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不平等な生命のための緊急的救済措置についての報告書
#創作大賞2022 生命とは、ひどく不平等なものである。 「それでは皆様、よろしいですね」 そう、何処かの偉い人が言った。 先輩に連れられてやって来た暗く冷たい講堂…
【小説】猫耳メイドのお仕事 5
「あなたの名前を教えて」
鈴のような少女の声が、我々の最初の記憶となる。この世に生まれ落ちたその瞬間、我々はその名でもって世界に縛られる。
「前世」というものがある。「前世」では、本来の魂と、未熟な「管理者」としての魂をもって生まれ、一生をかけて自らの魂を喰わせながら「管理者」の魂を育てる。魂が育ち切ると、それまでの名も生活も記憶も全て塗りつぶされ、新しい存在として魂が更新される。そうして生ま
【掌編】さよならをいうひと
『めぐちゃん』
その声は唐突なものであった。荷物を置きに中学校の隅の物置に来ていた時、少女はその声を聞いた。めぐみという名の少女は、親しい友人たちから「めぐちゃん」と呼ばれている。誰か近くにいるのではないか。そう思って辺りを見渡し、
「だあれ?」
と声をかけるが、辺りに人の気配はなく、シンとしている。
「気のせいかな?」
少女はぽつりと呟くと、荷物を片付けてその場を後にした。
夏だというの
【小説】猫耳メイドのお仕事 4
取り残された僕が白の世界から一歩踏み出すと、黒い翼が大きく震えるのが分かった。背に感じるのは警戒心。翼は明らかに何かに怯えていた。しかし、その正体を掴む間もなく、瞬きの後には黒の翼ごと見えない壁が圧迫するように僕を閉じ込めた。思わず溢れ出た神聖がその壁の主の神聖と拮抗し、ぴりぴりとした不快感が全身を駆ける。壁の向こうでは、燕尾服の初老の男が不釣り合いに頭をたれている。
「我が主の指示により、畏
不平等な生命のための緊急的救済措置についての報告書
#創作大賞2022
生命とは、ひどく不平等なものである。
「それでは皆様、よろしいですね」
そう、何処かの偉い人が言った。
先輩に連れられてやって来た暗く冷たい講堂。
二人揃って寝不足で、重たい身体を引き摺るように、しかし、吸い込まれるようにやって来た。
同じく何かに疲れた同業者が沢山集まり、ほとんど初めから結論の出ている議論が形ばかり繰り広げられた。
ぱらぱらとした拍手はやがて大き
【小説】猫耳メイドのお仕事 3
前を歩くシュテンの小さな背中には、僕に対する警戒心など微塵も存在しないようであった。檻から解き放たれた後は、何かしらの拘束を受けることもなく、ただ、まっすぐ続く白い廊下を歩かされるのみであった。この世界の建物によくある、空間認知を歪ませるほど途方もなく長く、そして上下左右さえ分からなくなるほど白い廊下。初めて来た人間なら発狂する者もいるかもしれない。二人の足音は空間にわずかに反響しては消えていく
もっとみる【小説】猫耳メイドのお仕事 2
白に囲まれた空間というものには慣れている。僕達は生まれてからずっとそこで生きてきたのだ。何かを恐れているかのように、何かから身を守るように、この世界は白に覆いつくされている。息が詰まるほどの白は、それ以外の色を受け付けようとはしない。ある種の病とも言える。視界の端に黒が映る。それこそが、今僕がこの何もない白の空間に幽閉されている理由だ。
さて、この魂はエネルギー体に昇華されるのか、はたまた跡形も
【小説】猫耳メイドのお仕事
愛する子どもたちよ。
代償は正しく払われ、君たちの願いは叶えられた。
君たちはこれから何にでもなれる。
無限の可能性を抱えて、君たちは戸惑うだろう。
しかし、生きるとはそういうものだ。
私は君たちに生きてほしい。
生きて、さまざまな世界を見てほしい。
その先で何を得たかを教えてほしい。
我々は正しく世界と関われているのか、それを確かめたいのだ。
愛する子どもたちよ。
ここからは君たちの物語だ。
好
はじめましてのごあいさつ
ノアールとエーデルワイスのnoteへようこそ!
私達はとある方の物語から生まれ、現在ストーリーテラー系Vliverとして活動しています。
活動の場は twitter、youtube、17Live、ツイキャスです。
生きるとは物語を紡ぐということ。
物語は私達の遊び場です。
皆さんの物語に出会えることを楽しみにしています。
また、こちらでは私達の物語を順次公開していく予定です。お楽しみに