【毎週ショートショートnote】「怪物への挑戦権」/ひと夏の人間離れ
ひとことで言えば怪物だった。
入学して初めての市中総体。
桁違い過ぎる走りに思わず目を奪われた。
男子3000m決勝。
怪物はスタートから全力疾走のような速さ。
それなのにペースがまったく落ちない。
それどころか周回が進めば進むほど輝いて見えた。
ラスト一周の鐘が鳴る。
その瞬間、怪物は光芒に包まれた。
一閃の光となって加速する。
2位以下全員を周回遅れにする圧巻の走りだった。
この年その怪物は、全国大会参加標準記録を突破して全国大会出場を果たした。
あれから2年。
思えば、あの時見た怪物をずっと追いかけてきたのかもしれない。
俺は怪物になれただろうか。
その答えはこの大会が教えてくれる。
中総体県大会。
標準記録突破を目指せる最後の戦い。
全国には人間離れした怪物がひしめいている。
———オン ユア マークス
俺の3年間の集大成。
———セット
人間離れに挑戦する夏が今……
———パーン!!
始まる!
終
(410字)
この企画に参加させていただきました。
2回目の参加ですがとても楽しかったです。ありがとうございます😊
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