷風を浴びた。

自宅へ帰っても「Kindle Paperwhite」は届いていなかった。普段であれば帰宅早々風呂へ入ってそれから大相撲中継を観るのであるが、今日は夜に母親と外食をする予定であったので、風呂へ入らずリビングでダラダラとする事にした。少しダラダラしていると、案外すぐに大相撲中継が始まった。それでもまた商品は届かなかったので、朝のようにまたソワソワし始めた。そうこうすると、母親と出掛ける時間が訪れた。結局、夕方になっても商品は届かなかった。

今夜の外食はかなり贅沢で、夕立の中混雑している道路を進み、とあるうなぎ屋へ訪問した。山の中にある落ち着いた高級感のある和風なうなぎ屋であった。店の敷地には庭があった。庭の木々からは蝉の鳴き声が聞こえた。そんな中でうなぎを食べた。日中の暑さが嘘のような静けさであった。この和風な高級感の中では流石に、商品の到着が遅いとか、そんな事は気にならなかった。

店を出たらもうかなり日が傾いていた。帰りは道中のスーパーに寄ってアイスを食べたりした。夜景、とまでは言えないかもしれないが、遠くに見える街の明かりが美しかった。車内にいたのでその音は聞こえなかったが、今にもリンリンと鳴く虫の声が聞こえてきそうであった。そして、自宅に着くと、玄関先にダンボールが置いてあった。食事に行っている間に「Kindle Paperwhite」が遂に届いたのであった。長い一日であった。風呂に入る前に初期設定を済まそうと思って、端末の電源を入れた。しかし、そうして端末を弄っていると、いつの間にか結構な時間がまた経ったのであった。

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