生温い気温の中買い物に行く

空は曇っている。日光はあまり射さない。されど風は生温い。例のスーパーまで散歩へ行こうと家を出たらそんな天気である事に気付いて、冬が好きな私は、かなり寂しくなった。寒波は去った。少しずつ季節が進んでゆく。歩いていたら、ふとプロ野球の応援歌が聞きたくなった。何時の冬だっただろうか。プロ野球はもう見ないと決心した冬があった。プロ野球を見ていては、社会に出て働けないと思ったからである。その前年の秋にシーズンが終わってから、プロ野球の話題に触れるのを徹底して避けていた。しかし、この時期になったら我慢も限界に達した。頭の中で、プロ野球の応援歌が木霊するようになった。とうとう私は我慢出来なくなって「今年もプロ野球を見よう」と思い直した。働こうと云う気はどこかへ消え去った。そうやって気持ちが変わったのを境に、youtubeで応援歌を延々と聞く事になった。それが、その年のシーズン開幕まで続いた。なので、私にとってこの晩冬の季節は、プロ野球応援歌の季節なのである。

そうやってプロ野球の応援歌をyoutubeで聞きながら例のスーパーまで歩いて、久しぶりにそのイートインで昼食を摂った。昼食を終えて店から出ると、やはり生温い空気が漂っていた。残念でならないが、今日はただ散歩に来た訳ではなく、一応別に目的があり外出していたので、その目的の事を強く意識して、目的地へ向かった。残念だとか何とか言っているが、実はそれなりに元気なのである。冬の終わりも何のその、と言った調子で明るい音楽をイヤホンで流し、雑音が混じれば「消えろ」と頭の中で叫び、前だけを見て歩いた。

目的地は、家電量販店である。母親から「リビングのブルーレイレコーダーが壊れた」と聞かされたので、「ならば散歩のついでに買ってくる」と返事をした。母親は今夜録画したい番組があったようで、購入を急いでいた。なので、母親が仕事へ行っている日中に私が家電量販店に行き、適当な機種を撰んで買ってくる事に異存は無かった。とは言え私もブルーレイレコーダーの知識はあまり無いので、多少は下調べもしたが、基本的には店員さんにオススメを聞く形となった。幸いにも、とても丁寧な店員さんであった。なので、私も積極的に質問をして、懸念点を一つ一つ潰していった。そして、納得のゆく機種を購入できた。今この日記は自室の布団の上で書いているが、今頃リビングでは母親がブルーレイレコーダーの設定をしているのだろうか。この日記を投稿したら、少し様子を見に行く事にする。